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カテゴリ:イタリア( 81 )

「ドッグマン」

Dogman2018 イタリア/フランス

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マルチェロは海辺の街でトリミングサロンを営なみ、別れた妻とは今でも良い関係を保っている。時折、愛する一人娘アリダと過ごしたり、地元の仲間と飲んだりサッカーに興じたりするそんな時間がマルチェロにとって最高の楽しみとなっている。一方でマルチェロには暴力的な友人シモーネがいる。彼に支配され利用されているが、断ち切ることができない関係が長く続いている。シモーネのためにドラッグを調達し、強盗の手伝いをするマルチェロ。ある日、シモーネから儲け話を持ちかけられ、脅された末断ることができないマルチェロは盗みに加担してしまう


スキューバダイビングを楽しむマルチェロとアリダ。海が大好きな彼女はハワイやモルディブに行きたいと言う。マルチェロはアリダの願いを叶えることができたのだろうか?


これほどまでに気が弱くてお人好しな人間って存在する?と呆れる。シモーネに脅されるとマルチェロは決してノーと言えないのだ。

IMDb Taglines”Everyone has a breaking point./誰もが破壊点を持っているは絶妙。不条理極まるドラマは少々おぞましい。


オフィシャルHPに”あまりにも奇妙だが胸を打つ結末とは…”とある。あの結末は胸を打つ?

衝撃的なラストの後、エンドクレジットが始まってもシアターは静まり返り、席を立つ人はいなかった。

犬をこよなく愛すドッグマン、マルチェロ。ほとんど無名の俳優マルチェロ・フォンテがドッグマンを怪演。あのラストのマルチェロの歪んだ笑顔が全てを物語っている気がした。


舞台となるイタリアの寂れた海辺の街。そこにマルチェロの店がある。ロケされた寂れた海辺の街はイタリアの南西に位置するカステル・ヴォルトゥルノ。美しい景色が多々あるイタリアとは思えないくらい寂れた海辺でドラマにぴったり。


シモーネを演じるエドアルド・ペッシェも「神様の思し召し」の冴えない不動産屋とは打って変わったキャラで凄みを見せまくっている。

マッテオ・ガローネの「ゴモラ/2008」はイタリア映画祭2009で見ようかどうか迷ったが見なかった。その後一般公開もあったがやはり鑑賞には至らなかった。機会があれば見てみたい。


マルチェロにマルチェロ・フォンテ。

シモーネに「神様の思し召し/2015」のエドアルド・ペッシェ。

アリダにアリダ・カラブリア。

監督、脚本、原案、製作は「ゴモラ/2008「五日物語 3つの王国と3人の女/2015」のマッテオ・ガローネ。


ヒューマントラストシネマ渋谷にて


by margot2005 | 2019-09-07 20:07 | イタリア | Comments(0)

「家族にサルーテ! イスキア島は大騒動」

A casa tutti bene…akaThere's No Place Like Home2018 イタリア

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イタリア、イスキア島に暮らすピエトロとアルバは結婚50年。ある日、金婚式を祝って20人近い親族が集まり、式の後パーティが開催され全員上機嫌の様子。やがてお開きになる頃天候の急変で帰りのフェリーが欠航になり、島から出られない人々は急遽夫妻の屋敷やペンションに泊まるハメになる


群像劇だから仕方がないが少々登場人物多過ぎない?全て親戚だらか余計にややこしい。

美しい島、イスキア島が舞台なのに、ドラマは全く美しくなくて、コメディなのだけどあまり笑えない。

一緒に過ごすハメになった親族一同は全くもって予期せぬ出来事だった。そして時間がたつにつれて抑えていた本音があらわになり、それぞれの家族の秘密が暴露されていく。

露骨に敵意をむきだしにし、周りに誰がいようがお構いなしに相手を攻撃する女性たち。彼女たちは紛れもなくラテンの血かと思える。

World Wide活躍しているステファノ・アルコッシ&フランチェスコ・ファヴィーノを筆頭に豪華なイタリア人俳優の競演。でもドラマは騒々しばかりでつまらなかった。


パオロに「メイド・イン・イタリー/2018」「The New Pope(ピウス13世 美しき異端児)/2019」のステファノ・アルコッシ

ジネーヴラに「カプチーノはお熱いうちに/2013」の カロリーナ・クレシェンティーニ。

イザベッラにエレナ・クッチ。

カルロに「修道士は沈黙する/2016」「レイチェル/2017」のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ。

