カテゴリ:ヨーロッパ( 57 )

「心と体と」

Teströl és lélekröl…akaOn Body and Soul2017 ハンガリー

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マーリアはブタペスト郊外にある食肉処理場で代理職員として働いている。コミュニケーションが苦手な彼女は職場に馴染むことができず孤立している。マーリアの上司のエンドレは片手が不自由な中年男で妻と別れて一人暮らし。エンドレはマーリアが気がかりだが首尾よくアプローチすることができない。そんなある日、社内で盗難事件が発生し、全従業員が精神分析医クラーラのカウンセリングを受けることになる


映画のオープニングは二頭の鹿が水辺にいるシーン。ドラマが進み二頭の鹿は夢の中のマーリアとエンドレに重なる。

ある時、同じ夢を同じベッドでみようと計画した二人はエンドレの家で眠ることになる。しかし互いに寝付けずトランプを始めてしまう。不器用な二人は互いが側にいると緊張してしまうのかも知れない。


食肉処理場での牛の屠殺、解体のシーンがかなり残酷でちょっと引いた。エンドレが従業員を採用する際精神的にキツい仕事だが耐えられるか?と質問する台詞があったのを思い出す。ドラマの中でも血だらけのシーンが何度か登場し、盗難事件で捜査に来た刑事が失神していた一方で従業員はランチで屠殺され加工された肉を普通に食べている。特殊な世界を垣間見た。


タイトルの「心と体と」マーリアは心に欠陥があり、エンドレは体に欠陥がある。同じ夢を見たことで二人が歩み寄り結ばれるラヴ・ストーリーはとてもユニーーク。

血が溢れ出る食肉処理場のシーンが、マーリアエンドレが見る美しい夢のシーンによってかき消されているようにも思えた。

マーリア役のアレクサンドラ・ボルベーイが心を病む女性を素敵に演じている。


マーリアにアレクサンドラ・ボルベーイ。

エンドレにゲーザ・モルチャーニ。

クラーラにレーカ・テンキ。

シャーンドルにエルヴィン・ナジ。

監督、脚本は「私の20世紀/1989」のイルディコー・エニェディ。


新宿シネマカリテにて(既に上映終了)



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by margot2005 | 2018-05-23 20:33 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「ザ・スクエア 思いやりの聖域」

The Square2017 スウェーデン/ドイツ/フランス/デンマーク 

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バツイチのクリスティアンは可愛い二人の娘の父親で現代美術館のキュレーターをしている。彼は次の展覧会ですべての人が平等の権利を持ち、公平に扱われるということをテーマに掲げた参加型アート思いやりの聖域/ザ・スクエアを発表する。そんなある朝、出勤途中のクリスティアンはスリに遭い財布とスマホ、そしてお気に入りのカフスボタンまで盗まれてしまう


GPS機能を使って犯人の住まいを突き止めたのはナイスだったが、集合住宅のそれぞれの部屋に脅迫めいたビラを配布したことで騒動が起きる。

でもクリスティアンのサイフとスマホが、そのままで戻ってきたのが摩訶不思議。犯人はなぜ金を取らなかったのだろう?

そうそうクリスティアンに迫る少年のしつこさに驚き。


ショッピングセンターで迷子になった娘たちを探すクリスティアン。助けを求めるものの誰も取り合ってくれない。結局彼が助けを求めオーケイしてくれたのは物乞いの男だった。

ドラマの中、幾度か物乞いの男女が登場する。過去に行ったフランスやイタリアで何度も見かけた物乞い。日本ではもはや見かけなくなったが、ヨーロッパは物乞い天国なのかも知れない。

ハンバーガーショップでクリスティアンに玉ねぎ抜きのサンドイッチをねだる物乞いのおばさんに唖然!良い人のクリスティアンも玉ねぎは自分で抜け!と言っていたけど

アーティスト、ジュリアンがインタビューを受けるシーン...女性司会者に卑猥なヤジを飛ばす男をかばう面々の姿にはちょっと呆れた


「フレンチアルプスで起きたこと」がとても面白かったので楽しみにしていた一作。ヨーロッパ映画ながら意外にも上映時間が長かったが、だらだらとした感じはなくて最後までこの悲喜劇を楽しむことができた。


本作でブレイクしたという主演のデンマーク人俳優のクレス・バングがトラブルに巻き込まれまくる男を好演している。「猿の惑星リプート・シリーズ」を見ていないのでテリー・ノタリーに初めてお目にかかった。ちょっとマーク・ウォールバーグ似の彼のパフォーマンスはスゴ過ぎる。


