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「女の一生」

Une vie…akaA Woman's Life2016 フランス/ベルギー

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17歳になった男爵家の一人娘のジャンヌは修道院で教育を受け、希望を胸に親の元へと戻る。ある時、ジャンヌは美青年ジュリアンを紹介され恋に落ちてしまう。やがて二人は結婚。愛する人は君だけだ!と約束したジュリアンが乳姉妹のロザリと浮気をしていることが発覚する


結婚後ジュリアンは豹変する。金に執着し暖炉の薪を燃やし過ぎだとジャンヌを非難する。やがてロザリは妊娠するが、相手が誰か決して話そうとはしなかった。


フランスの文豪モーパッサンの古典的名作の映画化なので辛気臭いと想像してはいたがここまでとは。途中でやめようか?とも思ったけど何とか最後まで頑張って鑑賞した。


モーパッサンの小説は過去に読んだことがある。でも相当前なのでストーリーはほとんど記憶にない。おまけに他の名作(ボヴァリー夫人とかアンナ・カレーニナとか)とごっちゃになっているし...。不倫小説って大体ヒロイン(妻)が浮気するから、これもそうだと思い込んでいたら夫の方が浮気する物語だった。


19世紀が舞台なのでドラマは限りなくスローに進む。

17歳から中年女性までを演じるジュディット・シュムラ。17歳はちょっとキツいけど男を知らない女性を果敢に演じている。

男爵を演じるジャン=ピエール・ダルッサンが最初誰だかわからなかった。終盤では老人に変身してしていてますます誰?だった。

そして古典もののヨランド・モローもいつもとは違っていて、彼女らしくないけど思いのほか似合っている。

男に翻弄され続けた女ジャンヌの一生は幸せだったのだろうか?ドラマのラストに希望が見えて、見終わってホッとした。


ジャンヌに「ヴェルサイユの子/2008」「カミーユ、恋はふたたび/2012」 のジュディット・シュムラ。

男爵に「間奏曲はパリで/2013」のジャン・ピエール・ダルッサン。

男爵夫人に「シークレット・オブ・モンスター/2015」のヨランド・モロー。

ジュリアンに「ヴィクトル・ユゴー 笑う男/2012アナーキスト 愛と革命の時代/2015」のスワン・アルロー。

ロザリに「虚空の鎮魂歌(レクイエム)/2012」のニナ・ミュリス。

ポール(成人)に「シャトーブリアンからの手紙/2011」のフィネガン・オールドフィールド。

監督、脚本は「ティエリー・トグルドーの憂鬱</2015」のステファヌ・ブリゼ。


岩波ホールにて(22まで)


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by margot2005 | 2018-01-31 22:16 | フランス | Comments(2)

「ティエリー・トグルドーの憂鬱」

「La loi du marché」…aka「Un homme」「The Measure of a Man」2015 フランス
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失業中のティエリーは新しい職を得るため研修を受けクレーン操縦士の資格を取る。しかし現場経験がないからと不採用になってしまう。ハローワークを訪れたり、スカイプで面接を受けたりするが中々仕事が見つからない。家のローンの支払いも困難な状態で、仕方なく銀行に金を借りに行く...

ティエリー・トグルドーに「ガスパール/君と過ごした季節(とき)/1990」「すべて彼女のために/2008」「君を想って海をゆく/2009」「母の身終い/2012」「友よ、さらばと言おう/2014」「小間使いの日記/2015」のヴァンサン・ランドン。
ティエリーの妻にカリーヌ・ドゥ・ミルベック。
ティエリーの息子にマチュー・シャレール。
ハローワークの担当者にイヴォ・オリ。
同僚に「グレート デイズ! -夢に挑んだ父と子-/2013」のグザビエ・マチュー。
銀行員にカトリーヌ・サン・ボネ。
ダンス教師にノエル・メロ。
監督は「愛されるために、ここにいる/2005」「シャンボンの背中/2009」「母の身終い/2012」のステファヌ・ブリゼ。

