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カテゴリ:アジア( 25 )

「あなたの名前を呼べたなら」

Sir2018 インド/フランス

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インド、ムンバイ。ラトナは若くして未亡人となり建設会社の御曹司アシュヴィンの高級マンションで住み込みのメイドとして働いている。アシュヴィンは花嫁を連れて帰って来るはずだったが、婚約者の浮気が原因で結婚は破談となった。ラトナは彼を気遣いながらメイドの仕事をこなす日々。ファッションデザイナーの夢を持つラトナはある日、裁縫教室に通う許可をアシュヴィンに求める。心優しい彼は即座にそれを許可するのだった


Sirアシュヴィンがとても心優しい人物で驚く。彼の母や友人たちと違って、必ずありがとう!と感謝の気持ちを表す。最初見ていて少々違和感があった。というのも金を払って雇っている主人が使用人に必要以上に感謝するものなのか?と。しかしそれはアシュヴィンがラトナをメイドとしてではなく一人の女性と感じて接していたからだと思った。


監督のコメントによると、現実では御曹司と住み込みのメイドの恋はありえないとのこと。なのでドラマはあくまでも映画の世界

ラスト、ラトナは。中々素敵な映画だった。

アシュヴィンのゴージャスな家の家具やグッズが素晴らしくおしゃれ。ラトナが纏うサリーもとても美しい。


ラトナにティロタマ・ショーム。

アシュヴィンにヴィヴェーク・ゴーンバル。

監督、脚本、製作はロヘナ・ゲラ。


Bunkamura ル・シネマにて


by margot2005 | 2019-08-25 21:11 | アジア | Comments(0)

「存在のない子供たち」

Capharnaum2018 レバノン/フランス/USA

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ベイルートのスラム街に暮らす少年ゼインはおよそ12歳。両親が出生届けを出さなかったため正確な自分の年齢も知らず、書類上彼は存在していない。家は貧しくて学校へは通わせてもらえず大家族を養うためゼインは1日中働いている。愛する妹サハルがゼインの心の支えだったが、11歳で強制結婚させられてしまう


サハルがいなくなり絶望したゼインは家出を決意する。街をさまよううちシングルマザーのエチオピア人難民のラヒルと出会い、彼女の家に転がり込む。やがてラヒルは幼い息子ヨナスをゼインに預けて仕事に出かけるようになる。ところがある日ラヒルが家に帰って来なかった。次の日も、そして次の日も。途方に暮れながらもゼインは食べ物を調達するためヨナスを連れて街に出る。


僕が生まれた病院はどこだ?と母に詰め寄るゼイン。しかし母は答えてくれない。

そして無理やり結婚させられたサハルが出産で命を落としたことを知る。

激怒したゼインは自分を生んだ罪で両親を訴える裁判を起こすのだった。


まるでノンフィクションのような社会派ドラマ。ゼイン・アル・ラフィーアが素晴らしい!

ゼインを始めとして皆俳優ではないが、役柄と似た境遇の人ばかりが選ばれたそうで、彼らによって衝撃的な物語が盛り上がりを見せている。

ラスト、満面の笑顔をカメラに向けるゼイン・アル・ラフィーアが実に可愛い。


ゼインにゼイン・アル・ラフィーア。

ラヒル・シファラにヨルダノス・シフェラウ。

ヨナスにボルワティフ・トレジャー・バンコレ。

母スアードにカウサル・アル・ハッダード。

父セリームにファーディー・カーメル・ユーセフ。

サハルにシドラ・イザーム。

商人(ブローカー)アスプロにアラーア・シュシュニーヤ。

監督、脚本、出演(弁護士ナディーン)は「キャラメル/2007」「歌声にのった少年/2015」のナディーン・ラバキー。


シネスイッチ銀座にて


by margot2005 | 2019-08-17 00:35 | アジア | Comments(0)

「運命は踊る」

Foxtrot 2017 イスラエル/スイス/ドイツ/フランス

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ある日、テルアビブに住むミハエルとダフナ夫妻のもとに息子のヨナタンが戦死したとの知らせが届く。母のダフナは突然の訃報にショックで寝込み、父ミハエルも役人の対応に苛立ちを募らせていく。そんな中、戦死したのは同姓同名の別人だったと再び役人が知らせにくる。安堵はしたものの、軍の不手際に不信感を覚え、ミハエルは役人に怒りを爆発させる