ベアトリーチェに「司令官とコウノトリ/2012」「ジョン・ウィック:チャプター2/2017」のクラウディア・ジェリーニ。

サンドロに「ムッソリーニとお茶を/1998」のマッシモ・ギーニ。

サラに「ナポレオンの愛人/2006」「イタリア的、恋愛マニュアル/2006」のサブリナ・インパッチャトーレ。

ピエトロに「ハンニバル/2001」「キング・アーサー/2004」のイヴァノ・マレスコッティ。

ルアナに「カプチーノはお熱いうちに」のジュリア・ミケリーニ。

マリアに「墓場なき野郎ども/1960」のサンドラ・ミーロ。

ディエゴに「いつだってやめられるー名誉学位/2017」のジャンパオロ・モレッリ。

アルバに「最後のキス/2001」のステファニア・サンドレッリ。

エレットラに「錆び/2011」「いつだってやめられるー名誉学位」のヴァレリア・ソラリーノ。

リッカルドに「はじまりは五つ星ホテルから/2013」のジャン・マルコ・トニャッツィ。

監督、脚本、原案は「パパが遺した物語/2015」のガブリエレ・ムッチーノ。


Bunkamura ル・シネマにて


by margot2005 | 2019-07-16 21:51 | イタリア | Comments(0)

「クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代」

Klimt & Schiele - Eros and Psyche2018 イタリア

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ナレーションはイタリア人俳優ロレンツォ・リシェルミーで日本語に吹き替えられている(柄本佑)。

監督はミシェル・マリー。


クリムト、エゴン・シーレ、そして同時代に活躍した作曲家のマーラーや精神科医のフロイトについても語られる。

クリムトの絵画が多くあるベルヴェデーレ宮殿オーストリア絵画館と、エゴン・シーレの多くの絵画があるレオポルド国立美術館が紹介され見ごたえがある。若くして亡くなったエゴン・シーレながら作品の多さに驚く。

本作はクリムト展を見る前に鑑賞。


「エゴン・シーレ 死と乙女/2016」

「マーラー 君に捧げるアダージョ/2010」


シネスイッチ銀座にて


by margot2005 | 2019-07-05 00:41 | イタリア | Comments(0)

「ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ」

Hitler contro Picasso e gli altri…akaHitler Versus Picasso and the Others2018 イタリア

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ナチス・ドイツはヨーロッパ各地から芸術品を略奪し、その数は約60万点にものぼり、今もなお10万点が行方不明と言われている。本作はピカソやゴッホ、フェルメールをはじめ奪われた名画たちの数奇な運命を、その奪還活動の歴史とともに辿るアート・ドキュメンタリー。

案内役は「修道士は沈黙する/2016」のトニ・セルヴィッロ。

監督はクラウディオ・ポリ。


4月に鑑賞していたのだがしっかりレビューを書くのを忘れていた。普段ドキュメンタリーってあまり見ないがこれはアートのドキュメンタリー。それも大好きなヨーロッパのアートなので是非見たかった。ドキュメンタリーはとても興味深くて見ごたえがあった。

案内役トニ・セルヴィッロの飄々とした雰囲気も良かった


過去にシアターで鑑賞した2作品「ミケランジェロ・プロジェクト/2014」「フランコフォニア ルーヴルの記憶/2015」のエピソードが登場する。

そしてwowowで鑑賞した「コレクター 暴かれたナチスの真実/2016」「ナチスの愛したフェルメール/2016」のエピソードもあり。


オランダ映画の「コレクター 暴かれたナチスの真実」は、第二次世界大戦後30年にもわたって過去を隠蔽してきたナチの戦犯である大富豪のアートコレクター、ピーター・メンテンの正体を執念で暴いたジャーナリスト、ハンス・クノープの姿を描いている。メンテンを追い詰めるクノープの執念は半端なく、暴いたことにより彼はキャリアを失ったという。


「ナチスの愛したフェルメール」もオランダ製作映画。

オランダの画家メーヘレンはナチス国家元帥ゲーリングに偽のフェルメールを売った罪で逮捕される。それは高官を騙すほどの作品だった。しかし長い懲役刑を求刑されたメーヘレンは自分が書いた贋作と告白するのだった。本作は中々見ごたえがある。


ドキュメンタリーの中で紹介されるもう一つのエピソード。

2013年の11月にドイツ南部ミュンヘンにあるアパートの1室から、第二次世界大戦前~戦中にかけてナチス・ドイツがユダヤ人から略奪した絵画1500点近くが見つかった驚愕の事件。この事件はBSドキュメンタリー番組で紹介していた。


