カテゴリ:ドイツ( 65 )

「東ベルリンから来た女」

「Barbara」2012/ドイツ
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バルバラに「イェラ/2007」のニーナ・ホス。
アンドレにロナルト・ツェアフェルト。
秘密警察のシュッツに「白いリボン/2009」「ミケランジェロの暗号/2010」「アンノウン/2011」「戦火の馬/2011」のライナー・ボック。
少女ステラにヤスナ・フリッツィー・バゥアー。
バルバラの恋人ヨルクに「ブッデンブローク家の人々/2009」のマルク・ヴァシュケ。
監督、脚本はクリスティアン・ペツォールト。
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少々能天気なバルバラの恋人ヨルクと誠実な医師アンドレが対照的。ラスト、アンドレを選ぶバルバラに同じ思いを抱いた。
ヨルクとバルバラが森の中や、外国人専用ホテルで逢瀬を重ねる。ほぼ自分のことしか考えてなさそうに見えるヨルクはバルバラに早く西へ来て欲しいというばかり。
一方で心優しいアンドレは秘密警察のシュッツの妻が病魔に冒され往診したりもする。医師としての誇りを持つバルバラとアンドレが惹かれ合うのは当然のことと思えた。
往診のお礼にもらった野菜で“ラタトゥイユを作るから食べにこない?”とバルバラを誘うアンドレ。キッチンに立つアンドレと、そわそわ落ち着かないバルバラがなぜかスゴく新鮮で、素敵なシーンだった。

1980年夏、東ドイツ。都会の大病院で活躍する優秀な医師バルバラが西側への移住申請を却下され片田舎の小さな病院に左遷される。誰もが敵に映るバルバラは誰とも話さず一人心を閉ざしている。そんなバルバラに声をかける同僚医師のアンドレ。家まで車で送るというアンドレのオファーにただ一度承諾したバルバラだったが、以後又自身のカラに閉じこもってしまい、来ないバスをあきらめ自転車通勤を始める。そしてバルバラと共に自転車通勤を始めるアンドレ。“海の側を通ると近道だよ…”というアンドレに“海はキライ。”と答えたバルバラは一人立ち去ってしまう。その海とはバルト海のこと。ヨルクの手引きによってバルバラの西側への脱出はバルト海を渡ることだった。きっとバルバラは海を見たら飛び込んでしまいたいくらいの気持ちを抱いていたのだろう。だからまだ今は海を見たくなかったに違いない。

秘密警察の存在におびえるバルバラ。本作を観た人は誰もが「善き人のためのソナタ/2006」を思い出すはず。
とても、とても地味な映画でストーリーは淡々と進んで行く。盛り上がりも何もない。睡魔に襲われるか…なんて思いながら見ていたが、医師として献身的に身を捧げるバルバラとアンドレの姿に目が離せなかった。
一方で、強制収容所から脱走してきた少女ステラはバルバラに全幅の信頼を寄せ、バラバラもそれに答える。自分の代わりにステラを西側へ送るバルバラの心境は?静かに、ひたすら静かに人の心に訴える良い作品だった。
“外国人専用ホテル”の存在がとても興味深かったが、今はもうないだろうな?

ヒロイン、バルバラを演じたニーナ・ホスは凛とした雰囲気が有能な医師役にぴったり。そしてアンドレに惹かれてはいるが、そのアンドレをも疑う気持ちを捨てられない孤独なバルバラ役がパーフェクト。
ニーナ・ホスを観たのは「イェラ」以来5年ぶり。ちょっと老けた感じで、役柄も全く違っているので、後で調べて彼女だとわかった。
アンドレ役のロナルト・ツェアフェルトは初めて観たドイツ人俳優。誠実で温厚な役が似合っている。

渋谷Bunkamura ル・シネマにて
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by margot2005 | 2013-02-06 00:37 | ドイツ | Trackback(10) | Comments(4)

「コッホ先生と僕らの革命」

「Der ganz große Traum」…aka「Lessons of a Dream」 2011ドイツ
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ダニエル・ブリュール映画は「セブン・デイズ・イン・ハバナ/2012」以来(本作は以前の製作)だが、ちょっと前にジュリー・デルピーが監督、製作、脚本、主演し、音楽まで担当した未公開作「血の伯爵夫人/2009」をwowowで観た。ヒロインの相手役を演じたダニエルはとてもキュートで、おまけにホラー映画であり中々面白かった。
スペイン人の母親と、ドイツ人の父親を持つダニエルは童顔のせいかとても若く見える(1978年、6月生まれ)。