ヨナタンは戦死しなかったが、彼と同姓同名の男は亡くなり、その家族は戦争の犠牲者となる。

ドラマの中に戦争は出てこない。ヨナタンが仲間の兵士と検問所にいる様は退屈しているような雰囲気で、彼らの国で争いが起こっているなど想像もできないほど。しかしある通行人の行動で非常事態が勃発する。


人は、運命を避けようとしてとった道でしばしば運命に出会う”…フランスの詩人ラフォンテーヌの言葉。

それはラストにつながり言い得て妙である。


ドラマは不条理な運命を描いているが、少々ユーモア(ブラックではない)が入っていて笑える。

閑散とした検問所で銃を抱え”Foxtrot”するヨナタンや、検問所のバー(柵)が上がり悠々と通過するラクダがオカシイ。

ヨナタンが仲間の兵士と寝食を共にするコンテナが沼地にあるため傾きかけている。缶詰を転がしてその速度を測り、日々傾きの斜度が増していると、仲間の兵士と議論する姿は滑稽。しかしながらあのコンテナの汚さに唖然!あれじゃバイキンだらけで彼らは汚染されるんじゃないかと心配になる。


過去に見たイスラエル映画の「迷子の警察音楽隊/2007」「オオカミは嘘をつく/2013」にもユーモラスなシーンが上手く描かれている。  


ミハエルに「オオカミは嘘をつく」のリオル・アシュケナージ。

ダフナに「ジェリーフィッシュ/2007」のサラ・アドラー。

ヨナタンにヨナタン・シレイ。

ヨナタンの妹アルマにシラ・ハース。

監督、脚本は「レバノン/2009」のサミュエル・マオズ。


新宿武蔵野館にて


by margot2005 | 2018-10-22 22:39 | アジア | Comments(0)

「バッド・ジーニアス危険な天才たち」

Bad Genius2017 タイ

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リンは天才的な頭脳を持つ女子高生。父親は教師をしているが決して裕福ではない。しかしある日、その明晰な頭脳を認められ特待奨学生として進学校へ転入することになる。学校でグレースという女子高生と仲良くなったリンは試験に合格するよう手助けして欲しいと頼まれる


グレースがボーイフレンドでリッチマンの息子パットにリンの手助けを話したところ、パットはリンに”カンニングをビジネスにしないか?”と持ちかけてくる。やがて真面目な男子高生バンクも参加し危険なビジネスはエスカレートして行く。

現在タイのバーツは日本円で3.51。バンクは100万と言っていたので約350万円の報酬を得たことになる。彼はさらにその稼ぎを1000万にしたいなんて言っていたけど…。

シアターで予告編は何度か見た。それほど見たいとは思わなかったが新宿武蔵野館で上映していたのでGO!そして公開2週目の雨模様の昼下がりシアター1(大きい方)はなんと!なんと!満席だった。そう、映画はすごく!面白かった!

バックの音楽が上手い。マークシート方式の答案に鉛筆でマークする度、それに合わせて流れるMusicが実に軽妙。その場にいるかのような臨場感だった。

消しゴム、ピアノのレッスン(指の動きを暗号化)から始まったカンニングの手法。時差までも活用する天才少女リンの頭はどうなっている?と感心しきりだった。


オフィシャル・サイトにクライマックスは、28分間におよぶ手に汗握る、史上最大のカンニング・シーン!とあるが、あのシーンは本当にハラハラドキドキしてしまった。それにしてもオーストラリア、シドニーでの大学統一入試<STIC>の係りの男性のしつこさに脱帽。


頭脳明晰な女子高生リンを演じたチュティモン・ジョンジャルーンスックジンは本作が初めての演技らしいが、リンに成りきっていて素晴らしかった。そしてバンク、グレース、パットと皆ナイスキャスティング。