ちょっと思い出した...過去に鑑賞した美術館のドキュメンタリー2本「みんなのアムステルダム国立美術館へ/2014」「ようこそ、アムステルダム美術館へ/2008」は面白かった。


新宿武蔵野館にて(既に上映終了)


by margot2005 | 2019-05-27 22:59 | イタリア | Comments(0)

「幸福なラザロ」

Lazzaro felice2018 イタリア/スイス/フランス/ドイツ

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実際に起きた詐欺事件から着想された寓話的ミステリー。


20世紀後半のイタリアの小さな村純朴で働き者のラザロと村人たちは小作制度の廃止を隠蔽する侯爵夫人に騙され働き搾取され続けている。その村は完全に社会と隔絶しており誰一人疑問に思う者はいない。農民は主にタバコの葉を栽培しており、1軒の家で老若男女がひしめき合って暮らし雑魚寝している。お人好しのラザロの眠る場所はなく、渓谷の洞窟の様な所で寝起きしている。そんなある日、侯爵夫人の家令ニコラが取り立てにやって来る


最初見ていて取り立てに来るニコラの存在が?だった。その後侯爵夫人が登場する。おまけに彼女の息子の名前が、1860年代のシチリアでの没落貴族の姿を描いた「山猫/1963」に登場するタンクレディと同じ名前。少々古過ぎやしないか?なんて思っていた。やがてドラマは進み…時代錯誤も甚だしい!こんなことあり得ない!どういうこと?と思いながら見ていたらなるほどだった。


ある日、侯爵家の息子タンクレディが自分自身の誘拐事件を計画するが、母は全く動じない。やがてその騒ぎをきっかけに警察がやって来て村人たちは初めて外の世界へ飛び出して行く。そしてラザロには災難が降りかかる。

街でラザロと再会したアントニア。彼女は年を重ねていたがラザロは全く変わっていない。アントニアがラザロの前に立ち、その後跪いて祈るような仕草を見せた時、ラザロは神?なのか?これは神話?と思わずにはいられない。


監督アリーチェ・ロルヴァケルの「夏をゆく人々」はもちろん見ている。ロルヴァケルは本作でも前作同様美しい自然を描いていて素晴らしい。そして本作にも前作と同じく監督の姉アルバが出演している。

「ルチアの恩寵」以前に製作された映画で、アルバ・ロルヴァケルは成人したアントニア役で主演じゃないが存在感あり。そのアントニアの夫を演じているのがセルジ・ロペス。フランス、スペインを中心に活躍しているがイタリア映画にも出演とは嬉しい驚き。セルジ・ロペス良いな。

ラザロ役のアドリアーノ・タルディオーロは高校時代に1000人以上の同世代男子の中から監督に発掘されたそう。無垢なキャラがとても似合っている。


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ロケされたのは上写真ラツィオ州のバニョレージョ。ウィキペディアによると崩壊により絶壁となった岩山の上に残る中世都市チヴィタ・ディ・バーニョレージョの特異な景観で知られるとある。

ドラマの中でラザロは”昔ここは用水路だった”と話していた。


ラザロにアドリアーノ・タルディオーロ。

アントニアにアニェーゼ・グラツィアーニ。

アントニア(成人)に「ルチアの恩寵/2018」のアルバ・ロルヴァケル。

タンクレディにルカ・チコヴァーニ。

タンクレディ(成人)に「孤独な天使たち/2012」「歓びのトスカーナ/2016」のトンマーゾ・ラーニョ。

ウルティモに「タンゴ・リブレ 君を想う/2012」「ロープ 戦場の生命線/2015」のセルジ・ロペス。

ニコラにナタリーノ・バラッソ。

マルケッサ・アルフォンシーナ・デ・ルーナ(侯爵夫人)に「ライフ・イズ・ビューティフル/1998」のニコレッタ・ブラスキ。

監督、脚本は「夏をゆく人々/014」のアリーチェ・ロルヴァケル。


Bunkamura ル・シネマにて


by margot2005 | 2019-05-25 00:07 | イタリア | Comments(0)