本作はドイツにサッカーを広め、後に“ドイツ・サッカーの父”と呼ばれるようになったコンラート・ コッホと彼の教え子たちの物語。
イングランドがサッカー発祥の地ということは知っていたが、最初は野蛮なスポーツと見なされドイツ本国でも受け入れられるまで時間がかかったというサッカーの歴史が面白い。と言うことは、イングランド人て野蛮なのか?
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1874年、ドイツ、ブラウンシュヴァイク。オックスフォードへの留学から戻ったコンラート・ コッホは名門カタリネウム校にやって来る。校長のグスタフ・メアフェルトはドイツで初めての英語教師として彼を採用したのだ。しかしながら生徒たちは教壇に立ち英語を教えるコッホに全く興味を示さない。ある時コッホにある考えが浮かび、生徒たちを体育館に呼び寄せる。オックスフォードから持ち帰った愛用のサッカー・ボールを手に“これはボールだ!”と英語で話し始める。そしてサッカー用語を連発しながらボールをキックしゴールへと入れる。コッホのマネをしながらボールを蹴り、ゴールに入れるを繰り返すうち彼らはサッカーというスポーツに興味を抱くようになる...

主演のコンラート・コッホにダニエル・ブリュール。
校長グスタフ・メアフェルトに「白いリボン/2009」「ゲーテの恋~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~/2010」のブルクハルト・クラウスナー。
フェリックス・ハートゥングにテオ・トレブス。
ヨスト・ボーンシュテットに「トスカーナの贋作/2010」のアドリアン・ムーア。
フェリクスの父親で会長のリヒャルト・ハートゥングに「es[エス]/2001」のユストゥス・フォン・ドーナニー。
歴史の教師ボッシュに「善き人のためのソナタ/2006」のトマス・ティーマ。
ヨストの母親クララ・ボーンシュテットにカトリン・フォン・シュタインブルク。
教会の牧師に「厨房で逢いましょう/2006」のヨーゼフ・オステンドルフ。
監督、原案はセバスチャン・グロブラー。

上に若く見えると書いたダニエル・ブリュール…彼ってとても爽やかなのだ。本作では爽やかなダニエルが100%見られる。今までで一番爽やかなダニエルに会えること間違いなし。
サッカーに興味を持った子供たち。しかしドイツ帝国の教育は秩序と服従が全てと言い切る会長とコッホの間に亀裂が生じ、野蛮なスポーツであるサッカーをすることは許さない!と宣言され、“野蛮なスポーツを子供たちに教えた責任を取れ!”とカタリネウム校を追い出されることになる。
しかしこの後は語るまでもない。子供たちがサッカーを続けなくてはドイツにサッカーというスポーツが広まらなかったのだから…。

富裕層である会長の息子フェリックスと母子家庭に育つヨスト…この二人を軸に物語は展開して行く。ちびのヨストが意外にもフォワードの才能があったりして、とても心温まるドラマに仕上がっている。
ダニエル主演の「ベルリン、僕らの革命/2004」を文字った邦題は全く持っていただけない。

TOHOシネマズ・日比谷シャンテにて
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by margot2005 | 2012-10-01 23:58 | ドイツ | Trackback(5) | Comments(0)

「あの日 あの時 愛の記憶」

「Die verlorene Zeit」…aka「Remembrance」 ドイツ 2011
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ハンナ・ジルベルシュタイン(1944)にアリス・ドワイヤー。
ハンナ・レヴィーン(1976)にダグマー・マンツェル。
トマシュ・リマノフスキ(1944)にマテウス・ダミエッキ。
トマシュの母親ステファニア・リマノフスカに「白いリボン/2009」のスザンヌ・ロタール。
ハンナの夫ダニエル・レヴィーンに「バーン・アフター・リーディング/2008」のデヴィッド・ラッシュ。
トマシュ・リマノフスキ(1976)にレヒ・マツキェヴィッチュ。
トマシュの兄にアドリアン・トポル。
義姉マグダレナにヨアンナ・クーリグ。
ハンナの娘レベッカにシャンタル・ヴァンサンテン。
ナチス将校ハンス・ヴォン・アイデムに「アイガー北壁/2008」」 「ワン・ディ・イン・ヨーロッパ/2008」のフロリアン・ルーカス。
監督はアンナ・ジャスティス。
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1976年、ニューヨーク、ブルックリン。ハンナはユダヤ人でドイツからアメリカに渡り結婚、優しい夫と娘と共に幸せな日々を送っていた。ある日、自宅で催すパーティで使うためのテーブルクロスをクリーニング店に取りに行く。そこでハンナはTVから聞こえる懐かしい声に耳を傾ける。TVの画面に映っていたのはかつての恋人トマシュの姿だった。ハンナは終戦後、赤十字社にトマシュ探しを依頼したが、彼の消息はつかめなかった。やはりトマシュは死んだのだと自分に言い聞かせて生きて来たのに…。
クリーニング店から戻り、突然生きているトマシュの姿を見、茫然自失となったハンナは自室に閉じこもり赤十字社に電話をかけるのだった...