実際に起こったカンニング事件をテーマに描いたドラマはとっても見ごたえがあった。現在、東京と大阪でしか上映していないが、やはりで順次全国展開される模様。


水上学校を舞台にしたタイ映画「すれ違いのダイアリーズ/2014を鑑賞したが残念なことにレビューを書かなかった。で、タイ映画鑑賞は二度目。 


リンにチュティモン・ジョンジャルーンスックジン。

バンクにチャーノン・サンティナトーンクン。

グレースにイッサヤー・ホースワン。

パットにティーラドン・スパパンピンヨー。

リンの父に「ポップ・アイ/2017」のタネート・ワラークンヌクロ。

監督、脚本はナタウット・プーンピリヤ。


新宿武蔵野館にて


by margot2005 | 2018-10-02 23:59 | アジア | Comments(2)

「ガザの美容室」

Dégradé2015 パレスチナ/フランス/カタール

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パレスチナ自治区、ガザにあるクリスティンの美容室は女性客で賑わっている。そして集まった女たちは今日もお喋りに興じているが、突然銃声が響きガザの通りは殺戮と炎に包まれ彼女たちは美容室に監禁状態となる


映画のシーンは99%美容室で、ワンシチュエーションで描いている。外は戦争状態で銃声が轟いているがその映像は全く映し出されない。

時折、戦争が日常にある国の女たちの口からハマス/イスラム主義組織という言葉が発せられる。


ハマス政府とマフィアの戦闘が繰り広げられるガザの通りでライオンを連れて人々を威嚇するマフィアの集団。

ウィダドの夫はマフィアの一員で、彼女は外で繰り広げられる争いが気がかりで仕事に集中できない。

今夜結婚式が予定されている花嫁サルマは式に出られそうもない。

臨月の妊婦ファティマは子供が生まれそうになっているが救急車を呼んでもらうこともできない。


争う男たちにうんざりしている女たち。ラスト近く、私たちだけで政府を作ろう!と提案し、それぞれに閣僚を任命するサフィアが興味深かった。

International女優のヒアム・アッバスが貫禄たっぷり。

映画を観終わって平和ボケの日本では考えられない日常を送る女たちの姿に驚くしかない。


離婚調停中の主婦エフィティカール「エクソダス:神と王/2014」「ブレードランナー 2049/2017」のヒアム・アッバス。

美容室経営者クリスティンにヴィクトリア・バリツカ。

美容室アシスタント、ウィダドにマイサ・アブドゥ・エルハディ。

夫からの暴力に悩む女性サフィアにマナル・アワド。

敬虔なムスリム、ゼイナブにミルナ・サクラ。

結婚式準備中の花嫁サルマにディーナ・シュハイバー。

花嫁の母で、喘息持ちのワファにリーム・タルハミ。

臨月の妊婦ファティマにサミラ・アル・アシール。

監督、脚本はタルザン・ナーセル&アラブ・ナーセル。


シネマカリテにて(既に上映終了/アップリンク渋谷にて上映中)



by margot2005 | 2018-07-22 22:37 | アジア | Comments(0)

「セールスマン」

Forushande…akaThe Salesman2016 イラン/フランス

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エマッドとラナ夫婦は小さな劇団に所属する俳優。アーサー・ミラー原作のセールスマンの死の舞台稽古で忙しい最中自宅が倒壊の危機に見舞われる。やがて劇団員のババクに紹介してもらったアパートに住むことが決まるが、前に住んでいた女性の荷物が運び出されず落ち着かない。そんなある日、シャワーを浴びていたラナが何者かに襲われて頭部に怪我をする事件が起こる…


エマッド・エテサミにシャハブ・ホセイニ。

ラナ・エテサミにタラネ・アリドゥスティ。

ババクにババク・カリミ。

サナムにミナ・サダティ。

男にファリッド・サジャディー・ホセイーニ。

監督、脚本は「彼女が消えた浜辺/2009」「別離/2011」「ある過去の行方/2013」アスガー・ファルハディ。


イランのテヘランを舞台に描いた役者夫婦の物語。

エマッドは事件を警察に届けようと言い張るがラナに拒否されてしまう。やがて襲った人物に復讐を誓ったエマッドは独自で捜査を開始する。

ラスト、エマッドは憎悪をむき出しに男と対決する。男を罰するエマッドを見て涙を流すラナ。何をおいても年長者を敬い名誉を重んじる社会で生きる彼らを理解するのは難しい。