邦題に付いている“憂鬱”。映画を見終わってこれほど憂鬱になった映画はあるだろうか?と自問した。原タイトルは“マルシェ(スーパーマーケット)の法”。

失職後なんとかマルシェの監視員の職を得たティエリーの仕事は、店の中を巡回したり監視カメラを覗いて万引きの現場を押さえることだった。そして不正は従業員の間でも起こる。万引する客や不正を犯す従業員の中には金に困った人や、家庭内に問題があったりする。現実問題としてティエリー自身、障害のある息子を抱えた上、家のローンの支払いに苦しんでいた。

ある日、店のクーポンを盗んで問いつめられたレジ係の女性が自殺してしまう。マルシェの店長と本社からやって来た人事担当者はことの成り行きを“誰の責任でもない。彼女自身の問題だ。と淡々と説明して終わりにする。しかしティエリー以下店の従業員はやるせない思いでいっぱい。それは一つ間違えば彼らにも起こりえることだから…。

少しでも金を得ようと、ティエリーは海辺にある思い出深い移動式住宅を6000万€で売りに出す。しかし買い手にたたかれ憮然となる。
文句も言わず障害者の息子を育てる優しい妻。ティエリーはただ穏やかに生きたいだけなのに理不尽なことばかり起こる日常にやるせなくなる。

ラスト、突然仕事を投げ出し店を出て行くティエリーの後ろ姿が脳裏に焼き付いて離れなかった。
何の盛り上がりもなく淡々と進むティエリーの日常を描いたドラマは見終わってホント憂鬱になった。
ヴァンサン・ランドンほど寡黙で憂鬱なキャラが似合う俳優は他に思い浮かばない。カンヌ映画祭で男優賞に輝いたのも頷ける。
切羽詰まった生活を送りながらも妻とダンス教室に通う姿がヨーロッパ人だなぁと感心する。それはドラマの中で一服の清涼剤のようだった。

ヒューマントラストシネマ渋谷にて
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by margot2005 | 2016-09-14 22:22 | フランス | Comments(0)

「シャンボンの背中」

「Mademoiselle Chambon」2009 フランス
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ジャンに「ガスパール/君と過ごした季節(とき)/1990」「すべて彼女のために/2008」「君を想って海をゆく/2009」「母の身終い/2012」のヴァンサン・ランドン。
ヴェロニク・シャンボンに「プチ・ニコラ/2009」「屋根裏部屋のマリアたち/2010」「プレイヤー/2012」のサンドリーヌ・キベルラン。
妻アンヌ・マリーに「真夜中のピアニスト/2005」「ヴェルサイユの子/2008」のオーレ・アッティカ。
息子ジェレミーにアルトゥール・ル・ウエルー。
父に「ヴィドック/2001」のジャン・マルク・ティボー。
監督、脚本は「愛されるために、ここにいる/2005」「母の身終い/2012」のステファヌ・ブリゼ。
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とても素敵な作品でシアターで観たかった一作。でも日本未公開なのでTVで見るしかなかった。
ヴァンサン・ランドンは筋肉逞しい男ながら、寂しい表情を見せるのがスゴく上手い。
憂い顔のわりにコメディが似合うサンドリーヌ・キベルランはせつないロマンス映画もしっくりとくる。
「母の身終い」「君を想って海をゆく」「すべて彼女のために」...三作全て悩む男役が似合うヴァンサン・ランドンはこちらでも大いに悩む男を好演している。
ヒューマン・ドラマの「チャーリーとパパの飛行機/2005」やコメディの「女はみんな生きている/2001」のヴァンサンもgood。そして「ガスパール/君と過ごした季節(とき)はお気に入り映画の一つ。

