2005年 11月 08日
「ヴェニスの商人」
「The Merchant of Venice 」2004 USA/イタリア/ルクセンブルグ/UK監督は「イル・ポステーノ/1994」のマイケル・ラドフォード。
余りにも有名なウイリアム・シェイクスピアの戯曲であるが、なぜか?英語圏で長い間映画化されなかったらしい。
「ハムレット」や「ロミオとジュリエット」は何度も映画化されているというのに??なぜに??
原作は戯曲であるため、映画の中でも、舞台で語るように俳優が演技しているのが素晴らしい!
アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズと役者揃いの中、ジョゼフ・ファインズが光っている。
この方恋する男を演じたら右に出る者はいないかと...彼のあの目が(パピー・ドッグの訴えるようなまなざしって感じも否めないが...)実に語るのである。この映画もジョゼフ狙いで観に行ったようなものだ...濃い系大好きなので...
主演の金貸しシャイロックにアル・パチーノ、富豪の女相続人ポーシャにテキサス出身の新星リン・コリンズ。リンは「エリザベス/1998」のケイト・ブランシェットを彷彿とさせる感じで古典にぴったり。賛否両論かどうか知らないが、私的には素敵なポーシャ役のリンである。
そしてシャイロックから3000ダカットを借りるはめになるアントーニオ役はジェレミー・アイアンズ「ダメージ/1992、永遠のマリア・カラス/2002」。
アントーニオの親友バッサーニオにジョゼフ・ファインズ「恋するシェークスピア/1998、キリングミー・ソフトリー/2002」。
16世紀のベニス、ユダヤ人たちはゲットーに隔離され、出かける時はユダヤ人と解るよう赤い帽子をかぶって出かけることが義務づけられていた。金貸し業を営むユダヤ人のシャイロック。ある日街中で貿易商アントーニオと出会う。挨拶をするシャイロックにつばを吐きかけ立ち去るアントーニオ...ここでシャイロックは恨み骨髄状態になるのか?アントーニオの親友である若きバッサーニオは、ポーシャに求婚するため、アントーニオに借金を申し込む。このあたりの映画の中での展開を思い返すと、バッサーニオの寝室での二人の会話、“My love!"とか言って二人は抱き合い、キスを交わす...この辺が新解釈なのであろうか?話はそれたが...愛するバッサーニオの頼みを断れるはずもなく、とりあえずキャッシュのないアントーニオはシャイロックにお金を借りるようバッサーニオに促す。
この映画の場合、余りにも有名なストーリーなのでネタばれも不問だと思うので、ここに続きを書く。ポーシャを無事妻にし、幸せの絶頂にいるバッサーニオは、アントーニオの手紙を受け取り呆然とする。アントーニオの所有する船が嵐に見舞われ、すべてが難破した。積み荷は海の藻くずと消え、彼は破産したのだった。3000ダカットの借金を3ヶ月以内に返済しない場合、シャイロックはアントーニオの肉1ポンドをいただくと言う条件を出していた。ラスト近く、裁判の場面で、ポーシャが男装役で登場する...今で言う弁護士か検事である、いわゆる法律に長けた博士役。「恋するシェイクスピア」でもグイネス・パルトロウ演じる男装のロミオが登場したが、リンは素晴らしい!結構男になりきっている。
このラストが見せ場で、シャイロックがアントーニオの胸にナイフを突き刺そうというその時、ポーシャが“ちょいと待てユダヤ人!”の台詞を放つ、その後“肉1ポンドきっかり!多くても、少なくてもダメだ!そして1滴の血を流してもならない!”の台詞。この物語はこれにつきるのである。ここでシャイロックは己の頑固さに愕然とする。血をたらさないで肉を切り刻むことが出来ようか?シャイロックは裁判に負けたのである。哀れなシャイロックに誰も同情しないが、パチーノが演じていると、なぜかシャイロック可哀想すぎ...と感じてしまう。パチーノさんどうも憎めないのである。
ポーシャがバッサーニオに送った指輪の話や、婚約者選びに、金、銀、鉛の箱を並べ、選ばせるという場面も登場する。この物語を読んだのは相当前なので細かい筋は憶えてないが、シャイロックの娘ジェシカについては記憶にない...新解釈なのか?とにかく映画は臨場感のある素晴らしいドラマ(劇)に仕上がっていて見応えがある。
ヴェニスでロケしたという映画の景色は素晴らしい!昨年の夏にシャークスピアの故郷ストラットフォード・アポン・エイヴォンを旅した際、街中にシェイクスピア劇場があってシェイクスピアものを上演していたのを思い出した。
この映画も「理想の女/2004」もルクセンブルグが参加しているが人件費安いのかな?とふと思った。
新宿のテアトル・タイムズ・スクエアの12f.HMV前の広場(狭いが...)に下写真のシャイロック、ポーシャ、バッサーニオ、それぞれの衣装が飾ってある。