1944年、ポーランド。トマシュはアウシュヴィッツ強制収容所に政治犯として収容されていた。ハンナはもちろんユダヤ人だからと言う理由で…。二人は収容所で出会い恋に落ちる。レジスタンス活動をする政治犯のトマシュには収容所内の実態を映したネガフィルムを持ち出すという任務があった。ある日、脱走計画を実行に移す行動に出たトマシュは、危険を伴うことを承知の上ハンナを一緒に連れて行く決意をする。やがて脱走に成功した二人は道中の困難を乗り越えトマシュの実家へたどり着く。彼は母親とも再会ししばしの安らぎを満喫する。しかしハンナを自分のフィアンセと紹介すると母親の態度が変わり始める。彼女はユダヤ人に対し大きな偏見を持っていた。
ハンナはある時、高熱を出し倒れる。なす術のないトマシュは母親に助けを求める。そしてリマノフスキ家にはナチスの将校が厳しい目を光らせていた...

涙と感動の物語、おまけに実話だそう。舞台はポー ランドとNY、ブルックリン。アウシュヴィッツ強制収容所で恋に落ちたユダヤ人ハンナと、レジスタン ス活動をするポーランド人トマシュ。戦争によて引き裂かれた恋は星の数ほどあるだろうが、またまた哀しいLOVE STORYを知ってしまった。

レジスタンス活動をするトマシュは兄夫婦の家にハンナを残し地下組織へ身を潜める。ハンナは来る日も来る日もトマシュの帰りを待ちわびるが戻って来ない。そしてある日、ソ連軍がやって来る。レジスタンスに関わっていた兄夫婦は捕らえられ、一時期長男の家に身を寄せていた彼らの母親と二人取り残されてしまう。ユダヤ人であるがゆえに嫌われていたハンナはとうとう家を出る決心をする。

ハンナが出て行った後トマシュが戻って来るが、母親はハンナは死んだと言い切る。
母親ステファニアは長男も次男もレジスタンスに関わり、長男の妻に“何もかもあなたのせいよ!”となじり、次男が心から愛するハンナをフィアンセとは決して認めない。この母親の気持なんとなく理解出来る。このような境遇には決して身を置かれないのでなんとも言えないが、息子を持つ同じ母親として彼女の気持ちは辛いほど理解出来る。それもこれも戦争のせいだけど…。

ラスト、ハンナはトマシュに会いにポーランドへ行く。トマシュが住む町でバスを降りるハンナ。バスから降りて来るハンナを探すトマシュ。そして互いを見つめ合う所でストップ・モーションとなりエンド・クレジットが始まった。
ハンナは戦後トマシュ探しをした。ところがトマシュは母親からハンナが死んだと知らされていたため、それを信じて疑わなかったと思う。赤十字社の努力でトマシュがポーランドに住んでいることが分かったハンナは彼に電話をかける。その時のトマシュの驚きは如何ばかりだっただろう?
かつて愛した人と32年ぶりに会うってどんな心境?エンディングで二人の会話をカットしたのは素敵な展開だった。実話なので二人は実際に再会し、会話したはず。そしてその後二人はどのように感じたのか知りたい気もしたが想像に任せることにした。
シアターで予告を何度も観て、某新聞映画評もサラっと見ていた。見終わって想像以上の感動を覚えた。

銀座テアトルシネマにて
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by margot2005 | 2012-08-19 00:26 | ドイツ | Trackback(5) | Comments(2)

「ゲーテの恋~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」〜」

「Goethe!」 …aka「Young Goethe in Love」2010 ドイツ
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ヨハン・ゲーテに「ブッデンブローク家の人々/2008」「イングロリアス・バスターズ/2009」のアレクサンダー・フェーリング。
シャルロッテ・ブッフにミリアム・シュタイン。
アルベルト・ケストナーに「ミケランジェロの暗号/2010」のモーリッツ・ブライブトロイ。
ゲーテの父にヘンリー・ヒュプヘン。
シャルロッテの父に「ベルリン、僕らの革命/2004」「白いリボン/2009」のブルクハルト・クラウスナー。
ゲーテの友人ウイルヘルム・イェーザレムに「バーダー・マインホフ 理想の果てに/2008」「愛を読むひと/2008」のフォルカー・ブルック。
監督、脚本に「アイガー北壁/2008」のフィリップ・シュテルツェル。
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1772年、ドイツ、ヴェッツラー。フランクフルト生まれのヨハン・ゲーテの夢は作家になること。しかし出版社に送った原稿はボツとなり、父親の命により田舎町ヴェッツラーの裁判所で実習生として働くことを余儀なくされる。そしてゲーテはある日、田舎町で催された舞踏会でシャルロッテという女性と出会う...

