2008年 09月 09日
フランス映画の秘宝...「誰でもかまわない」
北フランスのソンム河畔を舞台に、4人の男女が織りなす人間ドラマ。
監督、脚本は「ポネット/1996」のジャック・ドワイヨン。
カミーユにクレマンティーヌ・ボーグラン。
コスタにジェラール・トマサン。
コスタの幼なじみで警官のシリルにギョーム・ソレル。
コスタの妻グウェンにグウェンドリーヌ・ゴドガン。
監督ドワイヨンはヴァレリア・ブルーニ・テデスキ主演の「不完全な二人/2005」にジャック役で出演していた俳優でもある。
パリからソンムに戻ったコスタはカミーユと同伴だった。
コスタはカミーユにここで別れようと言って立ち去る。しかしコスタが立ち去った後、カミーユはコスタの家を探しあてようと歩き始める。あてもなく歩くカミーユに声をかけた警官はコスタの幼なじみ。彼の案内でコスタの妻グウェンの家へと向かうカミーユだった...
監督のジャック・ドワイヨンが挨拶に登壇した。
1944年生まれのこの監督。すっごく若く見えて(とても60代には見えない)とっても素敵なフランス男でびっくりした。
ただジーパンにくたびれたジョギング・シューズでの登壇には、ファッション大国のフランス男なのに??と思ったりして...
映画終了後にも現れる予定の監督だったが、あまり好きな作品じゃなかったので、映画が終了し直ぐに席をたった。
今回上映される13本の作品の中で唯一の新作映画。
これは外せないなぁと思ってチケットを買ったが、あのラストにはあまり共感できないし...ありゃりゃ...って感じかな??
映画解説には“パリで何不自由なく育ったカミーユは、自分の人生に物足りなさを感じていた。”とある。
その物足りなさから、カミーユは“誰でも構わない”“誰”にコスタを選ぶ。
しかしパリでの出来事を全く描いてなく、映画はいきなり田舎の海辺に降り立つカミーユとコスタの姿から始まる。
まぁそれはそれで良いのだが、家から妻グウェンに追い出された子持ちのチンピラ コスタが、若く美しいカミーユとパリでどのように出会い結ばれたかを想像だけで感じ取らなければならないのはちょっと難しい。
そして、コスタを妻と幼い娘の元へ戻そうとするカミーユの気持ちはあまり伝わって来ない。
ヒロイン カミーユを演じるクレマンティーヌ・ボーグランは監督に見いだされ初映画出演とのこと。
彼女、役柄が、役柄ということもあるが、終始堅い感じで観ていて少々疲れる。
それというのも、この映画上映前に“フランス映画の秘宝”の開会式と銘打って関係者が登壇し演説。30分以上あったか話...その後上映のこの映画は123分。終わったらどっと疲れが...朝日ホール舞台前の椅子のせいもあるし...
コスタを演じるジェラール・トマサンはチンピラ役がぴったしの俳優。
妻に追い出された家から父親の家に身を寄せ、口うるさい父親とのやり取りは絶妙。
映画は途中から強盗事件に発展し、逃避行か...と思わせる展開になるのだが今一つ盛り上がらないのが残念。
一人、一人の心情を描く人間ドラマなので致し方ないとは思うが...
このドラマが描かれたフランス北部ピカルディ地方ソンム河畔は絵になる。
有楽町朝日ホールにて...