2018年 10月 28日
「クレイジー・リッチ!」
「Crazy Rich!」2018 USA
ニューヨークに住む中国系アメリカンのレイチェルは恋人のニックに誘われ彼の故郷シンガポールの地を踏む…
シンガポールに入ったレイチェルは、ニックがアジア屈指の不動産王の御曹司であることを知る。
レイチェルはニックの親戚や友人から財産目当てと決めつけられ困り果てる。特に独身セレブ女子が、ニックを奪った女!と激しい嫉妬心を募らせ、ニックの母親も財産目当ての憎き女!と、2人の中を裂こうと奮闘する。
ドラマは絶対ハッピーエンドになると想像できるし、終始ドタバタして馬鹿馬鹿しいけど面白かった。
オープニングのロンドンのホテルのシーン最高!
ヒロインを始めとしてほとんど皆チャイニーズなんだろうな?と思っていたら、エンドクレジットでソノヤ・ミズノの名前発見!。ニックの親友コリンの花嫁役でウエディング・ドレス姿がとても綺麗(映画を見ている間は彼女だとわからなかったけど...)。
元ボンドガールでマレーシア出身のミシェル・ヨーがヒロインの恋人のマザー役で出演していてナイス。
本作は主要キャスト全員アジア系俳優のハリウッド映画。今年の8月にアメリカで公開されナンバーワンヒットとなった。アジア系俳優だけでのナンバーワン映画は初めてらしい。
例によって”Hollywood Express”で毎週のように紹介されていてちょっと気になっていた。10月の初めに鑑賞したのだがレビューを書くのをすっかり忘れていた。
映画の舞台はシンガポールで半端ない金持ち一族の姿が描かれている。そしてとうとう中国で公開される模様。映画には実在のリッチマンが登場していて、その人は中国人にはわかり物議をかもすかも?ということらしい。
レイチェル・チュウにコンスタンス・ウー。
ニック・ヤンにヘンリー・ゴールディング。
エレノア・ヤンに「The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛/2011」「メカニック:ワールドミッション/2016」のミシェル・ヨー。
アストリッド・ヤン・テオにジェンマ・チャン。
ペク・リンに「オーシャンズ8/2018」のアウクワフィナ。
アラミンタ・リーに「ラ・ラ・ランド/2016」のソノヤ・ミズノ。
コリン・クーにクリス・パン。
ニックの祖母に「危険な関係/2012」のリサ・ルー。
Wye Mun Gohに「ハングオーバー!シリーズ/2009~2013」のケン・チョン。
監督は「グランド・イリュージョン 見破られたトリック/2016」のジョン・M・チュウ。
丸の内ピカデリーにて
2018年 10月 22日
「運命は踊る」
「Foxtrot」 2017 イスラエル/スイス/ドイツ/フランス
ある日、テルアビブに住むミハエルとダフナ夫妻のもとに息子のヨナタンが戦死したとの知らせが届く。母のダフナは突然の訃報にショックで寝込み、父ミハエルも役人の対応に苛立ちを募らせていく。そんな中、戦死したのは同姓同名の別人だったと再び役人が知らせにくる。安堵はしたものの、軍の不手際に不信感を覚え、ミハエルは役人に怒りを爆発させる…
ヨナタンは戦死しなかったが、彼と同姓同名の男は亡くなり、その家族は戦争の犠牲者となる。
ドラマの中に戦争は出てこない。ヨナタンが仲間の兵士と検問所にいる様は退屈しているような雰囲気で、彼らの国で争いが起こっているなど想像もできないほど。しかしある通行人の行動で非常事態が勃発する。
”人は、運命を避けようとしてとった道でしばしば運命に出会う”…フランスの詩人ラ・フォンテーヌの言葉。
それはラストにつながり言い得て妙である。
ドラマは不条理な運命を描いているが、少々ユーモア(ブラックではない)が入っていて笑える。
閑散とした検問所で銃を抱え”Foxtrot”するヨナタンや、検問所のバー(柵)が上がり悠々と通過するラクダがオカシイ。