アレクサンダー・フェーリング…「イングロリアス・バスターズ」でのナチス、ドイツのユニフォーム姿は以外に印象に残らなかったが、今回よく見るとマシュー・マコノヒー似(上の写真は似てないですが...)の彼はイケメンなのだ。来日してTVに映っている姿も見たけど、かなりキュートでラヴ・ストーリーが似合う。
そして、ミリアム・シュタインは若き日のデブラ・ウインガーにとても良く似ている。

裕福な家庭に生まれ、ハンサム・ボーイだったゲーテは何度も恋に落ち、失恋もしている。ゲーテは相当なる“恋多き男”だったように思える。ゲーテを演じたアレクサンダー・フェーリングはきわめてgood。
“若きウェルテルの悩み”はもちろん読んだが、それは数十年前のことなので、ストーリーは全く覚えていない。この機会に今一度読んでみたい。
Internationalタイトルの“恋する若きゲーテ”がナイス。

がさつではあるが美しいシャルロッテに出会ったゲーテは一瞬で恋に落ちる。友人の後押しもあり、ゲーテはシャルロッテの家に会いに行く。燃え上がる二人を誰も止めることは出来なかった。しかし、子だくさんで男やもめの父親は、娘には裕福な男との結婚を望んでいた。
いわゆる見合い結婚(arranged marriage)である。そしてその相手はあろうことかゲーテの上司のケストナーだった。やがてやむにやまれぬトライアングル状態に陥る。シャルロッテはゲーテが恋しくて、恋しくて涙に暮れるが、父親や、幼い弟、妹のことを考えるとケストナーとの結婚を選ぶしかなかった。この時代の女性はホントお気の毒。
そして、ゲーテも恋に破れ自暴自棄になるが、自殺は思いとどまり、ペンと紙に全てを委ねる。

映画は少々大胆に描かれている。あの時代いくら惹かれ合っても、あんな簡単にメイク・ラヴには至らなかったであろうと想像する。でもロケされた景色は美しかった。

エンディングで…“結婚し子宝に恵まれたシャルロッテは一度だけゲーテに会った。”という解説が出る。シチュエイションは違うが、これより20年ほど後の物語「ジェイン・オースティン 秘められた恋/2007」のトムとジェインを思い浮かべた。

ゲーテの上司で、ゲーテの恋敵でもあるケストナー役のモーリッツは大好きなドイツ人俳優。彼の映画が2本、同じシアターで同時に上映されているって最初で、最後かも知れない。嬉しい限りだ。コメディが似合う彼も、今回はラヴ・ストーリーでマジな役柄。モーリッツって顔が笑えるのだ!と思った。

私的にこういった時代物映画は大好きだが、シアターの席はやはり空いていた。観る人限られる映画である。

TOHOシネマズシャンテにて
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by margot2005 | 2011-11-06 17:11 | ドイツ | Trackback(6) | Comments(4)

「ミケランジェロの暗号」

「Mein bester Feind」…aka「My Best Enemy」 2010 オーストリア/ルクセンブルグ
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ヴィクトル・カウフマンに「ソウル・キッチン(SOUL KITCHEN)/2009」のモーリッツ・ブライブトロイ。
ルディ・スメカルに「アイガー北壁/2008」のゲオルク・フリードリヒ。
レナにウーズラ・シュトラウス。
ハンナ・カウフマンに「ヒア・アフター/2010」のマルト・ケラー。
ヤーコプ・カウフマンに「ピアニスト/2001」のウド・ザメル。
監督、脚色にヴォルフガング・ムルンベルガー。
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1938年、オーストリア、ウイーン。ユダヤ人一族のカウフマン家は画廊を営み、ミケランジェロの素描を所有していた。それはムッソリーニも欲しがる国宝級の逸品。ある日、カウフマン家の息子ヴィクトルと兄弟のように育った使用人の息子ルディが再会を果たす。そして家に帰ったヴィクトルはミケランジェロの素描の在処を信頼するルディに教えてしまう。しかしナチスに傾倒していたルディは自らの昇進を狙いこのことを密告するのだった…

サスペンス・ドラマのジャンルながらIMDbではコメディ/ドラマとなっている。サスペンスながら確かに笑わせてもらった。主演のモーリッツが良いな!今月公開予定の「ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~/2010」のモーリッツも楽しみだ。

ナチス・ドイツの政策で多くのユダヤ人が収容所送りとなったこの時代、ヴィクトルの両親も彼自身も例外ではなかった。素描が没収された後収容所に送られたカウフマン一家。ヴィクトルにとってそれはユダヤ人ではない恋人レナとの別れでもあった。兄弟同然に育ったルディに助けられるどころか、裏切られたヴィクトルは彼に復讐しようと誓う。

このあたりからサスペンスがユーモアを交えた展開になって面白い。本物の素描の在処を巡りベルリンに向かう機上の人となったヴィクトルとルディ。しかし爆撃を受けた飛行機は墜落する。燃え盛る機体の中から負傷したルディを助け出したヴィクトルはあることを思いつく。それは自分がルディと入れ替わることだった。ルディのナチスのユニフォームを身に着けたヴィクトルは彼になりすましベルリンへと向かう。そしてそこで元恋人だったレナと再会する。ヴィクトルが収容所送りとなった後ルディはレナを自分の恋人にしていた。機知に富むレナはヴィクトルとルディが入れ替わっていることを理解し行動を共にする。