舞台は南フランス、ブーシュ・デュ・ローヌ県。代理教師としてパリからやって来たヴェロニク・シャンボンは独身女性。ある日、学校へ迎えにきた教え子ジェレミーの父親ジャンに“父親の職業”というテーマで生徒たちに話をしてくれないかと持ちかける。ジャンは父親と同じく大工として身をたてている。ジャンの話に興味を覚えた生徒たち…教室は盛り上がり、マドモアゼル・シャンボンも大満足だった。ジャンが大工と知った彼女は“アパルトマンの窓からすきま風が入るの。どうすれば良いかしら?”と訴える。やがて彼女の悩みを解消すべくジャンはアパルトマンへ向かう。

その後の展開は互いに惹かれ合ってしまうというありきたりのストーリーなのだが、二人が実に上手い。ジャンは妻子ありの男でヴェロニクを抱くわけにはいかない。しかし寂しさ漂う彼女に己の気持ちを抑えるのが難しくなっていく。やがてジャンは“君のことを考えている。”と書いた手紙を送る。すると次にヴェロニクが行動を起こしジャンの職場に会いに行く。しかしジャンの口からでた言葉は“妻が妊娠している。”というものだった。うちひしがれたヴェロニクはこの地を去ろうと決心する。

男ってホントにわがままな生きものだ。ヴェロニクも欲しいけど妻子も捨てられない。愛し合った後、“君と一緒にいたい!”というジャンに対して”できないことは言わないで!”と答えるヴェロニク。やはり女は冷静だなぁと切に感じる。
ジャンの妻アンヌ・マリーは最高に冷静だった。映画だからこそで、あのような冷静なフランス人女性いるわけがない。

あれこれいろいろと書いたが、これほどセツナイ映画を見たのは久しぶり。観客にひょっとして二人は…と思わせる展開が上手いのだこの監督。しかしながらラストはもちろんフレンチ・スタイルで二人が結ばれることはない。
パリ行きの列車、待つ女、来ない男…なんと絵になる光景だろう。

大ラスで見せるジャンとアンヌ・マリーのシーンに、しみじみと夫婦の愛情が伝わってきてスゴく良かった。
“マドモアゼル・シャンボン”が“シャンボンの背中”となる邦題に??だけど映画を見れば納得する。でも原タイトルどおり“マドモアゼル・シャンボン”で良いのでは?

wowowにて
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by margot2005 | 2014-01-15 00:16 | フランス | Comments(0)

「母の身終い」

「 Quelques heures de printemps」…aka「A Few Hours of Spring」2012 フランス
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アランは48歳の長距離トラック運転手。ある時麻薬密売に関わり服役し、出所後母親の家に身をよせる。しかし几帳面な母親と、だらしのない息子との間に争いは絶えなかった...

アランに「ガスパール/君と過ごした季節(とき)/1990」「すべて彼女のために/2008」「君を想って海をゆく/2009」のヴァンサン・ランドン。
イヴェットに「トリコロール/青の愛/1993」のエレーヌ・ヴァンサン。
クレメンスに「フレンチなしあわせのみつけ方/2004」「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜/2007」「潜水服は蝶の夢を見る/2007」「危険なプロット/2012」のエマニュエル・セニエ。
監督、脚本は「愛されるために、ここにいる/2005」のステファヌ・ブリゼ。
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ステファヌ・ブリゼの「愛されるために、ここにいる」はとても素敵なヒューマン・ドラマだった。こちらは尊厳死を問う辛口ドラマ。
スイスで迎える母のラスト。“愛してるお母さん!”と母を抱きしめる息子の姿が胸を打つ。エンディングが始まりただただ呆然となった。

映画のwebに“愛する人の究極の選択をあなたはどう受け止めますか?”とある。
脳腫瘍に冒された母親が尊厳死を選ぶことを知った息子は動揺するが、それを選んだ母親と初めて向き合い心を通わせ始める重厚なヒューマン・ドラマは素晴らしかった。
ドラマの母親ほどの年ではないが、立場的には母親サイドなので、彼女のように尊厳死に挑めるかどうか自信がない。これは正に究極の選択である。
邦題はかなり単刀直入ながら、原タイトルは“春の数時間”…それは母と息子が過ごす数時間でとても意味深い。