「エマの瞳」

Il colore nascosto delle cose…akaEmma 2017 イタリア/スイス

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イタリア、ローマ。広告代理店に勤めるテオには恋人グレタがいるが人妻とのsexも楽しむプレイボーイ。離れたところに住む家族ともほとんど会うことはなく、仕事一筋の日々。そんなある日、ダイアログ・イン・ザ・ダークのワークショップでアテンドスタッフとして働く盲目の女性エマのsexyな声に魅せられてしまう


思春期に視力を失ったエマはフランス人の夫と結婚後離婚し、今では理学療法士として自立してる。ある時、偶然エマと再会したテオは猛烈にアタックを開始。テオは目が不自由なのに自立したエマに惹かれてしまったのだ。プレイボーイのテオは軽い気持ちでエマと付き合い始めるが、スーパーマーケットで偶然にも恋人グレタと鉢合わせしてしまう。とっさに盲目の女性を手伝うボランティアをしていると嘘をついてしまったテオ。それを聞いたエマは深く傷つきテオとの連絡を閉ざしてしまう。


健常者が視覚障害者と交際するのはとても大変なことだと思う。ドラマの中でも、初めて行った場所でエマがテオに何がどこにあるのか?と説明を求めるシーンがあったりする。

原タイトルは事物の隠された色という意味だそうで、エマが語るそれが広告代理店に勤めるテオにヒントを与え、彼の企画が大成功を収める

エマからフランス語を習う盲目の少女ナディアがキューピッド役を果たす姿が素敵。ナディアはあれほど嫌がっていた杖を持って外出したのだ。

エマの同居人パッティの存在も忘れてはならない。


ヴァレリア・ゴリノとアドリアーノ・ジャンニーニは「あなたたちのために」でも共演している。そう言えばジャンニーニは「あなたたちのために」でもプレイボーイ役だった。

ジャンニーニを初めて見たのはマドンナの「スウェプト・アウェイ/2002」で、モテる男が実に似合う俳優。

かれこれ30年前に「レインマン/1988」でトム・クルーズの恋人を演じたヴァレリア・ゴリノが若くてチャーミング。


本作はイタリア映画祭2018では「Emma 彼女の見た風景」の仮題で上映された。

ダイアログ・イン・ザ・ダークって知らなかったので、ちょっと調べてみたら日常生活のさまざまなシーンを体験するエンターテインメントとのこと。


エマに「はじまりの街/2016」のヴァレリア・ゴリノ。

テオに「あなたたちのために/2015」のアドリアーノ・ジャンニーニ。

パッティに「ブルーノのしあわせガイド/2011」のアリアンナ・スコンメニャ。

ナディアにラウラ・アドリアーニ。

グレタにアンナ・フェルツェッティ。

パオロにアンドレア・ペンナッキ。

監督、脚本、原案は「日々と雲行き/2007」「司令官とコウノトリ/2012」のシルヴィオ・ソルディーニ。


新宿武蔵野館にて


by margot2005 | 2019-04-11 23:27 | イタリア | Comments(0)

「ナポリの隣人」

La tenerezza2017 イタリア

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イタリア、ナポリ。引退した弁護士ロレンツォは妻を亡くして以来町の中心部のマンションで一人住まいをしている。ロレンツォは過去に不倫をして妻を裏切っていた。娘エレナはそんな父親を許すことができず親子関係は良くない。ある日、心筋梗塞で入院していたロレンツォが退院して来る


ロレンツォはマンションの屋上庭園を挟んだ向かいに引っ越して来た若い夫婦と知り合い、外交的で気取らないミケーラと親しくなる。ミケーラの夫で船舶技師のファビオは北イタリア出身でナポリに馴染めす、二人の子供たちとも上手く接することができない性格。ロレンツォは娘エレナの息子をとても可愛がっている。そんなロレンツォと孫の姿を見てファビオは助言を求めてくる。

ロレンツォは娘エレナや息子サヴェリオとは不仲だが、隣人夫婦には実の家族以上の好意を寄せている。しかしある時、悲劇的な事件が起き隣人夫婦との仲が閉ざされてしまう。


実の家族とは得られなかった平穏な日々を隣人一家からもらったロレンツォ。しかしつかの間の疑似家族が崩壊し、主人公は途方に暮れる...と、なんとも重い物語。

”家族より隣人なのか?””実の家族ではなくて隣に住む一家に心通わせた”と責める息子と娘。

でもラスト、父親に歩み寄るエレナの姿にほっとした。


美女ジョヴァンナ・メッゾジョルノはobasan化がますます加速している。エリオ・ジェルマーノはアブノーマルな雰囲気の人間を演じるのが実に上手い。

本作はイタリア映画祭2018では「世情」の仮題で上映された。


ロレンツォに「宣告/1990」のレナート・カルペンティエリ。

エレナに「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女/2009」「われらの子供たち/2014」のジョヴァンナ・メッゾジョルノ。

