2006年 11月 16日
「上海の伯爵夫人」
原作は「日の名残り/1993」のカズオ・イシグロ。監督も左記のジェームス・アイヴォリー。
主演のアメリカ人外交官ジャクソンに「イングリッシュ・ペイシェント/1996」のレイフ・ファインズ。伯爵夫人ソフィアにナターシャ・リチャードソン「メイド・イン・マンハッタン/2002」。日本人ビジネスマン松田に真田広之。ソフィアの亡き夫の母親オルガにリン・レッドグレイヴ。その姉サラにヴァネッサ・レッドグレイヴ。ヴァネッサ&リンは実の姉妹で、ヴァネッサはナターシャの実の母親。
「イングリッシュ〜」以来のレイフ、ファンで、彼の作品は「嵐が丘/1992」を始めとして、「ことの終わり/1999」「オネーギンの恋文/1999」と彼の雰囲気にぴったしの役ばかり...これもそうである。彼は「イングリッシュ〜」の頃とちっとも変わらないなぁ...と何れを観ても感じる。
これは「ナイロビの蜂/2005」の前に作られた作品。
1930年代、上海、ロシアから亡命してきた伯爵夫人ソフィア(リチャードソン)は、亡き夫の代わりに、残された家族を養うためクラヴのホステスをしている。ある夜そのクラヴで、盲目の元外交官ジャクソン(ファインズ)と出会う。彼はテロで妻子を失った上、自身の目も失っていた。絶望のどん底にいるソフィアとジャクソンは互いに求め合っていく。
一方で、やはりクラヴで知り合ったビジネスマン松田(真田)とも交流を深めていくジャクソンだったが...
「日の名残り」もそうだが、カヅオ・イシグロの世界は決してフィジカルに愛情表現はしない。この作品でも二人は一回キスを交わすだけ...
互いに交わす目と目(一人は見えていないので、交わす言葉で...)が滅茶語る(心に染みる)のである。
かつて貴族であり、何不自由ない暮らしをしていたソフィアは家族のため夜の街で働く日々。ソフィアが働かなければ家族は食べて行けない。しかし義母オルガ(リン)と義妹グルーシュカ(マデリーン・ポッター)はソフィアに辛く当たる。これって万国共通で、嫁は立場が無い...いや哀しすぎる...
ラストはなんとなく読めるのだが...最期まで飽きさせないアイヴォリーはやはり素敵だな。レイフはハマり過ぎる役で、あの方のあのやるせない...これは特に盲目役で、妻子を亡くした役で...いやでも巧い(似合い過ぎ)...
謎の日本人ビジネスマン松田を演じた真田広之が光る。存在感ありで、彼の今後のInternationalものに是非期待したいものである。
以前雑誌にレイフの記事が掲載されていたのを読んだ。それには“東京の街は大好きで何度も来ている。この街が良いのは、歩いていても誰も私に気づかず騒がれることがない...” そうなんだレイフって誰も気がつかないんだ...とは一般の方々(映画otakuじゃない)のことであって、わたしを初め、この映画を観にbunkamuraに来ていたレイフ狙いのobasamaたちは、貴方を見かけたら絶対呼びとめることでしょう。
とにかくbunkamuraのシアターはレイフ、ファン(一部ナターシャ、ファンと思われるojisama)で満席であった。bunkamura&シャンテはなぜに?あんなに混むのでしょうか??
上、ソフィアの緑のドレスはシアター出口前(普段売店)に飾ってあります。
2006年 11月 03日
「GOAL!/ゴール!」
これはてっきりUK映画と思っていたがUSA作品である。
アメリカL.Aに家族で不法移民して来たメキシカン・ボーイのサクセス・ストーリー。
観終わってやはり製作は“努力次第で夢が叶う国”アメリカだなと納得した。
とにかく滅茶感動ものであった。なぜに?シアターで観なかったか??実に残念。
FIFAが製作に強力にサポートしたことで注目を集めたらしい。確かに予告は何度も観た。
監督はUK人のダニー・キャノン。主演のサンティアゴ・ムネス役はメキシカンの クノ・ベッカー。彼はセシリア・ロス主演の「カマキリな女/2003」で観たのだが、役柄が違ってるので全然別人状態。サンティアゴの才能を発見するグレーに「ヘイヴン/堕ちた楽園/2004」のスティーヴン・ディレイン。コーチ役で「リトル・ダンサー/2000」「戦場のアリア/2005」でおなじみのゲーリー・ルイスが出演している。
映画の中に、本人役でレアル・マドリッドのスーパースター、ベッカム、ラウール、ジダンが出て来るのもFIFAのおまけか...
貧しいメキシコ人のサンティアゴ(ベッカー)は家族と共にL.A.へ脱出し、父親と共に働き始める。サッカー少年であるサンティアゴはプロになるのが夢。20才になったサンティアゴ、L.A.で知り合ったUK人のスカウトを訪ね、単身イングランドのプレミア・リーグがあるニューカッスルへと旅立つ...
この後、エンディングまでストーリーは滅茶読めるのだが...
いやもう感動してしまって、久方ぶりでレンタルDVDで泣けてしまった。サッカー好きな人必見映画!!