スウェーデンやデンマーク映画の楽しみの一つはインテリアやテーブルウェア。会議のシーンに登場したガラスのコーヒーカップがシンプルながらオシャレだった。


クリスティアンにクレス・バング。

アンに「ハイ・ライズ/2015」「ニュースの真相/2015」のエリザベス・モス。

ジュリアンに「マネーモンスター/2016」のドミニク・ウェスト。

オレグに「猿の惑星リプート・シリーズ/20112017」のテリー・ノタリー。

監督、脚本、編集は「フレンチアルプスで起きたこと/2014」のリューベン・オストルンド。


ヒューマントラストシネマ有楽町にて



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by margot2005 | 2018-05-22 22:17 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(2)

「花咲くころ」

Grzeli nateli dgeebi」…aka「 In Bloom」2013 ジョージア/ドイツ/フランス

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1992年春、ジョージアの首都トビリシ。ソ連から独立した後に起こった内戦で不安定な政治情勢が続いている地に暮らす14歳の少女エカとナティアは親友同士。

エカは父親不在で、母親と何かと干渉してくる姉との三人家族。ナティアの家庭は酒に酔っては暴れる父親のせいで荒んでいる。生活物資が不足しているためパンも配給制で今日も長い列ができているが、そんな時、二人は楽しいおしゃべりに興じるのだった。ある日、ナティアは彼女に好意を持つ青年ラドから護身用に拳銃をプレゼントされる…


エカが少年からいじめに合っていることを知っているナティアは彼らを銃で脅すよう命じる。エカはナティアが銃を持っていることに終始反対していた。しかしある時、ナティアの弟が少年にいじめられているのを目の当たりにし銃で彼らを脅してしまう。

程なくナティアは青年ラドではなく、しつこく結婚しようと迫る青年コテと結婚する。

14歳で結婚って!それも誘拐されての結婚!ドラマを見て誘拐婚というものがあることを知った。


双方の親が盛り上がる披露宴で鬱ぎ込むナティア。エカは親友ナティアの結婚が理解できない。やがてダンスに興じる人々の仲間入りしたエカが突然踊りだしたのだ。あのシーンには驚いたがとても素敵だった。

ナティアはコテとの結婚も宿命と諦め悲しい現実を受け入れる。そして不在だった父親に会いに刑務所を訪ねるエカのシーンでラストを迎える。


旧ソ連ジョージアの隣国はトルコ。本作を見てトルコの黒海沿岸の小さな村を舞台に描いた「裸足の季節/2015」を思い出した。男性や親に逆らえない少女たちが哀れだ。

主演の二人はサラエボ映画祭で最優秀主演女優賞に輝いた。1999年と1998年生まれの主演の二人が瑞々しい美しさでタイトルにぴったり。


岩波ホール創立50周年記念作品第一弾と銘打って公開された。神保町の岩波ホールに映画を見に行くようになって20年くらいたつかな?と思う。公開される映画は圧倒的にヨーロッパ映画。で、岩波ホールはヨーロッパ映画好きな私のお気に入り映画館。


エカにリカ・バブルアニ。

ナティアにマリアム・ボケリア。

コテにズラブ・ゴガラーゼ。

ラドにダタ・ザカレイシュヴィリ。

監督はナナ・エクフティミシュヴィリ&ジモン・グロス。


岩波ホールにて 3/16まで



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by margot2005 | 2018-03-16 23:57 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「ヒトラーに屈しなかった国王」

Kongens nei…akaThe King's Choice2016 ノルウェー

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194049日のノルウェー、オスロ。宮殿の庭で孫と雪遊びに興じるホーコン7世はナチスドイツが侵攻してきたことを皇太子のオラフ5世から知らされる。やがてノルウェー軍が参戦するが軍事力に乏しいノルウェーの主要都市は次々と陥落して行く。

一方で駐ノルウェー・ドイツ公使ブロイアーはヒトラーの命を受けホーコン7世に降伏を求める。ホーコン7世の兄でデンマーク王のクリスチャンは既にナチスドイツに降伏していた。しかしホーコン7世はブロイアーの要求に抵抗する…


ナチスドイツに降伏を迫られたノルウェー国王ホーコン7世が決断を下すまでの3日間を描いた歴史ドラマで、母親や兄弟とアメリカ合衆国に亡命していたハーラル(ハーラル5世現国王)とホーコン7世が再会を果たすシーンでラストを迎える。その時、幼い頃に別れた国王の可愛い孫は少年に成長していた。


