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イタリア映画祭2016...「オレはどこへ行く?」

「Quo vado?」 2016 イタリア
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終身雇用の公務員にしがみつく男ケッコを描いた痛快コメディ。

ケッコにケッコ・ザローネ。
ヴァレリアにエレオノーラ・ジョヴァナルディ。
シローニ女史に「輝ける青春/2003」「孤独な天使たち/2012」のソニア・ベルガマスコ。
ケッコの父親ペッピーノにマウリツィオ・ミケーリ。
ケッコの母親カテリーナにルドヴィカ・モドゥーニョ。
マーニョ大臣にニンニ・ブルスケッタ。
ビネット上院議員にリーノ・バンフィ。
ケッコのフィアンセにアッズラ・マルティーノ。
観測隊員に「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女/2009」のパオロ・ピエロボン。
監督、原案、脚本はジェンナーロ・ヌンツィアンテ。
原案、脚本、音楽はルカ・メディチ(ケッコ・ザローネ)。

地方都市で公務員の職にあるケッコは38歳のシングルで両親と同居している。フィアンセに結婚をせがまれているが、心から愛するのはマンマだけ。そんなある時、政府が公務員の人員削除に乗り出し早期退職者を募ることになる。ケッコは退職か勤務地変更か?の選択に迫られる。マーニョ大臣の命令によりシローニ女史は次々と早期退職に追い込むことに成功するが、ケッコはだけは絶対に首を縦に振らない。で、彼女はケッコを退職させるべく、嫌がらせでイタリアのあらゆる所に左遷するが全く動じない有様。頭にきたシローニ女史は彼を北極圏にあるノルウェーの離島の観測所に送り込む。やがてケッコはあまりの寒さにイタリアに戻りたい!気持ちが芽生え始めるが、観測所で働くヴァレリアに一目惚れし、彼女の3人の連れ子と共に暮らし始める。

ケッコは一時ヴァレリアとノルウェーで幸せな日々を送っていたが、やはりノルウェーは寒い!ヴァレリアを説き伏せイタリアに戻りプーリアに赴任することになる。とにかくどこまでも公務員なのだ。しかしそんな公務員魂がいやになったヴァレリアはケッコと別れる決断をする。
オープニングとエンディングはアフリカ。予想どうり二人のヨリは戻ったわけ。

主演のケッコ・ザローネはイタリアでは有名なコメディ俳優とのこと。でもケッコ・ザローネの映画は今回初めて見た。日本のお笑い芸人にいそうなタイプで、その中の誰かに顔似ている?なんて思ったりもした。
この方多彩な人で主題歌も歌っている。
氷のようなシローニ女史を演じるソニア・ベルガマスコはシリアスなドラマの「輝ける青春」や「孤独な天使たち」より本作のようなコメディがとても似会う女優。

映画祭のエンディングにふさわしい痛快イタリアン・コメディは、もうとにかく全編笑いっぱなしで…隣の女性はうるさいくらい笑っていてちょっと困ったけど...。
今年は5本しか見ることができなかった。中でも良かったのは、移民問題を扱った「地中海」、同性愛を描いた「私と彼女」、そして過激なストーリーの「暗黒街」はとても見応えがあったし、ラストに見た「オレはどこへ行く?」はもう最高!にくだらなくって面白いイタリアン・コメディで大満足。

有楽町朝日ホールにて
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by margot2005 | 2016-05-10 21:19 | 映画祭 | Comments(0)

イタリア映画祭2016...「暗黒街」

「Suburra」2015 イタリア/フランス
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政治家、ギャング、聖職者が複雑に絡み合い、金と欲望に生きる男たちの1週間を描いた壮絶なる暗黒街のスリラー・ドラマ。

