2019年 10月 18日
「イエスタデイ」
「Yesterday」2019 UK/ロシア/中国
英国サフォークに住むジャックは売れないミュージシャン。幼なじみで教師のエリーがマネージャーをしてジャックを支え励ます日々。ある時、世界規模で12秒間の大停電が起こる。その瞬間交通事故に巻き込まれたジャックは意識を失い病院へ運び込まれる。やがて目覚めると誰もあのビートルズを知らなかった…
ビートルズ、コカコーラ(コーク)、そしてタバコがこの世からなくなってしまった発想は監督のアイデア?
ビートルズの大ファンなのでとても楽しみにしていた。リバプール(下写真)へも行ったし。
見ている間ラストはどうくる?と思っていた。ビートルズに敬意を表したあのラスト展開は素晴らしかった。
ビートルズを作った男ジョン・レノンを生き返らせたのはニクい演出。
監督が「これは、ビートルズへのラブレターだ」と語っているのに大賛成!
ジャックがPCに”The Beatles”と入力したら”Beetle/カブトムシ”に変換され、”John Paul George Ringo”と入れたら”John Paul II/ヨハネ・パウロ2世”に変換!と驚くばかり。
ビートルズの楽曲を必死で思いだそうと頑張るジャックが面白い。
リリー・ジェームズがキュート!
ジャックをスターにして一攫千金を狙うL.A.の敏腕プロデューサー役のケイト・マッキノンはナイスキャスティング!
ロバート・カーライルがノンクレジットで出演していたって?気がつかなかくて残念。
「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期/2016」で野外ロック・フェスに本人役で出演していた時もブリジットに無視されていたエド・シーラン。今回もジャックの両親に無視されて”エド・シーランに似てるね?”なんてジャックの父親に言われていた。
前にwowowで放送していたエド・シーランのライブを見てAmazonでCDを買った。彼の楽曲はメロディがナイスで、グラミー賞4回受賞のシンガーソングライター。風貌は隣の兄ちゃん以外の何物でもないエド。人懐っこい顔といつもカジュアルなファッションせいかも知れない。
本作ではセリフも多く俳優としても頑張っている。
ジャックが歌う”The Long And Winding Road”に感嘆するエド。やはりポール・マッカートニーにはかなわない?
エンディングはポールの歌う”Hey Jude”だった。
ジャック・マリクにヒメーシュ・パテル。
エリー・アップルトンに「ガーンジー島の読書会の秘密/2018」のリリー・ジェームズ。
デブラ・ハマーに「ゴーストバスターズ/2016」のケイト・マッキノン。
ロッキーにジョエル・フライ。
エド・シーラン(本人役)
ジェームズ・コーデン(本人役)「ピーターラビット/2018」。
監督、製作は「T2 トレインスポッティング/2017」のダニー・ボイル。
TOHOシネマズ日比谷にて
2019年 10月 16日
「ホテル・ムンバイ」
「Hotel Mumbai」2018 オーストラリア/USA/UK/インド/シンガポール
”2008年に無差別テロの襲撃を受けたインドの5つ星ホテルで起きた衝撃の実話を映画化した実録群像サスペンス。”
2008年、インドで同時多発テロが発生し、ムンバイの5つ星のタージマハル・パレス・ホテルがテロリスト集団に占拠される。イスラム武装勢力は閉じ込められた500人以上の客を人質に取り立てこもる。
大都市ムンバイで愛する臨月の妻と幼い娘と暮らすアルジュンはタージマハル・パレス・ホテルの従業員で、その仕事に誇りを持っている。今日も職場に向かいいつも通り宿泊客を迎える準備をする。やがて突然無慈悲な銃弾が飛び交う音が聞こえホテルはテロリスト集団に占拠されてしまう。
オべロイ料理長が”宿泊客を救う!”と宣言し、アルジュンも”ここが私の家です”とホテルに残りオべロイ料理長指揮のもと宿泊客を救うため奔走する。
一方でアメリカ人建築家デヴィッドは妻ザーラと生まれたばかりの娘とナニーのサリーと共に宿泊していた。妻と食事中、娘とサリーが部屋に取り残されていることに愕然とするがデヴィッドは危険も顧みないで行動を起こす。
この事件は記憶にある。日本ではR15プラスでの公開で、テロリストたちの攻撃が激しく生々しく描かれている。実際に起こった事件なのでとても臨場感がある。そして犠牲者の多くはホテルマンだった。