2005年 11月 04日
「みんな誰かの愛しい人」

「Comme Une Image」...aka「Look at me」2004 フランス
2004カンヌ映画祭最優秀脚本賞受賞!
フランス映画祭横浜2004で上映された映画。
監督、脚本(バクリと共同)出演のアニエス・ジャウィは「ムッシュ・カステラの恋/1999」の監督&マニー役。これでは音楽教師シルヴィアを演じている。
彼女の公私とものパートナーであるジャン・ピエール・バクリ「ヴァンドーム広場/1998」「ムッシュ・カステラの恋/1999」が頑固な大作家エチエンヌ・カサール役。
その娘ロリータにマルリー・ベリ。マルリーは本作で本格デビューを果たした。
シルヴィアの夫ピエールにはロラン・グレヴィル「カミーユ・クロデール/1988」「ラクダの針の穴/2003」。
有名な作家エチエンヌ・カサールの娘ロリータは女優志願の20才のマドモアゼル。彼女は太った自分に最高のコンプレックスを抱いている。父親エチエンヌは娘と見間違われるような若い妻カリーヌ(ヴァージニー・デサルナ)と再婚し、二人の間には5才の娘がいる。一方で、売れない脚本家ピエールは自分が成功することはあり得ないだろうと思い続けている。彼の妻シルヴィアはロリータの音楽教師である。この二つの家族を軸に物語は進行して行く。太った身体にとてつもないコンプレックスを抱いているロリータ、コメディエンヌを目指しているが夢の又夢。音楽学校でシルヴィアに歌の手ほどきを受けている。新作が書けなくてスランプに落ちっているエチエンヌは、娘ロリータに、自分自身がどのように映っているのか気がかりで仕方がない。若い妻のカリーヌは年の違わないロリータを誘ってショッピングに行ったりするが、二人の仲はしっくり行かない。売れない脚本家ピエールと音楽教師シルヴィアのカップル...シルヴィアは夫の才能を信じているが、自分には自信がない。それぞれが自分に自信が持てなく、もはや失いかけている...しかし、やがて彼らに転機が訪れ始める。
ロリータが通う音楽学校で、合唱の練習をしているシーンを絡めながらストーリーが進む方法も素敵だ。昨今のフランス映画はコメディ・タッチかヴァイオレンスか?いずれか?が多いが、この作品は素晴らしい人間ドラマで出演者も適役だ。特に父親エチエンヌ役のバクリは頑固oyajiにぴったり。コンプレックスの固まりであるロリータ役のマルリーは、ほんと太っていて、実生活でも悩んでるのかなぁ?と想像してしまう。映画を見終わって、頑固で意固地な父親エチエンヌと娘ロリータの親子の愛をひしと感じた。本当に愛する者同士は、言葉などいらない。いざという時には助け合うって...。
邦題の「みんな誰かの愛しい人」っていうのは中々いける。監督のジャウィと主演のバクリのカップルは“ジャクリ”と呼ばれているそうで、“ジャクリ”のこの作品は思春期の一時期、自信をなくしていたジャウィの体験をヒントに作られたという。毎度のことだが、映画の中に登場するフランスの田舎が素晴らしい!