息子は母親の着るエプロンのような洋服が滑稽に見え“そんな変な服を着るな!”と言ったり、“暇ならジグソー・パズル(母の最大の趣味)でもやっていろ!”なんて吐き捨てながら母親に殴り掛かろうとするのだ。信じられないけど“早く死ね!”なんてことまで言っていた。

48歳の息子が母親と暮らす心境って?反対に出所したばかりの48歳の息子と暮らす母親の心境って?一言で言い表せば互いに“ツライ!”意外の何ものでもない。
ドラマの中から二人の心境がひしひしと伝わってくる。

ヴァンサン・ランドンはお気に入りフランス人俳優の一人だが、、惨めでどうしようもない中年男を好演している。
母親役のエレーヌ・ヴァンサンについては良く知らないが、死を目の当たりにして、情けない息子が気がかりの母親を全身で表現していて素晴らしい。母親にとっては何歳になろうが息子(子供)は息子なのだから。

アランは毎日が母親との葛藤の中でボーリング場でシングルマザーのクレメンスと出会う。急接近する二人だが刑務所帰りのアランは自身のことを打ち明ける事が出来ない。とにかく情けないのだこの男は…。でもラストで二人の未来が見える展開に一安心した。

シネスイッチ銀座にて
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by margot2005 | 2013-12-28 23:34 | フランス | Comments(2)

「愛されるために、ここにいる」

a0051234_1132469.jpg「Je ne suis pas là pour être aimé」2005 フランス
2006年フランス映画祭上映作品
フランス映画祭で前売りチケットを購入。しかし観に行けなかった作品で、公開されたら絶対!観たいと思っていた作品。いやマジで公開されて良かった。
フランス映画祭の際、タイトルは「愛されるためにここにいる訳じゃない」であったが、一般公開の際は「愛されるために、ここにいる」と肯定文に変化していた。
監督はステファン・ブリゼ。
主演は「読書する女/1988」のパトリック・シェネ&「灯台守の恋/2004」のアンヌ・コンシニ。
これは「シャル・ウイ・ダンス/2004」のリメイクではない...
というのも、出だしは少々似てる...仕事場から見えるタンゴ教室に興味を持つ中年男。そしてそこで出会う...ダンス教師ではないが、ちょっと気になるマドモアゼル...
この物語を一言で表現しているタイトルが素晴らしいと思う。否定形であっても、肯定形であっても...
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妻と別れ一人暮らしのジャン・クロード・デルサール(シェネ)は冴えない50代の中年男。彼の仕事は父親から引き継いだ、家賃不払いの居住者を追い出す、立ち退き勧告業。
ある日仕事でアパルトマンの階段を何段も登ったあげく息切れしてしまう。医者に診てもらったら、運動不足だからそのうち心臓がストップすると言われる始末。若い頃はテニスの地方チャンピオンだったのに...
そして早速向かえのビルにあるタンゴ教室へと向かうデルサール。そこで彼は、決して若くはないマドモアゼル、フランソワーズ(コンシニュイ)と出会う。
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多分ガラガラのシアターかなと思いながら、本編上映ぎりぎりに飛び込んだ。渋谷のユーロスペースでしか上映していないこの作品。以外やシアターは中高年の方たちでいっぱいで驚いた。
デルサールとフランソワーズ。デルサールと父親。この二人の関係が軸となって、“人間て愛する人がいるからこそ、生きることに価値がある...”と思わせる素晴らしい展開となっている。
おまけに、これを観れば、なんとなくタンゴ教室に通いたくなる...
もっとたくさんのシアターで公開されたら、観に来る人もいっぱいいるのに...もったいないなぁ...と又また感じた粋なフランス映画。
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by margot2005 | 2007-01-10 01:24 | フランス | Comments(14)