宗教的なことが大きいと思うのでイラン人の行動や考え方は良くわからないが、ラナの頑なな抵抗は理解しがたい。そしてラナを襲った男は本当にあの男だったのか?階段を上がるのにも苦労するほど心臓が悪い老人の男がラナを襲うことは不可能ではないのか?と少々疑問が残る。


彼女が消えた浜辺」でチャーミングだったタラネ・アリドゥスティがちょっとおばさん化していた。映画のキャストは過去にアスガー・ファルハディ作品に出演歴がある俳優ばかりでまるでファミリーの様子。


映画案内には“濃密な心理サスペンスの傑作”とか“事件の衝撃の顛末を緊張感あふれる筆致でスリリングに描き出していく…"とか書いてるがそれほどスリリングでもなかったし、心理サスペンスの傑作ってほどでもなかったかと思う。


本作は今年のアカデミー賞外国語映画賞に輝いたが、トランプ政権がイラン人などへのビザの発給制限を検討しているとの報道を受け、監督と主演女優が授賞式をボイコットした。アカデミー賞授賞式には確か関係者の女性が受け取りに現れたと記憶している。


新宿シネマカリテにて



by margot2005 | 2017-07-03 21:31 | アジア | Comments(2)

「汚れたミルク あるセールスマンの告発」

「Tigers」2014 インド/フランス

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1994年、パキスタン。新婚のアヤンは製薬会社のセールスマン。しかし国内で生産された薬は売れなくて収入も少ない。ある時、妻のザイナブが“世界的に名の知れた大手グローバル企業の面接を受けてみれば!”と提案してくる。アヤンのセールスマンとしての熱意を認めた企業は彼を採用する。日々病院巡りに励み会社の粉ミルクを精力的に売り込むアヤンは、気がつけばトップセールスマンになっていた。しかしある日、ドクター・ファイズから、病院に売り込んだ粉ミルクのせいで乳幼児が亡くなるという衝撃的な事実を聞かされる...


アヤンにイムラン・ハシュミ。

ザイナブにギータンジャリ。

アレックスに「ナイロビの蜂/2005」「ビッグ・アイズ/2014」ダニー・ヒューストン。

ナディームに「君のためなら千回でも/2007」「グリーン・ゾーン/2010」「われらが背きし者/2016」ハリド・アブダラ。

マギーに「007/リビング・デイライツ/1987」「美しき運命の傷痕/2005」のマリアム・ダボ。

フランクに「もうひとりのシェイクスピア/2011」「レイルウェイ 運命の旅路/2013」「ベル ~ある伯爵令嬢の恋~/2013」のサム・リード。

ビラルに「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日/2012」「マダム・イン・ニューヨーク/2012」のアディル・フセイン。

ドクター・ファイズにサティエーディープ・ミシュラ。

監督、脚本は「ノー・マンズ・ランド/2001「美しき運命の傷痕/2005」ダニス・タノヴィッチ。


パキスタンで実際に起こった事件をモチーフにしたドラマは、アヤンの告発を取材してドキュメンタリー番組を作る映画作家アレックスのシーンから始まる。


水道環境が良くないパキスタンで粉ミルクを強引に販売した結果、汚染水で溶かした粉ミルクを飲んだ乳幼児が死亡する事件が多発する。苦しむ乳幼児を目の当たりにしたトップセールスマンのアヤンは会社の上司ビラルに訴えるが、話を聞くどころか逆に脅されてしまう。やがて正義感に燃えるアヤンは世界的巨大企業に孤高の闘いを挑むが、彼の告発の前には圧倒的な権力の壁が立ちはだかる。


巨大企業を相手にしたこの問題はまだ未解決のままで、アヤンはパキスタンを離れ妻子と共にカナダで暮らしている。

とても重いテーマで描かれた衝撃作は中々見応えがあった。


アヤンを演じるのはボリウッド映画の人気スター、イムラン・ハシュミ。ボリウッド映画を見ないのでイムラン・ハシュミを見たのはもちろん初めて。真面目で家族想いのアヤン役を好演している。ドキュメンタリーのようにも見えるリアルなドラマは、イムラン・ハシュミの演技が素晴らしいことに他ならない。