ヨナタンが仲間の兵士と寝食を共にするコンテナが沼地にあるため傾きかけている。缶詰を転がしてその速度を測り、日々傾きの斜度が増していると、仲間の兵士と議論する姿は滑稽。しかしながらあのコンテナの汚さに唖然!あれじゃバイキンだらけで彼らは汚染されるんじゃないかと心配になる。
過去に見たイスラエル映画の「迷子の警察音楽隊/2007」「オオカミは嘘をつく/2013」にもユーモラスなシーンが上手く描かれている。
ミハエルに「オオカミは嘘をつく」のリオル・アシュケナージ。
ダフナに「ジェリーフィッシュ/2007」のサラ・アドラー。
ヨナタンにヨナタン・シレイ。
ヨナタンの妹アルマにシラ・ハース。
監督、脚本は「レバノン/2009」のサミュエル・マオズ。
新宿武蔵野館にて
2018年 10月 20日
「かごの中の瞳」
「All I See Is You」2016 タイ/USA
タイ、バンコクに暮らすジーナは子どもの頃に交通事故に遭い視力を失っていた。しかし優しい夫ジェームズに支えられ、何不自由のない幸せな日々を過ごしている。そんなある日、角膜移植の手術を受けることが可能になる。手術によって片方の視力を取り戻したジーナは嬉しさに感動するするが、初めて目にした夫ジェームズに少し失望するのだった…
視力を回復した妻ジーナは人生を楽しむようになり、髪をブロンドに染めますます美しくなっていく。一方でジェームズは次第に自分から離れていく若くて美しい妻に不安と疑念がないまぜになり嫉妬心を募らせる。
夫婦は子供を切望している、しかし子供は中々授からない。ある時、ジェームズは検査をする。結果、彼の精子は少なく、精子をもらうか、養子を取るよう勧められる。しかしジーナはそのことを知らない。そして次第に目が見えなくても幸せだった日々が崩れ始める。ジェームズはジーナの目が不自由の方が彼女を独占でき自分にとっては幸せと思っていたに違いない。
”想像と違っただけ…”と夫に告白するジーナ。そう、優しい夫は中年のオヤジだった。若くて美しい妻は夫に失望したのだ。ドラマのラストは衝撃的かつ残酷。少々後味の悪いドラマだった。
ブレイク・ライヴリーを初めて見たのは「旅するジーンズと16歳の夏/2005」。とてもチャーミングな彼女が印象に残っている。あれから10年以上たった今ではチャーミング+ゴージャスな女優。
彼女がドラマの中で"Double Dutch" をギター片手に歌っているシーンが素敵。
監督のマーク・フォースターの作る映画は”007”も含めてジャンルが多彩。ハル・ベリーがオスカーに輝いた「チョコレート/2001」と、アフガニスタンから父親と共にアメリカに亡命、作家となった男の感動のドラマ「君のためなら千回でも/2007」など素晴らしい。
ジーナに「カフェ・ソサエティ/2016」のブレイク・ライヴリー。
ジェームズに「チャイルド44 森に消えた子供たち/2014」「聖杯たちの騎士/2015」のジェイソン・クラーク。
ヒューズ医師に「汚れたミルク あるセールスマンの告発/2014」のダニー・ヒューストン。
ダニエルに「告発のとき/2009」「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~/2011」のウェス・チャサム。
ジーナの姉カーラに「フルートベール駅で /2013」「スティーブ・ジョブズ/2013」のアナ・オライリー。
カーラの夫ラモンにミケル・フェルナンデス。
カレンに「アイ・フランケンシュタイン/2014」「白い闇の女/2016」のイヴォンヌ・ストラホフスキー。
監督、脚本、製作は「プーと大人になった僕/2018」のマーク・フォースター。
TOHOシネマズシャンテにて
2018年 10月 17日
「ブレイン・ゲーム」
「Solace」2015 USA