2005年 10月 31日
「ブリジット」

「Bridget」2002 フランス/日本
主演のアンナ・トムソン(アンナ・レヴィン)はアメリカンで、監督&脚本はイスラエル出身のアモス・コレック。この作品、波瀾万丈の人生を送ったアンナ・トムソンを元に描いたそうで、映画のヒロイン/ブリジットは実際のトムソンの姿ではないらしいが(あれじゃ...すごすぎ!)姿を変えて脚本を書いたと言う。映画の舞台はニューヨーク。トムソンはひょっとして?フランス人(いやもしくはヨーロパ人?)かと想像していたが、アメリカ/ニューヨーク生まれである。2005年3月に、この映画の宣伝でトムソンは来日したらしく、DVDの特典映像に、東京でのインタビューが収録されている。
映画のストーリーはかなりハチャメチャだ。映画でなきゃこんなこと起きないの連続。家でDVD観る際、結構途中で一時停止するのだが、これは一気に観た!いや途中でストップしたくなかった。犯罪に巻き込まれた上、夫は殺害され、おまけに一人息子クラレンスまで奪われて、絶望的な生活を送るブリジット。愛する息子クラレンスを我が胸に取り戻し、一緒に暮らすためブリジットはリヴェンジに立ち上がる。ブリジットが出会う人物が絶妙である。レスビアンや、知的障害のある男や、ベトナム帰りの老人とか...配役がにぎやかで(波瀾万丈の人生を描くのだから当然だが...)楽しめる。ブリジットも、ある時は麻薬の売人としてベイルートへ飛んだり(このシーンにはちと参った...国境はそう簡単には越えられないだろが??)、夜になると、いかがわしいポルノショップで働いたりと見せ場はたっぷり。トムソンは元モデルだったらしく、ナイス・バディにピンヒールの靴で闊歩する様は滅茶かっこ良い!ミニシアター系おすすめDVDである!
トムソン1955年生まれなので、この作品撮影時は50才に近かったようだが、元モデルだけあってほんとナイス・バディである(nudeのシーンはちと年齢感じてまずいが...)。1980年から端役でアメリカ映画に多々出演しているが、ブレイクせず。やはりアモス・コレックが監督した「スー/1997」「フィオナ/1998」の二作をフランス映画界が絶賛したらしい。二本とも観てない...いや観たい是非!映画の中での息子クラレンス役はトムソンの実生活の息子ヒューゴである。
2005年 10月 30日
「ドア・イン・ザ・フロア」