上に書いた展開が、少々出来過ぎとはいえ喜劇を見ているように笑える。
ラスト、ルディを出し抜くヴィクトルの行動は実に爽快だった。
主演のモーリッツが素晴らしい!彼は「ソウル・キッチン」同様コメディで俄然光る俳優だ。

TOHOシネマズシャンテにて
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by margot2005 | 2011-10-23 00:00 | ドイツ | Trackback(16) | Comments(2)

「蜂蜜」

「Bal(Honey)」 2010 トルコ/ドイツ
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監督、脚本にセミフ・カプランオール。
少年ユスフにボラ・アルタシュ。
父親ヤクプにエルダル・ベシクチオール。
母親ゼーラにトゥリン・オゼン。
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オープニングからしばらくしてヤクプが愛馬を伴って森に入るシーンが現れる。ヤクプはハチ箱を据え付けるため木に登りを始める。これが想像以上に高い木なのだ。ハチ箱(養蜂)についての知識は全くないが、あのような高い木の枝にハチ箱を設置するなんて知らなかった。しかしそれが災いとなる。登るため木にかけた命綱のロープはヤクプの重みに耐えられなく、宙つり状態になってしまう。やがて、ヤクプは人がほとんど入り込まない深い森に一人取り残されてしまう。

ある日、父親が忽然と姿を消してしまい戸惑う母と息子。父親の不在から吃音を持つユスフは話さなくなってしまう。ヤクプが森で木に宙つり状態になったのは息子ユスフの夢なのか?それともやはり現実?観るものも夢か現実か分からなくなってしまう。

ユスフは父親が森へ行く時、“ぼくも一緒に行っていい?”と尋ねる。しかし父親は”家(母親)は誰が守る?”と答える。たった6歳の少年でも“家(母親)を守って!”と言い残した父親の言葉を理解し忘れなかった。食事の度テーブルに置かれたミルクを飲むのが嫌だったユスフ。いつも父親がユスフの代わりに飲んでくれたのだ。しかし父親がいなくなった今、テーブルに置かれたミルクを一気に飲みほす。父親の代わりに“ぼくが母を守らなきゃ…”と肝に命じたユスフの心が見えるようだった。

父親が事故にあった森に入ったユスフが大きな木の根元に身を置くところでエンディングで迎える。その木は父親が登った木だったかも知れない。大きく広がる木の根は、それに身を変えた父親が息子を優しく抱きしめるようにも見え、ユスフに対してどこまでも愛情深く、心優しいヤクプを思い浮かべた。

ヤクプを演じるエルダル・ベシクチオールが素晴らしい。でもそれ以上にユスフを演じるボラ・アルタシュがとんでもなく素晴らしいのだ。6歳の小学生役の彼は撮影時8歳だったそう。ユスフの学ぶ学校のシーンがたびたび登場し、まだあどけない表情のボラ・アルタシュは実にキュートだ。

映画の中に登場する美しい景色はトルコ共和国の黒海沿岸東端に位置し、隣国グルジアとの国境に近いリゼ県のcamlihemsin(チャムルヘムシン)。映画に現れる森は幻想的で、まるで絵はがきのように美しい。

「蜂蜜」はセミフ・カプランオールが同じ人物を主人公にして作った「卵/2007」「ミルク/2008」に続く3部作のラストの作品。「卵」「ミルク」も7月末に一般公開されるので是非観てみたい。

銀座テアトル・シネマにて
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by margot2005 | 2011-07-10 23:07 | ドイツ | Trackback(6) | Comments(0)

「マーラー 君に捧げるアダージョ」

「Mahler auf der Couch」…aka「Mahler on the Couch」20010 ドイツ/オーストリア
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グスタフ・マーラーにヨハネス・ジルバーシュナイダー。
アルマ・マーラーにバルバラ・ロマーナー。
ジークムント・フロイトに「ヒトラーの贋札/2007」のカール・マルコヴィクス。
アルマの母アンナ・モルにエヴァ・マッテス。
グスタフ・クリムトにマヌエル・ヴィテング。
グスタフの妹エスティーネ・マーラー・ロゼにレナ・シュトルシェ。
アルマの恋人で建築家のヴァルター・グロビウスにフリードリヒ・ミュッケ。
監督、脚本は「バクダッド・カフェ/1987」のパーシー・アドロンと息子のフェリックス・アドロン。
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始めに“史実に基づくが、ストーリーは創作。”という案内が出る。
19世紀初頭のオランダ、オーストリアのチロル地方、そしてウイーンとロケされた景色が美しい。

