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「懺悔」

「Monanieba」...aka「Repentance」1984 グルジア共和国/ソビエト連邦

独裁政権下の粛清により両親を亡くした一人の女性の復讐劇。

ヴァルラム(アベル)にアフタンディル・マハラゼ。
ケテヴァンにゼイナブ・ボツヴァゼ。
サンドロにエディシェル・ギオルゴビアニ。
ニノにケテヴァン・アブラゼ。
監督、脚本にテンギズ・アブラゼ。

1984年公開時の5月、カンヌ映画祭コンペティション部門に出品され、審査員特別大賞に輝いた作品。
しかし日本では公開される事がなかった幻の映画。やっと公開され観る事が出来た。
新年早々“懺悔”したくないが、昨年末に観たもののレビューが書けなくて今頃...
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ソビエト連邦のある地方都市。ケーキ職人のケテヴァンはお客の男が新聞を広げ“偉大な男が死んだ”と叫ぶのを聞く。その偉大な男とは、その街で長く市長を務め権力を振るっていたヴァルラムだった。
ケテヴァンが少女の頃ヴァルラムによって粛清され、後殺害された彼女の両親サンドロとニノ。ケテヴァンは葬儀が終わり埋葬されたヴァルラムの墓を掘り起こす、何度も、何度も。やがて墓堀りの罪で逮捕されたケテヴァンは法廷でヴァルラムに殺された両親の姿を回想し始める...

映画を観終わって岩波ホールを出、一階へ降りるエレベーターの中、ナイスな初老男性二人の会話が聞こえて来る...“いやぁこの作品はあの時代、あの国の背景を知らないと難しいですな?”と映画通っぽいojisamaの言葉。思わず“そうそう!そうですよね!”と言いそうになるのをグッとこらえた。
映画としては幻想的かつ、コミカルなタッチで描かれ中々面白い。
かつて長きに渡って市長を勤め権力を振るっていた男ヴァルラム。彼の死をきっかけに一人の女性が立ち上がり”偉大な男”と呼ばれたヴァルラムの過去を暴く。そして過去を暴かれたヴァルラムの息子アベルの苦悩する姿。やがて十字架を背負って旅立つヴァルラムの孫トルニケが哀しい。
“粛清”という普段聞く(見る)事のない言葉。この映画を観れば意味は分るのだが辞書を引いてみた。辞書には“厳しく取り締まって、不純・不正なものを除き、整え清めること。特に独裁政党などで、一体性を保つために反対派を追放すること。”とあり、成る程と思った。
アフタンディル・マハラゼが父親ヴァルラムと息子アベルの両方を演じている。良く似てるとは思ったけど、彼が二役演じていたとは映画を観ている間全く分らなかった。さすが役者。
映画のチラシに“人類が、再び大きな過ちを犯さないために、忘れてはならない事実がある”と書かれている。
しかし、旧ソ連の時代背景が理解出来ていないので観終わっても良く理解出来ずちょっと寂しかった。
岩波ホールの上映作品、今回もスゴイ チョイス!次回公開作品「シリアの花嫁」も是非観たい。
神保町 岩波ホールにて...
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by margot2005 | 2009-01-07 00:58 | ヨーロッパ | Comments(0)