アルジュンやオべロイ料理長など、ホテルマンが宿泊客を救おうと奔走する姿に感動する。
オーストラリアやアメリカでは昨年の秋に公開され、Hollywood Expressで何度か紹介していて興味があった。そう、やっと見ることができた。
デヴ・パテルはアツいキャラが似合う。
ケネス・ブラナーの監督&エルキュール・ポアロ第三弾「Death on the Nile/ナイル殺人事件/2020」にアーミー・ハマーが主要なキャストで出演し現在filming中。
アルジュンに「LION ライオン 25年目のただいま/2016」のデヴ・パテル。
デヴィッドに「ビリーブ未来への大逆転/2018」のアーミー・ハマー。
ザーラにナザニン・ボニアディ。
サリーにティルダ・コバン=ハーヴィー。
オべロイ料理長に「ベッカムに恋して/2002」「世界にひとつのプレイブック/2012」のアヌパム・カー。
ワシリーに「スターリンの葬送狂騒曲/2017」のジェイソン・アイザックス。
監督。脚本、編集はアンソニー・マラス。
TOHOシネマズ日比谷にて
2019年 10月 15日
「帰ってきたムッソリーニ」
「Sono tornato」2018 イタリア
ある日、1945年に死んだはずの独裁者ムッソリーニがローマの街に現れる。偶然その姿をカメラに収めたのは売れない映像作家のカナレッティ。彼はムッソリーニのそっくりさんをネタにドキュメンタリー映画を撮ろうと考える…
イタリア映画祭2019での上映作品。
ムッソリーニ映画は「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女/2009」を見ている。主人公はムッソリーニの愛人で最初の妻となったイーダ・ダルセル。ドラマは若き日のムッソリーニを描いている。ちなみにムッソリーニが1945年にレジスタンスによって処刑された際の愛人はクラレッタ・ペタッチ。
「帰ってきたヒトラー/2015」のリメイクであるイタリア版はあまり面白くなっかった。ドイツ版がかなりインパクトあったから、こちらは二番煎じで、柳の下の二匹目のドジョウ狙いは失敗に終わった?
イタリアではヒットしたかも知れないが、日本人にとっても世界中の人々にとってもヒトラーとムッソリーニを比べると断然ヒトラーが有名な人物で理解しやすい。
本作もオリジナルと同じく街中でマッシモ・ポポリツィオ扮するムッソリーニに駆け寄るのはエキストラではなく一般市民。
フランチェスカの祖母がアウシュヴィッツの生き残りで、ドイツ版同様ムッソリーニを激しく罵るシーンはしっかりと組み込まれている。
カナレッティと一緒にイタリアをめぐる旅でムッソリーニにまつわる場所が登場する。かつて彼が住んでいたローマのヴェネツィア宮殿(ヴェネツィア広場に面していて、現在はヴェネツィア博物館)に入り、眠りこけてしまう様は面白かった。
ベニート・ムッソリーニに「イル・ディーヴォ-魔王と呼ばれた男-/2008」「レオパルディ/2014」のマッシモ・ポポリツィオ。
カナレッティにフランク・マターノ。
カティア・ベッリーニに「ヘヴン/2002」「三銃士 妖婦ミレディの陰謀/2005」のステファニア・ロッカ。
フランチェスカにエレオノーラ・ベルカミーノ。
監督、脚本はルカ・ミニエーロ。
新宿武蔵野館にて
2019年 10月 14日
「レディ・マエストロ」
「De dirigent」…aka「Lady Maestro」2018 オランダ/ベルギー
”アントニア・ブリコの知られざる波瀾万丈の人生を映画化した音楽伝記ドラマ。”
1926年のニューヨーク。養父母とオランダから移民してきたアントニアは音楽に強い情熱を持っている。しかし家が貧乏なため音楽教育を受けることができない。狭いアパートで養父が拾ってきたピアノを弾く時も外に音が漏れないようにしなければならなかった。アントニアはコンサートホールで客席案内係りとして働いていたが、不謹慎な行動を非難されクビになる。職探しをするうちナイトクラブを経営するロビンに誘われピアノ弾きの仕事にありつく。一方で街の公園の演奏会でマーク・ゴールドスミスと出会ったアントニアはピアノを教えて欲しいと願いでる。やがて音楽学校に入学したアントニアは才能を開花させていく。
アントニアは後に恋人となるフランク・トムセンのリッチな親が催すパーティで同郷のオランダ人指揮者ウィレム・メンゲルベルクを紹介されている。世界的に活躍するドイツ人指揮者カール・ムックに教わることに成功したのはメンゲルベルクの計らいと彼女の執念だった。