フィリッポ・マルグラーディに「家の鍵/2004」「題名のない子守唄/2006」「対角に土星/2007」「セントアンナの奇跡/2008」「天使と悪魔/2009」「気楽な人生/2011」のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ。
セバスティアーノに「ナポレオンの愛人/2006」「NINE/2009」「我らの生活/2010」「家の主たち/2012」「無用のエルネスト/2013」「レオパルディ/2014」のエリオ・ジェルマーノ。
ナンバー8にアレッサンドロ・ボルギ。
サムライに「王妃マルゴ/1994」のクラウディオ・アメンドラ。
ナンバー8の恋人ヴィオラにグレタ・スカラーノ。
娼婦サブリーナにジュリア・エレットラ・ゴリエッティ。
マンフレディ・アナクレッティに「ブルーノのしあわせガイド/2011」のアダーモ・ディオニージ。
ベルシェー枢機卿に「ベティ・ブルー/愛と激情の日々/1986」「ニキータ/1990」「王妃マルゴ/1994」「ラクダと針の穴/2003」のジャン=ユーグ・アングラード。
監督、原案、脚本はステファノ・ソッリマ。

原タイトルの「Suburra」とは“古代ローマ時代、売春宿や居酒屋が立ち並び、政治家とゴロツキなど異なる世界の住人が密かに接触した地区の名称”だそう。原タイトルは正にドラマにぴったり!

ドラマは2011年11月5日から12日にかけての1週間を描いており、11月12日にイタリア共和国第60代首相シルヴィオ・ベルルスコーニが辞任する。
過去に日本でもその数々の醜聞が報道されたイタリアの元首相シルヴィオ・ベルルスコーニと、政治家フィリッポ・マルグラーディが被って見える。

ローマ郊外のオスティアを牛耳るナンバー8は“ウオーターフロント計画”と呼ばれる再開発のため、暴力をもって地上げを進めている。一方で議会で再開発計画を推進するマルグラーディはローマの暗黒街を牛耳るサムライと強く結びついている。
ある夜、マルグラーディがホテルに二人の娼婦を連れ込みドラッグとセックスに溺れる最中、一人の若い娼婦がドラッグ中毒で死んでしまう。彼女はまだ17歳だった。あせったマルグラーディは事件をもみ消そうと事を起こす。やがてマルグラーディが犯した罪からナンバー8とロマ(ジプシー)のアナクレッティ一家との抗争が勃発する。

ハリウッド大作にも出演するピエルフランチェスコ・ファヴィーノが、貫禄たっぷりにワル役を演じる一方で、ちょっとキュートなエリオ・ジェルマーノが情けないキャラにぴったり。でも怒りに怒ったラストは痛快だった。
ベルシェー枢機卿を演じるフランス人俳優ジャン=ユーグ・アングラードの老けぶりに驚き。見ていて誰だか全くわからなかった。
スキンヘッドにタトゥでひげ面のアレッサンドロ・ボルギの素顔は超イケメン。実際の彼は髪の毛ありそう。

ドラマのロケーションで、ライトアップされたサンピエトロ寺院や、テヴェレ川にかかる橋の奥に浮かび上がるサンタンジェロ城。そして大統領官邸前広場や、華やかなローマの街が映し出されたロケーションには大満足だったが、この映画ホントにスゴい!強烈なストーリーだった。

有楽町朝日ホールにて
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by margot2005 | 2016-05-09 00:32 | 映画祭 | Comments(0)

イタリア映画祭2016...「私と彼女」

「Io e lei」2015 イタリア
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建築家のフェデリカと、ケータリング・ビジネスを展開するマリーナは5年前から恋人として暮らしている。フェデリカはかつては良き妻、良き母で元夫セルジオとの間に24歳の一人息子ベルナルドがいる。しかしかつて女優だったマリーナは同性しか愛したことがなかった...

フェデリカに「母よ、/2015」のマルゲリータ・ブイ。
マリーナに「グレート・ビューティー/追憶のローマ/2013」のサブリナ・フェリッリ。
眼科医マルコに「湖のほとりで/2007」のファウスト・マリア・シャラッパ。
マリーナのアシスタント、カミッラに「はじまりは五つ星ホテルから/2013」のアレッシア・バレーラ。
フェデリカの息子ベルナルドにドメニコ・ディエーレ。
フェデリカの同僚カルロにアントニオ・サバテーリ。
フェデリカの元夫セルジオに「ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い/2009」「対角に土星/2007」「あしたのパスタはアルデンテ/2010」のエンニオ・ファンタステキーニ。
映画プロデューサー、ステファノに「あしたのパスタはアルデンテ」「あなたたちのために/2015」のマッシミリアーノ・ガッロ。
監督、原案、脚本は「はじまりは五つ星ホテルから/2013」のマリア・ソーレ・トニャッツィ。