全く趣の異なるイムラン・ハシュミのボリウッド映画が見てみたくなった。


シネマカリテにて



by margot2005 | 2017-03-29 00:07 | アジア | Comments(2)

「歌声にのった少年」

「Ya tayr el tayer」…aka「The Idol」2015 パレスチナ/オランダ/UK/カタール/アルゼンチン/エジプト/アラブ首長国連邦

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2005年、紛争の絶えないパレスチナ・ガザ地区。姉ヌールと2人の少年の5人組でバンド活動するムハンマドは歌うことが大好きで、“スター歌手になって世界を変える”ことを夢見ている。しかしヌールが重い腎臓病に冒されていることが発覚する。やがて手術費用を稼ぐためムハンマドはウエディング・シンガーとして歌い始め、人々は彼の歌声に魅了される。一方でカイロのオペラハウスに出場することがヌールの夢だったが病気が悪化し亡くなってしまう。

2012年、ガザ地区でタクシー・ドライバーをするムハンマドは、ヌールの叶わなかった夢を果たすためオーディション番組“アラブ・アイドル”への出場を決意する...


ムハンマド・アッサーフ(少年)にカイス・アタッラー。

ムハンマド・アッサーフ(青年)にタウフィーク・バルホーム。

ヌールにヒバ・アタッラー。

アマルにディーマ・アワウダ。

シャーディヤに「キャラメル/2007」「友よ、さらばと言おう/2014」「チャップリンからの贈りもの/2014」のナディーン・ラバキー。

監督、脚本、出演(サミール)は「オマールの壁/2013」のハニ・アブ・アサド。


ムハンマド・アッサーフの子供時代の展開は少々ダラダラと長く、早く大人になって!なんて思いながら見ていた。いつものように前知識なしで見たので、ムハンマドが“アメリカン・アイドル”ならぬ“アラブ・アイドル”で2013年に優勝した有名人だったとは知らずで驚きだった。もちろん本人の映像もあり。ムハンマド役の俳優より本人の方がハンサム。


パレスチナ・ガザ地区に住む青年がエジプトに行くには偽造パスポートを用意し検問をくぐり抜けなければならない。しかし友人の助けもありムハンマドはオーディション番組“アラブ・アイドル”出場を果たしたのだからスゴい!


「オマールの壁」が素晴らしかったので見に行った次第。World-wide (English title)公開タイトルはズバリ「The Idol」。ポップ・スターとして大成功を納めたムハンマド・アッサーフはパレスチナの国民的アイドルで、現在国連パレスチナ難民救済事業機関青年大使を務め平和への活動を続けている。


オーディションで選ばれたガザ地区に暮らす少年少女たちの出演に、ドラマの中の子供時代がとてもナチュラルに映る。

ムハンマド・アッサーフはパレスチナのポップ・スターながら、殆ど耳にすることのない彼の歌声はイスラム教で唱えるコーランの雰囲気?


ヒューマントラストシネマ有楽町


by margot2005 | 2016-10-25 20:55 | アジア | Comments(2)

「オマールの壁」

「Omar」2013 パレスチナ
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パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区に住む青年オマールは誠実なパン職人。目の前にそびえる巨大な壁をよじ登り、今日も幼なじみのアムジャドとタレクに会いに行く。3人はイスラエル政府軍に対抗するため射撃訓練を行っていた。そしてオマールはタレクの妹ナディアに恋心を抱いており、やがては結婚を申しこもうと考えていた…

オマールにアダム・バクリ。
ナディアにリーム・リューバニ。
アムジャドにサメール・ビシャラット。
タレクにエヤド・ホーラーニ。
ラミ捜査官に「ヤギと男と男と壁と/2009」のワリード・ズエイター。
監督、脚本、製作は「パラダイス・ナウ/2005」のハニ・アブ・アサド。

映画の軸となっているのはオマールとナディアの恋。アムジャドの嘘で悲恋に終わる二人の恋があまりにも哀しい。
映画のテーマは重くてシリアスながら、時折ユーモアを交えた台詞があってほっとする。