公式サイトに”私は決断する...愛する国民のために。”とあるように国王の心意気が感じられる見応えのある歴史ドラマだった。

鑑賞したのは最終上映の週。で、また驚いたのはシアターがかなり混雑していたこと。前回見た「ルージュの手紙」もそうだったが、このシアターはなぜか?作品の上映期間が短い気がする。


かつてこの国はスウェーデン=ノルウェー連合王国だった。

ノルウェーいえばヴァイキング、フィヨルドと、スーパーの魚売り場に並ぶアトランティックサーモン。ノルウェーサバもよく見かける。

ノルウェーで思い出したのはベント・ハーメル監督。彼の作る映画「ホルテンさんのはじめての冒険/2007」「クリスマスのその夜に/2010」は独特の世界で、ハーメル監督以外のノルウェー映画も風変わりものが多い。一部のノルウェーの人の感性って独特(個性的)なのかも知れない。


主演のイェスパー・クリステンセンは「僕とカミンスキーの旅」の天才画家や「007シリーズ」のMr.ホワイトとは全く別人の顔を見せる稀有な俳優。ノルウェー語、ドイツ語、英語と作品によって異なった言語で話す彼は何ヶ国語話せるのだろう?なんて想像してしまう。本作のノルウェー国王役も似合っている。


ホーコン7世(ノルウェー国王)に「僕とカミンスキーの旅/2015」 のイェスパー・クリステンセン。

オラフ5世(ノルウェー皇太子)に「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車/2014」のアンドレス・バースモ・クリスティアンセン。

マッタ(ノルウェー皇太子妃)に「ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男/2005」のツヴァ・ノヴォトニー。

ブロイアー(駐ノルウェー・ドイツ公使)に「マーラー 君に捧げるアダージョ/2010」のカール・マルコヴィクス。

アンネリーゼ(ブロイアーの妻)に「ヒトラー暗殺、13分の誤算/2015」のカタリーナ・シュットラー。

ダイアナ(ドイツ公使館秘書)に「ヒトラー ~最期の12日間~/2004」のユリアーネ・ケーラー。

監督は「おやすみなさいを言いたくて/2013」のエリック・ポッペ。


シネスイッチ銀座にて(既に上映終了)



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by margot2005 | 2018-01-27 21:42 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」

The Zookeeper's Wife2017 チェコ/UKUSA

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1939年、ポーランド。ヤンとアントニーナ夫妻はワルシャワでヨーロッパ最大級の動物園を営んでいる。そんな中、ドイツがポーランドに侵攻し第二次世界対戦が勃発。そして次第に動物園の運営も危うくなってくるのだった…


ナチスの占領下となったポーランド。やがて夫妻が運営するワルシャワの動物園にはナチスがやってきて施設を占領してしまう。動物たちがいなくなった獣舎にユダヤ人たちを匿うアントニーナは、ヒトラー直属の動物学者ヘックの突然の訪問に怯える日々を送ることになる。


戦争のため銃殺された動物たち。動物をこよなく愛する夫妻の辛さは想像を絶する。ナチス占領下のポーランドで、動物園の園長夫妻が外交官の杉原千畝ばりに300人ものユダヤ人を助けた史実があったことを知って驚きつつも感動を覚えた。

ゲットーから連れだしたユダヤ人たちに、秘密裏にパスポートを与えナチスから彼らを救ったのだ。密告により二人の女性が銃殺されるが、他の人々は皆生き延びたとエンディングで紹介されていた。

そういえばドイツ人実業家オスカー・シンドラーもユダヤ人を多く救った人物で映画化されている。


アントニーナに”ユダヤ人を何人匿った?”と脅しをかけ動物の檻に閉じ込める。その後、ヘックの行動はアントニーナに好意を持っていたから?と思ったりもしたけど、とことん悪人にはなれなかったということ。でもアントニーナはヘックを軽蔑していたところが痛快だった

ヘックを演じるダニエル・ブリュールはInternationalなドイツ人俳優。彼は童顔ゆえあまり悪人に見えないで得しているかも?