ロバート・カーライル主演の「リトル・ストライカー/2000」と合わせて観たい映画。
Oasis musicも数曲サントラに使われている。
2006年 11月 01日
「ブラック・ダリア」
監督はブライアン・デ・パルマ。
原作は「LAコンフィデンシャル/1997」のジェームス・エルロイが書いたクライム・サスペンスのベストセラー“The Black Dahlia”。
主演の女優はスカーレット・ヨハンソン「理想の女2004」「マッチポイント/2005」。
男優はジョシュ・ハーネット&アーロン・エッカート「抱擁/2001 」 「サンキュー・スモーキング/2005 」「女たちとの会話/2005」。ジョシュって泣き顔が似合う俳優だ。普段でも泣きそうな顔だからか?
この作品ではジョシュが美味しい役でアーロンは少々美味しくない役のような気がする。
1947年、L.A.P.D.のバッキー・ブライカート(ハーネット)とリー・ブランチャード(エッカート)はパートナー。二人は過去にボクサーとして闘った経験がある。リーにはケイ(ヨハンソン)という美しい同居人がいるが、次第にリー、ケイ、バッキーと3人で行動を共にするようになる。
ある日女優の卵である美しい女性が惨殺死体で発見される。彼女の名前はエリザベス・ショート(ミア・カーシュナー)。やがてこの事件は“ブラック・ダリア”と名付けられる。担当になったバッキーとリーは、それぞれが捜査に奔走するが、リーはケイの存在も無視し、事件にのめり込んで行く。
犯人全く予想できずでとても面白いサスペンスだった。
デ・パルマ作品という事で楽しみにしていた。スカーレット・ヨハンソンは若いんだけれど、既に妖艶な魅力を持つ素晴らしい女優だと思う。オスカー女優のヒラリー・スワンクが大した役でもないのに出演していたのには少々驚いた。
2006年 10月 30日
1周年!
今迄ここを訪れてくださった方がたに感謝したいと思います。
これからもマイペース、マイワールドで続けて行ければと願っています。
5年前フランス/ロワールに行った際の写真。
なにせヨーロッパのキング&プリンセスもの大好きなので、この地を訪れるのは長年の夢でありました。上からシャンボール城、シェヴェルニー城、シェノンソー城...シェノンソー城の裏手はうっそうとした森に囲まれ...ひょっとして?今ここに白い馬に乗った素敵な王子が現れるんじゃないか?..なんてとんでもない想像に浸れることぴったしの場所であります!
2006年 10月 23日
19th東京国際映画祭で「ファウンテン」
主演はヒュー・ジャックマンとレイチャル・ワイズ。
監督、脚本は公私共にレイチェルのパートナーであるダーレン・アロノフスキー。
映画のチラシには...ヒュー・ジャックマン「ニューヨークの恋人/2001」とレイチェル・ワイズ「ナイロビの蜂/2005」が奏でる“永遠の愛”を探す物語...とある。しかし監督はあの「π/1998」のアロノフスキーなんで、単なるLove Storyでは終わらないだろうな??と観に行ったが案の定であった。これも又今ハリウッドで流行なのか?“時空を超えた真実の愛の物語”。
今一度映画のチラシによると...
“永遠に生きられるとしたら、あなたはどうする?愛する女性を救うため、1人の男が異なる3つの時代を旅する壮大なる叙事詩。それは時空を超えた、真実の愛を探す物語。”
アメリカ人て真実の愛にとても弱いような気がする。それは離婚組が多いためなのかもしれない...
16世紀のスペイン、支配者トーマス(ジャックマン)は不死を約束するという“ファウンテン・オブ・ユース(若さの泉)”の捜査を開始していた。スペイン女王イザベル(ワイズ)を敵から守るため...
現代、科学者のトミー(ジャックマン)は猿をモルモットに、日夜癌の治療法を探し求めている。それは癌に侵された愛する妻イジー(ワイズ)のためであった。
未来、26世紀、宇宙飛行士のトム(ジャックマン)は、1000年の間思い続けていたミステリーの答えを求めていた。
ストーリーはめまぐるしく16世紀から、現代、26世紀へと移行し...途中ではっきり言って何がなんだか解らない状態だった。
26世紀、宇宙飛行士トムはスキン・ヘッドで修行僧の衣装だったが??...これもなんか良く解っていないで観ていた気がする。
この監督の作品は「π」もそうだが、ノーマルな頭では理解できないものがあるのではないだろうか?
いつか何処かの記事でレイチェル・ワイズが、ダーレン・アロノフスキーを評して、“あんなに頭の良い人に会った事ないわ!”とかなんとか読んだ記憶があるが...
しかしヒュー!スキン・ヘッド似合わないなぁ。美形でもスキン・ヘッドって似合う人と、似合わない人いるんだと納得。
監督がレイチェルを美しく、さらに美しく撮っているのに、個人的な感情が入っているのか?なんて余計な気持ちを抱いたがいかがなものか...
やはり凡人にはすんなりと理解出来ないダーレン・アロノフスキー作品である。
2007年に銀座テアトルシネマでロード・ショー公開されるとのこと。