ドラマのオープニングはセルジオの若い妻が生んだ子供の洗礼式。
フェデリカはマリーナと同居しているものの職場では同性愛の関係を隠している。ある時、雑誌のインタビューを受けたマリーナが建築家の女性と暮らしていると告白する。記事は同僚のカルロに知られた上、マリーナは女優業を再開すると言う。二人の中が公になるのを恐れるフェデリカは動揺し戸惑う。しかし女性しか愛したことのないマリーナは“あなたは同性愛を恥じているの?私を愛していないの?”とフェデリカを責める。そうこうするうちフェデリカは昔の友人で眼科医のマルコと出会い関係を持ってしまう。それを知ったマリーナは怒りをあらわにしてフェデリカを家から追い出してしまう。
この辺りの展開にフランス映画「アデル、ブルーは熱い色/2013」を思い出した。女の執念は怖い!?
まぁ結末は読めるけれど、男たちを排除して生きる彼女たちの人生が中々素敵。母親と息子の関係は別だけど…。

撮影されたイタリア、ラツィオ州のラディスポリ(ローマから車で30分くらい)の海岸はとても美しく、二人が乗る車の窓からは素敵なローマの景色が見えて懐かしい。マリーナの事務所はヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂側のロケーション。そして女性二人が住むアパートのインテリアはとてもゴージャスでため息がでる。やはり女性監督だなぁと思わせるシーンや台詞がたっぷりと織り込まれているのが良かったな。
フェデリカのさりげないファッションにも注目だし、何はともあれ主演二人の女優がナイス。
「キャロル/2015」も素敵なレズビアン映画だったけど、本作は21世紀が舞台の上、少々コメディ・タッチのラブ・ロマンスでとっても素敵な作品だった。

有楽町朝日ホールにて
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by margot2005 | 2016-05-07 11:37 | 映画祭 | Comments(0)

イタリア映画祭2016...「あなたたちのために」

「Per amor vostro」2015 イタリア/フランス
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ナポリに住むアンナはTVドラマの製作スタジオでプロンプターとして働いてる。夫ジジは花火を売って稼いでいるというが、どうやら怪しい仕事に携わっている様子。二人の娘と、ろうあ者の息子に加え両親の面倒も見なくてはならないアンナは“あなたたち(大家族)のために”生きているといっても過言ではない。家で暴力を振るう夫に耐え、そんな父親を憎む息子を諌める。一歩外に出ればアンナの働く前にプロンプターだったチーロから仕事を取られたと愚痴られ金をせびられる始末。そんなさえない日々のアンナにスター俳優のミケーレが言いよってくる...

アンナに「あるいは裏切りという名の犬/2004」「私たちの家で(愛と欲望 ミラノの霧の中で)/2006」「湖のほとりで/2007」「バッグにはクリプトナイト/2011」のヴァレリア・ゴリノ。
ジジに「あしたのパスタはアルデンテ/2010」マッシミリアーノ・ガッロ。
ミケーレに「スウェプト・アウェイ/2002」アドリアーノ・ジャンニーニ。
監督、原案、脚本、製作はジュゼッペ・M・ガウディーノ。

子供の頃勇敢だった少女が大人になり結婚して3人の子供の母親となった今、夫の暴力に耐え、子供たちをかばい、頼りにならない兄の代わりに両親の面倒まで見なくてはならない現実が立ちはだかっている。
映画祭の公式カタログに“ジュゼッペ・M・ガウディーノの映画は主に社会的疎外と文化的に排除されるということを題材にしている。”と記されている。本作のヒロイン、アンナが正にそれだ。
ドラマはモノクロで描かれ、アンナの夢と記憶だけはカラーで描いている。そしてドラマのエンディング(現実)もカラー。

この映画はいわゆるアンナの人生再生ドラマ。
マルゲリータ・ブイの「母よ、/2015」にも登場した水のシーン。本作では走行するバスの床が水浸しになる。それは何かの暗示なのかも知れない。
信心深いアンナの母親の姿や、子供の頃“聖母被昇天祭”で天使に扮したなど、宗教色も濃いので少々とっつきにくいドラマではある。
ポスターを見てヒロインの目から下を覆う白い部分は天使の羽であることに気づいた。