ジェシカ・チャステインは前作「女神の見えざる手」でスーパー級に強い女性を演じていた。彼女を見た初めての映画はブラッド・ピットの「ツリー・オブ・ライフ/2011」で、本作を見てオブライエン夫人を思いだす。

昨年より物議を醸すハリウッド発端のセクハラ疑惑。インタビューに答えるジェシカの映像をニュースで見たが、素顔の彼女は穏やかな語り口で、本作のヒロインとかぶりとても素敵な女性に見てとれた。


アントニーナに「女神の見えざる手/2016」のジェシカ・チャスティン。

ヤンにヨハン・ヘルデンベルグ。

ヘックに「ヒトラーへの285枚の葉書/2016」のダニエル・ブリュール。

飼育員Jerzykに「ダブリン上等!/2003」「ゲーム・オブ・スローンズ シリーズ/20122016」のマイケル・マケルハットン。

監督は「クジラの島の少女/2002」「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語/2009」のニキ・カーロ。


TOHOシネマズみゆき座にて


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by margot2005 | 2018-01-12 22:37 | ヨーロッパ | Trackback(1) | Comments(4)

「プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード」

Interlude in Prague」 2017 チェコ/UK

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1978年、プラハではモーツァルトのオペラフィガロの結婚」が大ヒットしていた。一方で三男を病気で亡くし深い悲しみに沈むモーツァルト。やがて彼は重苦しいウイーンから逃れるように地元名士の誘いを受けプラハへと赴く。友人ヨゼファの邸宅に滞在しながら「フィガロの結婚」のリハーサルと新作オペラの作曲に励む日々。そんな折、フィガロの結婚」のケルビーノ役に抜擢された若手オペラ歌手スザンナと出会う…


ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトを演じたアナイリン・バーナードが「ダンケルク」のギブソンと全く別人で驚き!ウイッグの威力?

クラシック音楽には疎いがモーツァルトの楽曲はわかる。聞きなれた旋律が多々流れ、音楽ファンが多く見に来ていたような気もする。

フィガロの結婚」は以前wowowで放送していたメトロポリタン・オペラで全編見たが、新演出バージョンだそうで退屈せずに見られた記憶がある。


ドラマ的に盛り上がりはない。モーツァルトが好きじゃなければ寝てしまうかも?そして万人受けする映画ではないけれども、ロケされた美しい街プラハと全編に流れるモーツァルトの美しい音楽に魅了された。

フィガロの結婚」の場面がたびたび登場し、新作「ドン・ジョヴァンニ」でラストを迎える。


モーツァルト映画と言えば「アマデウス/1984」なしに語ることはできない。それはアントニオ・サリエリとヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの物語で素晴らしいドラマ。今一度見てみたいと思った。

「ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い/2009」「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路/2010」などモーツァルトが登場する映画も見ているのを思い出した。

ジェームズ・ピュアフォイはマジでふてぶてしいキャラが似合う俳優。


ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトに「ダンケルク/2017」のアナイリン・バーナード。

サロカ男爵に「ハイ・ライズ/2016」のジェームズ・ピュアフォイ。

ヨゼファに「レ・ミゼラブル/2012」のサマンサ・バークス。

スザンナにモーフィッド・クラー。

監督、脚本はジョン・スティーヴンソン


新宿武蔵野館にて



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by margot2005 | 2017-12-22 22:46 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦」

Anthropoid2016 チェコ/UK/フランス

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1941年、ナチス占領下のチェコスロバキア。ある時、イギリス政府とチェコスロバキアの亡命政府が協力して極秘作戦を練り、パラシュートを使って二人の軍人ヨゼフ・ガブチークとヤン・クビシュを現地へ送り込む。二人に与えられた使命はナチスNo.3と言われるラインハルト・ハイドリヒの暗殺だった…


ヨゼフ・ガブチークに「プルートで朝食を/2005」「麦の穂をゆらす風/2006」「フリー・ファイアー/2016」キリアン・マーフィ。

ヤン・クビシュに「マリー・アントワネット/2006」「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ/2015」「フィフティ・シェイズ・ダーカー/2017」ジェイミー・ドーナン。

マリー・コヴァルニコヴァーに「フレンチ・ラン/2013」「マダム・マロリーと魔法のスパイス/2014」シャルロット・ルボン。

レンカ・ファフコヴァーにアニャ・ガイスレロヴァ。

アドルフ・オパルカに「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙/2011」ハリー・ロイド。

ヤン・ゼレンカ=ハイスキー「奇蹟がくれた数式/2015」「五日物語 3つの王国と3人の女/2015」トビー・ジョーンズ。

ミセス・モラヴェツにアレナ・ミフロヴァー。

アタ・モラヴェツに「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分/2013」ビル・ミルナー。

監督、脚本。製作、撮影は「ブロークン/2008」ショーン・エリス。


報復を恐れて暗殺に反対する者もいる中ヨゼフとヤンは作戦実行に向かって偵察し情報収集に奔走する。ヨゼフとヤンを匿うレジスタンスのミセス・モラヴェツと、二人をサポートするマリーとレンカの存在を忘れてはならない。