FBI特別捜査官のジョー・メリウェザーは相棒のキャサリンと連続殺人事件の捜査に当たっているが中々解決に至らず、ある日、元同僚で今では隠遁生活を送るジョンの家を訪ねる…
ジョンの参加で容疑者が浮上してくる。その男はジョンと同じく優れた予知能力を持っていた。やがてジョンと男の戦いが始まる。
超能力を信じていないFBI特別捜査官のキャサリン・コウルズと、精神科医を信じていないアナリスト兼医師のジョン・クランシー博士。ずば抜けた予知能力を持つジョンと精神科医の資格を持つFBIのキャサリンの組み合わせが面白い。
映像がスタイリッシュで、展開も素早くて観客を釘付けにする。とてもスリリングなサスペンスだがテーマはかなりアブノーマルでよくぞ公開されたと思う。容疑者チャールズが”神は関係ない!”と言っていたが、劇中十字架が繰り返し登場し、チャールズ自ら体を十字にするシーンもあり宗教からは切り離せないイメージ。
大好きなコリン出演作ながら彼は中盤以降にしか登場しないのが残念。何となくコリンが前公開作品より若いと思っていたら映画は2015年製作だった。
アビーは「スリー・ビルボード」では地味なキャラだったが本作ではスゴくかっこいい!ので大満足。彼女は大のお気に入り女優。
実はアンソニー・ホプキンスは大の苦手。コリンとアビーが出演していなかったら見送っていた可能性が高い。しかしながらホプキンスは予知能力を持つジョンがハマっている。
映画を見終わってロマン・デュリスの”人の死期が分かる男”を描いた「メッセージ そして、愛が残る/2008」を思い出した。
ジョン・クランシー博士に「ハイネケン誘拐の代償/2014」のアンソニー・ホプキンス。
ジョー・メリウェザーに「ウォッチメン/2009」「悪党に粛清を/2015」のジェフリー・ディーン・モーガン。
キャサリン・コウルズに「スリー・ビルボード/2017」のアビー・コーニッシュ。
チャールズ・アンブローズに「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア/2017」のコリン・ファレル。
監督はアフォンソ・ポヤルト。
新宿武蔵野館にて
2018年 10月 08日
「クワイエット・プレイス」
「A Quiet Place」2018 USA
ある時、地球は”何か”に襲われて壊滅状態に陥る。そんな中、リーとエヴリン夫婦は3人の子供と共になんとか生き延び、家族は田舎で素足で行動し、音を立てない自給自足の生活を送っていた…
あの状態で妊娠するなんて危険すぎると思ったけど、このドラマにエヴリンの出産シーンは欠かせないなと納得した。上、ポスターにもなってるし…。
亡くなった長男の墓標に”2016~2020”と記されていたので、ドラマは近未来ではなく2年後に設定してある。
音に反応するエイリアンだけあって耳が大きくて、中も特徴があり面白い。父リーが作った補聴器をつけた聴覚障害者のリーガンとエイリアンが同時に反応する様も興味深かった。
ラスト、ライフル銃を装填するエヴリンがカッコ良かった。母は強し!
エイリアン映画ってかなり食傷気味ながら本作のエイリアンは中々の代物。昨今公開されるサスペンス・ホラーにはあまりそそられないが、これはナイスで見ごたえがあった。そしてエヴリンのラストのシーンで続を予感。
実生活でも夫婦のジョン&エミリーがナイス・キャスティング。
本作もwowowで放送している”Hollywood Express”で繰り返し紹介していた1作。低予算で作られた映画だったが全米でNo.1ヒットを記録した。
エヴリンに「ガール・オン・ザ・トレイン/2016」のエミリー・ブラント。
監督、脚本、製作総指揮、出演(リー)に「かけひきは、恋のはじまり/2008」「だれもがクジラを愛してる。/2012」「プロミスト・ランド/2012」のジョン・クラシンスキー。
リーガンに「ワンダーストラック/2017」のミリセント・シモンズ。
マーカスにノア・ジュープ。
TOHOシネマズ日比谷にて