グスタフ・マーラーがフロイトに会っていたという史実を軸に、グスタフの妹エスティーネやアルマの母アンナが二人について語るシーンをはさみながらストーリーは展開して行く。物語は時系列に描かれていないので、過去と現在が行ったり来たりする。それはマーラーがオランダに休暇中の精神科医フロイトを訪ねるところから始まる。彼はアルマが5歳年下の建築家ヴァルター・グロピウスと恋に落ちた事実を知りショックを受けたこと、そしてアルマとの狂おしいまでの愛と情熱を語り始める。

類いまれなる美貌と音楽的才能を併せ持つアルマは19歳年上のグスタフ・マーラーと出会い結婚する。しかし作曲の才能を持つアルマにグスタフはそれを禁じる。作曲が出来ない不満を抱えながらもアルマはグスタフを支え続ける。だが、愛する長女が病死し夫婦の間に亀裂が生じ始める。やがてアルマはサナトリウムでの療養を余儀なくされ、そこで建築家のヴァルター・グロピウスと出会い、二人は激しい恋に落ちる。

クラシックには疎いのでグスタフ・マーラーの名前は知っていても家に彼のCDはないし、代表作は?なんて聞かれても答えられない。知っているのはルキノ・ヴィスコンティの“ヴェニスに死す”の音楽がマーラーであることと、小説でも、映画でも主人公グスタフ・フォン・アッシェンバハがマーラーらしき人であるということ。ダーク・ボガート演じるアッシェンバハは、今回観たこの作品のマーラーとダブって見える。
いずれにしろマーラーより精神分析学者のフロイトや、官能的な作風で有名な画家クリムトの方が知っている。しかしながら映画のストリーは結構興味深かった。

アルマの美貌は結婚前にも画家のクリムトや、作曲の師であるアレクサンダー・フォン・ツェムリンスキーを魅了し、マーラーの死後、画家のオスカー・ココシュカと恋に落ち、その後かつて不倫の仲だった恋人のグロビウスと結婚するが後に離婚。そして作家のフランツ・ヴェルフェルと三度目の結婚をし、共にフランスに亡命後、アメリカ合衆国に亡命し85歳で亡くなった。
最初の夫グスタフ以外アルマの相手は皆年下の男ばかり。三番目の夫となったフランツ・ヴェルフェルは11歳も年下。グスタフの妹エスティーネがアルマを“あばずれ女!”と呼んだように、男たちを虜にし、恋に生きた女性だった。

バルバラ・ロマーナーは情熱的なアルマ役がぴったり。
グスタフ・マーラーを演じるヨハネス・ジルバーシュナイダーと、「ヒトラーの贋札」でサリー役が印象的だったカール・マルコヴィクスのフロイト役はナイス・キャスティング。

原題の“カウチ(ソファ)の上のマーラー”のカウチは精神科医の患者のための寝椅子のこと。

音楽で結びついている二人...“君がいないと作曲が出来ない!”とアルマにすがりつくグスタフ。恋人ヴァルターはアルマをグスタフから連れ去ろうとするが、彼を捨てられない彼女はグスタフが死を迎えるまで留まることを選んだ。

作曲家というのは狂おしいまでの愛と情熱がないと作品を生み出すことが出来ないのだろうか?…で、思い浮かぶのは過去に観た天才作曲家たちの愛の物語…それはショパンストラヴィンスキーシューマン&ブラームスラフマニノフ と誰も彼も情熱的な恋をしている。

渋谷 ユーロスペースにて(6/24迄上映)
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by margot2005 | 2011-06-04 19:31 | ドイツ | Trackback(2) | Comments(0)

「白いリボン」

「Das weisse Band - Eine deutsche Kindergeschichte」…aka「The White Gibbon」2009 ドイツ/オーストリア/フランス/イタリア
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学校教師にクリスティアン・フリーデル。
男爵家で働くエヴァにレオニー・ベベシュ。
男爵に「善き人のためのソナタ/2006」「アイガー北壁/2008」「セラフィーヌの庭/2008」のウルリッヒ・トウクール。
男爵夫人にウルシーナ・ラルディ。
男爵の息子ジギにフィオン・ムーテルト。
牧師に「ベルリン、僕らの革命/2004」のブルクハルト・クラウスナー。
牧師の息子マルティンにレオナルド・プロクサウフ。
ドクターにライナー・ボック。
助産婦に「ピアニスト/2001」のスザンヌ・ロタール。
小作人に「アイガー北壁」のブランコ・サマロフスキー。
監督、脚本に「ピアニスト」「隠された記憶/2005」のミヒャエル・ハネケ。
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1913年7月、北ドイツの小さな村。ある日、ドクターが自宅前に張られた針金につまずき落馬して大けがを負う。次に牧師の娘と息子は帰りが遅いことを父親にとがめられ“白いリボン”をはめられる。その後男爵の製材所で小作人の妻が事故死し、何者かによって男爵のキャベツ畑が荒らされたり、納屋が火事になったり、次々と事件が発生するがそれらは一向に解決しない。やがて村人の間に不安と、不信が募って行く...