ファビオに「レオパルディ/2014」「暗黒街/2015」のエリオ・ジェルマーノ。

ミケーラに「歓びのトスカーナ/2016」のミカエラ・ラマッツォッティ。

アウロラに「推定無罪/1990」「ヒンデンブルグ 第三帝国の陰謀/2011」のグレタ・スカッキ。

サヴェリオにアルトゥーロ・ムゼッリ。

監督、脚本、原案は「家の鍵/2004」のジャンニ・アメリオ。


岩波ホールにて(既に上映終了)


by margot2005 | 2019-04-10 20:48 | イタリア | Comments(0)

「ともしび」

Hannah2017 イタリア/フランス/ベルギー

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ベルギーの小さな地方都市。穏やかな生活を送るアンナと夫は、今夜も小さなダイニングでいつものように無言で夕食をとっている。長年連れそった老夫婦には信頼があるはずだった。しかしある疑惑を受けた夫はアンナと共に警察に出頭し、夫はその場で収監されてしまう…


アンナの夫はなぜ投獄されたのか?全く何も語られないまま物語は進んで行く。でも途中で何度かヒントがある。

近隣からの罵声/息子の無視/証拠の写真(映像は映らない)ラスト、地下鉄のシーンにはドキドキした。浜辺に横たわる死んだクジラを見つめるアンナのシーンも意味深い。


台詞が極端に少ない。相反してアンナが通う演劇クラスでの発声練習は騒々しい。

アンナは豪邸に暮らすエレーヌの家の家政婦をしている。エレーヌの幼い息子は目が不自由。”本を読んで”とせがむ男の子に”今忙しいから…”と言いながらも望みをかなえてやる。

孫の誕生日にケーキを焼いて息子の家を訪ねる。しかしアンナは玄関で追い返されてしまうのだ。帰りの地下鉄のトイレで号泣するアンナ。

ある日、仕事を早めに切り上げ孫の学校へ赴く。門の陰から校庭で遊ぶ孫をじっと見つめるアンナ。アンナは孫を抱きしめられないぶん、思い切りエレーヌの幼い息子を抱きしめているように見えてとても哀れだ。


シャーロット・ランプリングはこの作品で第74回ヴェネチア国際映画祭の女優賞に輝いた。

突然起こった夫の刑務所入り。しかし、これまでと変わらない生活を続けようと必死になるアンナの表情は真に迫る。

台詞が少ないためアンナの表情が多くを語る。演じるランプリングはさすがの演技。男優なら”燻し銀の演技”と言いたいところ。

「まぼろし/2001」「さざなみ/2015」ときて、今回の邦題は「ともしび」。日本語のタイトルはどれもドラマに合っている?


アンナに「ベロニカとの記憶/2017」「レッド・スパロー/2018のシャーロット・ランプリング。

アンナの夫に「ル・アーヴルの靴みがき/2011」のアンドレ・ウィルム。

エレーヌにステファニー・ヴァン・ヴィヴェ。

演劇クラスの教師にファトゥー・トラレ。

アンナの息子ニコラスにシモン・ビショップ。

監督、脚本はアンドレア・パラオロ。


シネスイッチ銀座にて


by margot2005 | 2019-03-15 23:36 | イタリア | Comments(0)

「シシリアン・ゴースト・ストーリー」

「Sicilian Ghost Story」2017 イタリア/フランス/スイス

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13歳のルナとジュゼッペはシチリアの小さな町に暮らし同じ学校に通っている。ある日、学校帰りの森で野犬に襲われそうになったルナをジュゼッペが助ける。そしてルナはジュゼッペに恋をする。ところがある時突然ジュゼッペが姿を消してしまうのだった…


ルナは友人のロレダーナと共にジュゼッペ探しを始めるが誰も彼女たちに協力しようとはしない。ジュゼッペの父親は元マフィアだったが警察の協力者となっていて、彼を黙らせるため息子のジュゼッペを拉致したのだ。