「The Door in the Floor」2004 USA主演の夫婦役はジェフ・ブリッジス&キム・ベイシンガー。
二人の娘にダコタちゃんの妹のエル・ファニング。一夏の経験をする若者エディーに新星のジョン・フォスター。ジェフ演じるテッドの愛人ミセス・ヴォーンにトム・クルーズの元々妻であるミミ・ロジャース「誰かに見られてる/1987」といった配役である。
監督&脚本はトッド・ウイリアムス。原作はジョン・アーヴィングの小説「未亡人の一年」。この作品は本の初め半分未満を映画にしたということである。
「カレンダー・ガールズ/2003」や「スイミング・プール/2003」で熟女がnudeを披露しているが...これもその一つ。しかしミミ・ロジャースの役は...良くあんな役引き受けたというくらい凄まじい(気の毒というか...キムが美味し過ぎる役だから)。ジェフは「白と黒のナイフ/1985」の頃だろうか?抱かれたい男(滅茶SEXYでマッチョか?)のベストに入っていたというが、現在では余り見たくない状態...しかし彼もback nudeで女優陣にお返しをしている。エディ役のジョンは撮影時20才だったと思えるが、汚れを知らない?清々しいアメリカの若者!でもって役にピッタンコである。
基本的にネタばれは嫌いなので、細かなストーリーは書きたくない。高校生活最後の夏休み、有名な児童小説家テッド・コールの秘書として美しい海辺の屋敷にやって来たエディ。彼を船着き場まで迎えたのはコールの美しい妻ルースであった。この夫婦にはとても辛い過去があった。ストーリー的にはとても重い、哀しい物語なのだが、時にユーモアが入って...ちょっとコメディ過ぎやしないか??という場面もあり、全体的に素敵なドラマとなっている。キムがかすかにしか笑わない、殻に閉じこもった美しい人妻を好演している。
映画の中、夫婦の屋敷の廊下や、部屋に写真がいっぱい飾ってある。それがこの映画を語る大切な役割を果たしている。ラスト・シーンがnikui!
キムも撮影時はちょうど50才であろうか?「ナイン・ハーフ/1986」の頃と比べるとやはりお年か...。ジェフ&キムは「ナディーン/1968」の恋人役で共演している。
夫婦の幼い娘を演じたエル・ファニング。姉ダコタに負けず劣らず、妹エルの演技もあっぱれ。ファニング姉妹すごすぎ!

2005年 10月 28日
「理想の女」

イタリアのリヴィエラと呼ばれる南イタリア/アマルフィーが舞台てなことで是が非でもで観に行った。
映画を観る前に、帝国ホテルに飾ってあった、この映画のヒロインたちが着る素敵なドレスを見たのでますます観たくなったのは言うまでもない。
監督はマイク・バーカー。原作はオスカー・ワイルドである。
主演はオスカー女優(ジャック・ニコルソンと共演の「恋愛小説家/1997」でゲット)のヘレン・ハントと「真珠の首飾りの少女/2003」のスカーレット・ヨハンソン。
ヒロインを取り巻くジェントルマンにUK出身のスティーヴン・キャンベル・モア、マーク・アンバースそして「イン・ザ・ベッドルーム/2001」のトム・ウィルキンソン。男性陣はウイルキンソン以外は初めてお目にかかった。
原作は“ウインダミア卿夫人の扇”ということで、扇が映画の中で重要な小道具となっている。ウインダミアという名前は、以前英国の湖水地方を訪れた際、ウインダミアという町に泊まった。ウインダミア卿はここの出身であったのかと想像する。
1930年代が舞台のアマルフィー、映画は2004年作品であるが、景色が全然変わってないのである!映画の中ではほんの一部分のアマルフィーしか映ってないのでなんとも言えないが、あのように70年たっても景色が同じとは...いやさすがイタリア!
ニューヨーク社交界の華メグ・ウインダミア(スカーレット・ヨハンソン)は夫のロバート(マーク・アンバース)とイタリアのアマルフィーでヴァカンスを過ごしている。そこでメグはアーリン(ヘレン・ハント)という魅力的な中年女性と出会う。数々の恋愛遍歴の後アメリカを離れ、イタリアにやって来たアーリン。新婚のメグは愛する夫ロバートに愛を捧げている。ある時ロバートとアーリンの忍び逢いを見た人からあらぬ噂が...。
これ以上書くとネタばれするのでやめておく。映画の中でメグとアーリンが同じようなドレスを着て登場したりして...やはりと思うシーンがあり中々見応えがある。
やはり前知識無し(基本的にいつもだが...)で観たのでとっても良かった。
出来ればもう一度観たい作品である。スティーヴン・キャンベル・モアはメグに言寄るinternational playboy(これは映画の中でアーリンが語る言葉)役。
トム・ウイルキンソンはアーリンに恋するリッチマン役。
私的には夫ロバート役のマークが素敵!!正統派二枚目である。上写真!やはりUK俳優か?の雰囲気。
銀座のシネスィッチ銀座で観た(10月の初め)。まだ上映中!