カール・ムックは”女一人対男100人だ 従わせるためにはどうする?”と迫り、コンサートマスターは”高慢な女の命令はごめんだ”と訴える。そんな状況に凹むアントニア。しかしムックはアントニアの才能と音楽に対する情熱を買っていたので彼女を元気付けるのだった。
オーケストラの指揮者は男性しかなれないと思われていた時代(1920年代)に夢を叶えたアントニア・ブリコって実に強い女性だと感嘆する。
伝記なので真実を描いている。でもセレヴの恋人フランク・トムセンとのエピソードはまるでメロドラマのようにありえないくらいドラマティック。
ドイツに留学して著名な指揮者カール・ムックに教えを受けたアントニア。彼女に資金援助をしたのはあの人!だったというのもナイス。
先だって”ブザンソン国際指揮者コンクール”で日本人女性が優勝したというニュースを(調べたら9/23日で優勝者は沖澤のどかさん)思い出した。
アントニア・ブリコにクリスタン・デ・ブラーン。
フランク・トムセンに「静かなる情熱 エミリ・ディキンスン/2016」のベンジャミン・ウェインライト。
ロビン・ジョーンズにスコット・ターナー・スコフィールド
マーク・ゴールドスミスにシェイマス・F・サージェント。
アントニアの母にアネット・マレァブ。
アントニアの父にレイモント・ティリ。
ウィレム・メンゲルベルクにハイス・ショールテン・ヴァン・アシャット。
カール・ムックに「ラストミッション/2014」「修道士は沈黙する/2016」のリヒャルト・サメル。
ミセス・トムセンにショーン・トーマス
ミスター・トムセンにティム・アハーン。
監督、脚本はマリア・ペーテルス。
Bunkamura ル・シネマにて
2019年 10月 10日
「Mr.&Ms.スティーラー」
「Lying and Stealing」2019 USA
LAに暮らすアイヴァンは審美眼を持つ凄腕の美術品泥棒。組織のボス、ディミトリの命を受けて数々の盗みを繰り返してきたが、そろそろ足を洗いたいと考えている。ある夜、豪邸のパーティに忍び込み狙いのものを手に入れることに成功。そしてパーティで美女エリスと出会う…
イヴァンが最初に強奪したのはアートのお値段に出てきたジェフ・クーンズの”ラビット”。
アイヴァンには統合失調症で無職の兄レイがいる。そして組織のボス、ディミトリに兄弟の亡くなった父に関する弱みを握られている。
エリスはハリウッド女優だったがある事件をきっかけに仕事を干された上多額の借金を抱え、今では美貌を武器に詐欺師として生活している。
偶然出会った二人が手を組み、レイも誘い込んでディミトリを陥れようとする様がすごくスタイリッシュかつスリリングで面白かった。
シアターにかかっていた予告編で、”テオ・ジェームズが凄腕の美術品泥棒役の超一級強奪エンターテインメント!”とあり、これは見なきゃと楽しみにしていた一作。
映画の公開は1週間でレイトショーのみ。こんな素敵な映画なのに実にもったいない。日本の配給会社って出演俳優で決める傾向にあるらしい。
邦題についている”Mr.&Ms.”はブラッド&アンジーの「Mr.&Mrs.スミス」をもじったに違いないけど、ちょっと違うのじゃないかな?
主演のテオ・ジェームズは多くのお気に入り俳優がいる英国人。この方かなり素敵なのだけどなぜか出演映画がパッとしない。レビューは書いていないがシターで鑑賞した「バグダッド・スキャンダル/2018」のテオはクールだった。
美竹通りのcocoti SHIBUYAの中にあるヒューマントラストシネマ渋谷は、同じく渋谷のシアター・イメージフォーラムと並ぶミニシアター映画館。シアター・イメージフォーラムはヨーロッパ映画と邦画がほとんどだが、ヒューマントラストシネマ渋谷は世界中(DVDスルーを免れたUSA映画多し)の映画を公開している。最近映画館に行く時間が増えたので、今まで見たいけどスルーしていた映画を見ることができるようになった。で、この映画館は最高!
アイヴァンに「ローズの秘密の頁/2016」のテオ・ジェームズ。
エリスに「アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング/2018」のエミリー・ラタコウスキー。
ディミトリに「おとなのワケあり恋愛講座/2014」のフレッド・メラメッド。
レイにエボン・モス=バクラック。
FBIエージェントにフランク・ガレゴス。
監督はマット・アセルトン。
ヒューマントラストシネマ渋谷にて