シチリア特有のオメルタ(沈黙の掟)風土の中ルナに協力する者はいない。ルナの両親も同様で、ジュゼッペ探しをするルナの頭が変になったと決め付ける始末。


本作は1993年にシチリアで起きた出来事を寓話的な恋物語として描いている。

ファンタジーとかラヴ・ストーリー...と書いている映画評もあるが、私的にはちょっと無理かな?少年ジュゼッペがマフィアに捉えられ、廃屋で鎖に繋がれた様が生々しいと感じるから。しかしスゴく幻想的に描かれているオープニングはまるでファンタジー・ドラマが始まるような雰囲気に包まれているし、エンディングはとても爽やかで、ルナは夢を見ていたのだろうか?と思わせる

何となくポスターに見覚えがあると思っていたらイタリア映画祭2018で上映されていたことを思い出した。


イタリア映画祭2009で鑑賞した「運命に逆らったシチリアの少女/2008」では、父と兄を殺害したマフィアと闘った少女を描いている。こちらもやはり実際に起きた出来事をもとにドラマ化された。


ちょっとネタバレ…

少年の首を切り落とし酢酸に着けて湖に捨てるイタリアンマフィアが強烈過ぎて現実とは思えない。そして2年間監禁されて殺され捨てられた少年は見つからなかった。


ルナにユリア・イェドリコフスカ。

ジュゼッペにガエターノ・フェルナンデス。

ロレダーナにコリーヌ・ムサラリ。

ルナの父に「ジョルダーニ家の人々/2010」のヴィンチェンツォ・アマート。

ルナの母に「夏をゆく人々/2014」のザビーネ・ティモテオ。

監督、脚本は「サルヴォ:狼は暗闇の天使/2013」のファビオ・グラッサドニア。


シネマカリテにて



by margot2005 | 2019-02-03 00:02 | イタリア | Comments(0)

「結婚演出家」

Il regista di matrimoni…akaThe Wedding Director2006 イタリア/フランス

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娘が結婚したばかりの映画監督フランコ・エリカはアレッサンドロ・マンゾーニの小説いいなづけを撮ろうとしている。そんなある日、ミステリアスな女性がフランコを訪ねて彼の事務所にやって来る。しかしアポイントメントがないためフランコには会えず去って行く。その後シチリアに行ったフランコは浜辺で新婚カップルの記念映画の撮影に遭遇する。記念映画の撮影監督エンツォはフランコ・エリカの大ファンで、誘われるまま彼の家に滞在することになる。そんな折、パラゴニア荘に住む貴族フェルディナンド・グラヴィーナがやって来る。グラヴィーナはパラゴニア荘を維持するため娘ボーナを金持ちの男と結婚させようとしていた。パラゴニア荘に興味を持ったフランコは館に忍び込む


フランコはグラヴィーナからボーナの結婚記念映画の撮影監督に命じられる。やがてボーナがローマのフランコの事務所にやって来たミステリアスな女性だとわかり、ますますボーナに惹かれていく。


ボーナは金持ちの男と結婚したのだろうか?フランコとボーナの駆け落ちは成功したのだろうか?

見ている者はフランコの夢と現実の境がわからなくなって行ってもどかしい。あれはやはりフランコの妄想だった?


本作はイタリア映画祭2007で上映された時に見ることができなかった一作。イタリア映画祭2018で盛んに宣伝していて一般公開があることを知った。で、今回ようやく見ることができた。

フェデリコ・フェリーニの「8 1/21963」のような映画かな?と思っていたけど、またちょっと違う。しかし「8 1/2」や、ルキノ・ヴィスコンティの「山猫/1963」などへのオマージュは感じられてナイス。


フランコ・エリカに「赤いアモーレ/2004「頭を上げて/2009」「ある愛へと続く旅/2012」のセルジョ・カステリット。

ボーナ・グラヴィーナに「昼下がり、ローマの恋/2011」「海と大陸/2011」「君が望むものはすべて/2017」のドナテッラ・フィノッキアーロ。

フェルディナンド・グラヴィーナに「恋のマノン/1967」「夕なぎ/1972」のサミー・フレイ。

エンツォ・バイオッコに「夜よ、こんにちは/2003」「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女/2009」のブルーノ・カリエッロ。

マッダレーナ・バイオッコに「題名のない子守唄/2006」「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女/2009のシモーナ・ノービリ。

監督、脚本は「夜よ、こんにちは/2003「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女/2009」「甘き人生/2016」のマルコ・ベロッキオ。


ヒューマントラストシネマ有楽町/Viva!イタリア vol.4にて



by margot2005 | 2018-06-30 23:01 | イタリア | Comments(0)