ちょっと気になったのはドラマの時代設定が良くわからないこと。ミケーレが携帯電話を持っていたように見えたので現代であるのは間違いない。でもまるで60年代のような雰囲気を感じるのはモノクロのせい?それともアンナのアンティークっぽい服装のせい?そういえばミケーレもレトロな雰囲気を醸しだしている。
さえない子持ちのアンナにスター俳優のミケーレがなぜ?誘惑してくるのか?と、とても不思議だったがなるほどの展開で呆れた。

TV俳優ミケーレ役の俳優はどこかで見た、見たと思っていたらガイ・リッチーの駄作でマドンナ主演の「スウェプト・アウェイ」で船員ジュゼッペを演じた彼だった。かなり老けた感じ。
トム・クルーズの「レインマン/1988」でヒロインを演じたヴァレリア・ゴリノは今年50歳になるがとてもキュート。リッカルド・スカマルチョがパートナーだから?

有楽町朝日ホールにて
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by margot2005 | 2016-05-05 00:46 | 映画祭 | Comments(0)

イタリア映画祭2016...「地中海」

「Mediterranea」2015 イタリア/フランス/USA/ドイツ/カタール
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アイヴァは西アフリカのブルキナファソで娘と暮すシングル・ファーザー。ある日、より良い暮らしを求めヨーロッパに働きに出ることを決意する。彼は親友のアバスと共に広大な北アフリカの砂漠を徒歩で横断しリビアの海岸に到着。その後ボートで地中海を渡り南イタリア、ロサルノの街にたどり着く…

アイヴァにクドゥ・セイオン。
アバスにアラサン・シー。
監督、原案、脚本はジョナス・カルピニャーノ。

アイヴァは愛する娘を妹に預けアバスと共にヨーロッパにやって来た。それは命がけの旅で、地中海では窃盗団の掠奪に遭い海に投げだされたりもしたがなんとかイタリア上陸を果たし、二人はロサルノのオレンジ農園で働き始める。アフリカ人をこき使う雇い人に反撥を覚えるアバスに反して、真面目なアイヴァは一生懸命働き続ける。月日がたち農園のオーナーに気に入られたアイヴァは家にも出入りしイタリア人一家と食事を共にするようになる。アイヴァは正当な滞在許可が欲しくてオーナーに頼み込むが良い返事はもらえなかった。
やがて移民労働者たちの反乱が起き、そこには率先して参加するアバスと、躊躇しながらも反乱に加わるアイヴァの姿があった。
ラスト、一生懸命働いても不法移民以外の何者でもない扱いに故郷に帰る決断をしたかに見えたアイヴァ...パーティでの大ラスのアイヴァは残る決断をしたかに見えた。

監督のジョナス・カルピニャーノはイタリアとアフリカ系アメリカンのハーフだそうで、本作を作るにあたり、映画の舞台となったロサルノの隣町に数年居を構え構想を練ったという。
主演の二人以外の出演陣は役者ではなく、監督の友人となったロサルノの隣町の住民がほとんどという。アイヴァ役のクドゥ・セイオンのまなざしがスゴく優しくて素敵なキャスティング。

昨今では日本でもヨーロッパの移民問題のニュースが度々報道されている。
今からちょうど10年前、イタリア映画祭2006で見た「13才の夏に僕は生まれた/2005」で初めてヨーロッパの移民問題を知った。フランス映画祭2009で見た「西のエデン/2008」も移民問題がテーマの素晴らしい作品だった。

2010年の1月に南イタリア、カラブリア州ロサルノの街で移民労働者たちの反乱が起こりイタリア全土に衝撃が走ったらしい。この事件のことは残念ながら知らない。
世界地図で、アフリカ大陸にあるリビアと、ロサルノの街がある南イタリアのカラブリア州の位置を確認した。リビアの海岸とイタリアの海岸の間に地中海が立ちはだかる。

今年もGWの予定がたたずにぐずぐずしてたらやはり見たい映画のチケットは売り切れていた。GW前半は全く行けずで本作が最初の一本。今まさに世界中で問題となっている移民をテーマにしたドラマに心打たれた。

有楽町朝日ホールにて
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by margot2005 | 2016-05-03 19:55 | 映画祭 | Comments(0)