ある日、イスラエル兵に侮辱を受けたオマールは、憤りを覚え、同志であり、幼なじみのアムジャドとタレクと共にイスラエル兵に攻撃を仕掛ける。しかしオマールが捕まって拷問にかけられた後捕虜となる。
ラミ捜査官に90年以上の懲役刑を宣告され、ナディアさえも罪に問われると脅されたオマールは、ラミ捜査官が差しだす提案を受けるしか方法がなかった。
釈放されスパイとなったが、アムジャドとタレクに決して知られてはならない。一方でオマールはナディアのことが気がかりで彼女が通う女学校を覗いたり、帰宅途中に待ち伏せしたりする。そんなある時、アムジャドとナディアが深刻な表情で話している現場を目撃する。オマールはアムジャドとナディアの仲を疑うが、彼女は否定するばかり。

メールではなく手紙でやりとりする恋人たちの姿がとても新鮮で心に残る。ナディアがオマールに最後に渡そうとした手紙…オマールは受け取りを拒否..それには何が書いてあったのだろう?とかなり気になった。オマールがあの手紙を読んでいたら二人の未来は変わっていたかも知れない。

捕虜となり、釈放されてから2年の月日が経過したある日、アムジャドに会うため壁に向かう。何度も何度も登った壁なのに、登ることができなくて泣きそうになるオマールに一人の老人が手助けする。あのシーンはオマールの心を現しているようで胸を打たれた。

とても衝撃的なドラマのラストは最高に衝撃的。見終わった観客に考える時間を与えるかのようにエンドクレジットは無音だった。映画が終わり久しぶりに席を立つのがツラかった。それほど衝撃を受けたということかも知れない。

本作はなんとなく見に行こうかどうかスゴく迷っていて、でもシアターを変えていつまでも上映しているのではやり見なきゃ!と思いシアターへ!
見て良かった。今年のMY BESTに入れたい一作。
オマール役のアダム・バクリは来日したそう。オフシャルサイト見てないので知らなかった。彼はとてもハンサムで笑顔が最高にキュート。

シネマート新宿にて(5/26迄)
by margot2005 | 2016-05-24 00:12 | アジア | Comments(2)

「ボーダレス ぼくの船の国境線」

「Bedone März」…aka「Borderless」2014 イラン
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監督、脚本はアミルホセイン・アスガリ。

イランとイラクの国境沿いの立ち入り禁止区域に浮かぶ廃船。有刺鉄線の向こうには銃を携える米兵が巡回している。廃船に一人で暮らす少年は魚や貝を獲り、干物やアクセサリーに加工して売り日々の糧を稼いでいる。ある日、国境の反対側から突然一人の少年が現れる。言葉の通じない二人は互いに反撥し合うが、ある時を境に奇妙な同居生活が始まり、次第に連帯感が芽生え始める。やがてそこに一人の米兵が割り込んで来る。イラクの少年は米兵に銃を向け敵意をむき出しにするが、イランの少年はそれをいさめようとするのだ。

ドラマが始まる…一人の少年が廃船の中で生活している。彼の他誰もいないので当然台詞はなし。聞こえてくるのは少年がたてる音のみ。このサイレント状態はいつまで続くのか?と、少々眠気を催しそうだったが、廃船に侵入者がやって来たところからスクリーンから目が離せなくなる。

主要なる登場人物はイランの少年とイラクの少年(本当は少女)、そして米兵の3人。それぞれに違う国籍を持つ3人の言葉は通じない。
少年と少女に家族はいない。戦争で奪われてしまったのだ。一方で米兵には愛する妻と幼い子供たちの家族がいる。米兵は、言葉が通じないにも関わらずイランの少年に家族の写真を見せ、好きでここにいて戦争をしているのではないと訴える。
辛くて、辛くて感極まり泣き出す米兵に対し、とても冷静なイランの少年に心揺さぶられる。
とてもリアルで身につまされる反戦映画だった。
ラスト、イランの少年が廃船に戻った時、辺りは荒らされ誰もいなかった。あのラストはどう解釈すれば良いのだろう?しばし呆然となった。

新宿武蔵野館にて(11/13迄上映)
by margot2005 | 2015-11-10 21:37 | アジア | Comments(0)