やがて密告者が現れ多数の罪もない市民が殺されてしまう。ハイドリヒの暗殺に関わった人物を躍起になって探しまわるナチス・ドイツの威力が凄まじい。


インハルト・ハイドリヒの暗殺計画を描いた「暁の7人/1975」というアメリカ映画がある。それは見たような気もするし、原作を読んだような気もする。でもインハルト・ハイドリヒのことは全く記憶に残っていない。そして本作を見て“暁の7人”の意味を理解した。

本作を見たのはキリアンとジェイミーが出演していたから…。

映画は16ミリフィルムで撮影された模様。セピアカラーで描かれた1940年代のチェコスロバキアがドラマに重厚さを与えている。そしてキリアンとジェイミーが熱く演じている。

ラストの銃撃戦はスゴい!の一言!ナチスの報復は余りにも恐ろしい。

又一つナチス・ドイツの起こした酷い史実を知った。


昨年の秋にリニューアルした新宿武蔵野館の最近のラインアップは私的に大満足の作品ばかり、以前よりヨーロッパ映画の上映が多いような気がする。最近ここで見る映画はどれもこれも混んでいて、本作は連日満員(お盆休みってこともある?)で驚くばかり。現在都内では新宿のみの上映(8/19から渋谷のシアター・イメージフォーラムで上映あり)。

アメリカやヨーロッパではヒットした作品ながら、著名俳優が出演しない地味な作品は結局ミニシアターでしか上映されないのが寂しい。


新宿武蔵野館にて



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by margot2005 | 2017-08-17 23:51 | ヨーロッパ | Trackback(1) | Comments(2)

「ハートストーン」

Hjartasteinn…akaHeartstone2016 アイスランド/デンマーク

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アイスランドの小さな漁村に暮すソールとクリスティアンは幼なじみの大親友。思春期真っただ中のソールは美少女ベータに惹かれている。それを知ったクリスティアンはソールを応援する。やがてベータの友達でクリスティアンに思いを寄せるハンナも加わり4人で行動するようになる...


ソールにバルドゥル・エイナルソン。

クリスティアンにブラーイル・ヒンリクソン。

ベータにディルヤゥ・ヴァルスドッティル。

ハンナにカトラ・ニャルスドッティル。

ラケルにヨーニナ・ソールディス・カルスドッティル。

ハフディスにラゥン・ラグナスドッティル。

ソールの母にニーナ・ドッグ・フィリップスドッティル。

クリスティアンの父にスヴェイン・オーラフル・グンナルソン。

クリスティアンの母にナンナ・クリスティン・マグヌスドッティル。

牧場主にソーレン・マリング。

店主に「好きにならずにいられない/2015」のグンナル・ヨンソン。

監督はグズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン。


ソールとクリスティアンは常に行動を共にしている。小さな漁村は閉鎖的であり人間関係は濃密。やがて二人が友人以上の関係であるという噂が広がり、両親によってソールと引き離されたクリスティアンは自殺を図る。

原タイトルの“Hjartasteinn”はそれぞれが〝温かい感情/Heart”と〝厳しい環境/Stone”の意味を持つ造語だそう。二つの言葉がドラマの展開と共に意味深い。

スクリーンにソールとクリスティアンが牧場主の手伝いをするシーンや、大自然の中でキャンプをするシーンが映し出される。それは都会暮らしをする自分にとっては異次元の世界のようでとてつもなく新鮮に感じる。そしてアイスランドに羊はかかせない。

「馬々と人間たち/2013」「ひつじ村の兄弟/2015」「好きにならずにいられない/2015」と続くアイスランド映画。「好きにならずにいられない/2015」はあまり惹かれなかったので見ていない。

アイスランド映画って独特の雰囲気があって興味深い。上に書いた2作はコメディの要素が入っているが本作はシリアスなLGBTがテーマのドラマで、少年の恋と友情が語られる。見終わってやはりとんでもなく切ないドラマだと思った。アイスランドの雄大な自然の中に溶け込むように演じる少年たちが素晴らしい。


恵比寿ガーデンシネマにて


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by margot2005 | 2017-08-05 20:02 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「残像」

Powidokiaka…Afterimage2016 ポーランド

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1945年、ポーランドのウッチ。第二次世界大戦後スターリン政権の影響が深まる中、造形大学の教授を勤めるストゥシェミンスキは、創作活動の合間積極的に後進の指導にあたっていたが、芸術を政治に利用する政府の要求に反撥し大学を追われてしまう...


ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキにボグスワフ・リンダ。

美大生ハンナにゾフィア・ヴィフワチュ。

娘ニカにブロニスワヴァ・ザマホフスカ。

詩人ユリアンにクシシュトフ・ピチェンスキ。

監督、脚本は「カティンの森/2007」「菖蒲/2009」アンジェイ・ワイダ。


2016年10月に亡くなったポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督の遺作で、アヴァンギャルドなスタイルで有名な画家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキを描いた伝記ドラマ。

残念なことに前衛画家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキのことは全く知らなくて今回初めて知った。ウッチ・ヴワディスワフ・スチシェミンスキ美術アカデミーは1945年に設立され現在に至っている。


ストゥシェミンスキは片方の足が不自由で松葉杖に頼る生活。美の創造に情熱を傾け信念を貫こうとするが、社会主義政権に抵抗し大学を追われる。追い打ちをかけるように美術館に飾られた作品は壁からはがされ、芸術家デザイナー協会の会員証も没収されて画材を買うこともできない。そして食料を買うのに必要な配給切符まで喪失してしまう。


ラスト近く、食べるために巨大な看板(ポスター)を描くストゥシェミンスキの姿が哀れだった。やがて追いつめられたストゥシェミンスキは病気が悪化し帰らぬ人となる。

ドラマの中でストゥシェミンスキが学生たちにオランダの画家モンドリアンを語っていたが、どことなく似た作風を感じる。タイトルの「残像」は、“ものを見たあと目に残る色だ”と解説するストゥシェミンスキの言葉からきている。

アンジェイ・ワイダの遺作に魂が揺さぶられる。


岩波ホールにて(7/28まで)



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by margot2005 | 2017-07-24 19:50 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「ストロングマン」

Chevalier2015 ギリシャ

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6人の中年男たちがエーゲ海でクルージングを楽しでいる。カード遊びにも飽きたある夜、誰が一番いい男か決めようじゃないか?という話になり、互いを評価して点数をつけ合うことになる...


ドクターにヨルゴス・ケンドロス。

ヨルゴスに「ビフォア・ミッドナイト/2013」パノス・コロニス。

ジョゼフにヴァンゲリス・ムリキス。

ディミトリスにマキス・パパディミトリウ。

ヤニスにヨルゴス・ピルパソプロス。

クリストスにサキス・ルヴァース。

監督、脚本は「ビフォア・ミッドナイト/2013」アティナ・ラヒル・ツァンガリ。


ものすごく迷ったが、邦題の「ストロングマン」に惹かれて見に行ってしまった。原タイトルは“ knight/騎士と言う意味。“ストロングマン”は“最高の男”という意味合い。

海が舞台のストロングマンだから、海で男の強さを競うドラマだとばかり想像していた。ところが全く違った展開で、料理の知識/寝相が良い/人の悲鳴を聞いたらすぐに駆けつける/細長い棚作りが得意/コレステロール値や血糖値が正常などを競うといった代物。それが意地とプライドを賭けた男の闘いだなんて余りにくだらなくて呆れた。


冗談半分で楽しむはずが、次第にエスカレートしムキになる男たちが可笑しいと言えば可笑しいのだけど、笑えるほどのモノでもないし...見終わって何この映画?状態で、ギリシャのコメディにはやはりついて行けない。

本作の共同脚本家は下2本を書いたエフティミス・フィリップ

「ロブスター/2015」はまだ許せたけど「籠の中の乙女/2009」に至っては到底理解出来ない世界。再びギリシャ映画ってかなり異様と思った次第。 

ドラマにはがっくりだったが、さすが海運王アリストテレス・オナシスを生んだ国だけあって、アテネのハーバーに停泊する数々のヨットがゴージャス!


本作はシアターで予告編も見ていなくて、貼ってあるポスターを見ただけ。これから見るのを迷った時は公式サイトを覗いて見ようと心に誓った。


シネマカリテにて






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by margot2005 | 2017-04-17 23:40 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)