第一次世界大戦勃発直前の1913年、北ドイツの小さな村。その村の教師のナレーションで始まる物語は、経済的な支配者である男爵と、宗教的な支配者である牧師を中心に、男爵一家、牧師一家、男爵の家令一家、ドクター一家、そして小作人一家が織りなす愛憎の人間ドラマ。

ドクターが亡くなった妻そっくりに成長した美しい娘を執拗に見つめ、中年の助産婦相手に自らの欲望を満たす。男のエゴ丸出しシーンには嫌悪感で鳥肌がたつ。一方で男爵夫人はしばらく滞在したイタリアで愛人を作り夫に一方的に別れを告げ去って行く。醜い大人たちの振る舞いの中で、救いは教師とエヴァが出会い、ほのかな恋の後、結婚に至ったことだけかな。
ドクターの落馬事故から始まって小作人の妻が亡くなり、男爵の息子ジギが行方不明となる。そして助産婦の息子カーリが大けがを負う。間に男爵家のキャベツ畑が荒らされたり(これは小作人の長男マックスの仕業)、納屋が火事になり、中で首を吊っている小作人が発見される。しかし一連の犯人は誰なのか明かされないまま、第一次世界大戦が始まったという知らせが届きエンディングを迎える。
次から次へと起こる不可解な事件に震撼する村人たち。冷たく、張りつめた空気漂う村の姿がモノクロ映像からひしひしと伝わって来る。しかしながら物語のテーマは宗教(プロテスタント)と貴族の支配。いつものように非日常この上ない展開に小説を読んでいるような気分だった。

鬼才と呼ばれるミヒャエル・ハネケ。「ピアニスト」は観たけど「ファニーゲームU.S.A」はシアターに行かなかった。後にWOWOWで放映された時に観たけど、あまりに惨くて、あほらしくて途中でやめた。鬼才の描く世界にはついて行けなかった。

マルティン役のレオナルド・プロクサウフは将来有望なる若手ドイツ人俳優。彼は「ブッデンブローク家の人々/2008」で次男クリスティアンの若き日を演じていた。
銀座テアトルシネマにて
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by margot2005 | 2011-01-27 00:42 | ドイツ | Trackback(18) | Comments(2)

「メッセージ そして、愛が残る」

「Afterwards」…aka「Et après」2008  ドイツ/フランス/カナダ
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ネイサンに「モリエール 恋こそ喜劇/2007」のロマン・デュリス。
ケイに「チェンジリング/2008」「バーン・アフター・リーディング/2008」のジョン・マルコヴィッチ。
クレアに「ハート・ロッカー/2008」のエヴァンジェリン・リリー。
監督はフランス人のジル・ブルドス。
原作はギョーム・ミュッソの“メッセージ そして、愛が残る”。
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ある日、ニューヨークの敏腕弁護士ネイサンの元にケイと名乗る医師がやって来る。自分は人の死期が分かるというケイの言葉に疑い怒りを募らすネイサン。ネイサンは突然死で失った幼い息子の事故以来心を閉ざし妻と娘とも離れて暮らしていた。しかし執拗に付きまとうケイの言葉を信じるようになったネイサンは妻子を訪ねる決心をする...
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とにかくとてつもなく美しいファンタジー・ヒューマン・ドラマ。
ロマン映画は3月に観た“モリエール”の印象が残っていたので、彼のファンタジックでロマンティックな映画ってどうなの?と思っていた。しかし初めて体験のロマンのロマンティック映画は中々素敵だった。
まずオープニングで素晴らしく美しい映像に魅了される。水面を滑走するBeautifulな白鳥の姿とバックに流れる音楽が見事に調和してうっとりとしてしまう。
ネイサンとクレアの胸に抱かれた小さな息子と、二人の愛娘が森の中で戯れるシーンは圧倒的に美しい!ラスト近く、雪のように見える白い砂地でクレアが撮影するあのシーンも素晴らしくBeautiful!!
この映画の素晴らしさは映像美に尽きるかと思う。

某新聞映画評は例によって絶賛してあったが、これから死に行く人を覆う“白いライトが見える”という人の感覚がどうも理解出来なく、おまけに宗教的なものも感じられ、映像は鳥肌がたつほど美しいが、感動に胸ふるわすってことほどでもなかった。でも素敵な映画であったのは事実。

ストーリーが進むにつれオープニングで事故に遭う少年がネイサンだと分かる。彼は8歳の時に自動車事故に遭うが生き延びる。やがて物語は25年後に...妻子と別れたネイサンは一人ニューヨークに住む。幼い息子を突然死で亡くした事実を受け入れることが出来ず、彼以上に傷ついた妻を思いやらず自身の哀しみに閉じこもってしまったのだ。しかしある日突然彼の元に現れたケイに導かれるようにクレアの元へ向かう。それは自身がケイによって死を宣告されたから。人は死を予告されたら、死ぬ前に自身が取った間違った行動をなんとか修正しようと思うのだろう。しかし死はネイサンのものではなく愛する人のものだったというオチはベストセラー小説のテーマにふさわしい。
“アムール”の国フランスで大ベストセラーになったらしい“ラヴ・ストーリー”小説。いつものことながら小説読んだらスゴく感情移入出来そうな気もした。

前から感じていたジョン・マルコヴィッチのものすごくソフトな語り口…これではそれが活かされて、ケイの台詞は、風貌は全く合わないがまるで天使のように聞こえる。
カナダ出身のエヴァンジェリン・リリーはとても魅力的な女優だ。
ロマン映画で全編英語って初めて観たが、彼の話す英語が素敵に響く。
この美しい映画を撮影したのは台湾出身のリー・ピンピン。彼の撮影した「夏至/200」や「花様年華/2000」の美しい映像が蘇る。

“その後”という原タイトルに上手く結びつけた邦題はまぁまぁかな。でもマジで日本の映画関係者って“愛”って文字を入れるのがお好き。
TOHOシネマズ日比谷シャンテにて
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by margot2005 | 2010-10-03 00:39 | ドイツ | Trackback(6) | Comments(0)

「終着駅 トルストイ最後の旅」

「The Last Station」2009 ドイツ/ロシア/UK
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ソフィヤ・トルストイに「エリザベス1世 ~愛と陰謀の王宮~/2005」「クィーン/2006」「消されたヘッドライン/2009」のヘレン・ミレン。
レフ・トルストイに「Dr.パルナサスの鏡/2009」のクリストファー・プラマー。
ワレンチンに「つぐない/2007」「ジェイン・オースティン 秘められた恋/2007」「ウォンテッド/2008」のジェームズ・マカヴォイ。
チェルトコフに「幻影師アイゼンハイム/2006」「私がクマにキレた理由(わけ)/2007」「デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~/2009」のポール・ジアマッティ。
サーシャ・トルストイに「マグダレンの祈り/2002」のアンヌ・マリー・ダフ。
マーシャに「ダニー・ザ・ドッグ/2005」のケリー・コンドン。
監督、脚本に「素晴らしき日/1996」「真夏の夜の夢/1999」「卒業の朝/2002」のマイケル・ホフマン。
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ロシアの文豪レフ・トルストイの妻ソフィヤは50年もの長い日々献身的に夫を支えて来た。しかしトルストイの弟子チェルトコフが新しい遺書に署名するよう説得中と知った彼女は心穏やかでない。ソフィヤとチェルトコフは誰もが知る犬猿の中。一方でトルストイを崇拝する青年ワレンチンが助手としてやって来る…

世界三大悪妻の一人..ちなみに一番はソクラテスの妻で、二番目はモーツアルトの妻。ソフィヤの代わりにナポレオン一世の妻ジョセフィーヌとも言われているそう。
ソクラテスの妻については全く知識がないが、他の女性たちは知っているので全くもって納得できる。
トルストイの書いた“戦争と平和”&“アンナ・カレーニナ”はもちろん読んでいる。相当前に読んだものでストーリーはおぼろげだが、映画の中で激怒したソフィヤが“アンナ・カレーニナのように列車に轢かれて死んでやる!”という台詞にアンナの鉄道自殺を思い出した。
この映画はレフ・トルストイの晩年を描いている。彼は伯爵家の生まれで、若い頃に相続した広大な土地ヤースナヤ・ポリャーナでソフィヤと50年にも及ぶ結婚生活を送ったという。その白樺林が素晴らしく美しいヤースナヤ・ポリャーナでロケーションされている。

ソフィヤを演じたヘレン・ミレンは“強い女”が実に似合う。エリザベス一世と二世役や「消されたヘッドライン」での鬼編集長。かつての彼女の役柄はそうではなかったと記憶するが、昨今のヘレンが演じる女性は“強い女”ばかり。今回のソフィヤはその最たるもので迫力あり。
トルストイ役のクリストファー・プラマーは60年代〜現在に至るまで50年間第一線で活躍するスゴい俳優。こんな人他にいないので驚く。レフ・トルストイも似合っていたな。
どこまでも純粋で良い青年…だからこそトルストイ夫妻に信頼されたワレンチンを演じるジェームズ・マカヴォイも適役。
ラスト、トルストイの死が報告された駅舎(アスターポヴァ)の周りに集まった人々...彼の死を悼むロシアの人々の姿にレフ・トルストイの偉大さを改めて知った。
TOHOシネマズ日比谷シャンテにて
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by margot2005 | 2010-09-22 00:43 | ドイツ | Trackback(11) | Comments(0)