![]() 監督は「やさしくキスをして/2004」「明日へのチケット/2005」「麦の穂をゆらす風/2006」のケン・ローチ。 脚本はケン・ローチ作品でおなじみのポール・ラヴァーティ。 主演のアンジーにカーストン・ウェアリング。 アンジーのルーム・メート ローズにジュリエット・エリス。 アンジーが出会うポーランド移民のカロルにレズワフ・ジュリック。 息子ジェイミーにジョー・シフリート。 父親ジェフにコリン・コフリン。 アンディにレイモンド・マーンズ。 ![]() ロンドンに住むシングル・マザー アンジー。一人息子ジェイミーを両親に預けて働く日々。 ある日、アンジーに昇進を約束した上司は、彼女にセクハラ行為をする。キレたアンジーはその場を後にする。そして、上司はアンジーを昇進させるどころか解雇してしまう。 やがて、ルーム・メートのローズと職業斡旋所を立ち上げたアンジーは、仕事仲間アンディの警告にも耳を貸さない。しかしそこにはやはり落とし穴があった... ![]() 数年前に英国に行った際、税関の列にイスラム系の人々がたくさん並び、英国にはこんなにたくさんのイスラム人が入国(旅行ではない)するのか?と驚いた。 この映画ではイスラム人の他、ポーランドを始めとした東ヨーロッパの人々が安い賃金で働く姿が描かれている。 観ているものをストーリーの中にぐいぐいとひき込んで行くケン・ローチの映画ってやはりスゴイ! まるでマザー・テレサのように不法移民家族に手を差し伸べたかと思えば、一転して不法移民の住処を警察に密告するアンジーの気持ちは複雑極まる。 そのアンジーを演じるカーストン・ウェアリングはハリウッド女優のパメラ・アンダーソンにちょっと似た...パメラよりかなり若いが...とてもクールな女優。皮ジャンでバイクにまたがり疾走するのは多分スタント・ウーマンだろうが、かっこいいのだカーストン・ウェアリング。 両親に預けた一人息子と一緒に暮らそうと頑張りまくる母の姿には泣ける。 ここまでして息子との生活を守りたいか?と問われれば母は“YES!”というであろう。 30年間同じ仕事に就いた父親と、33才にして30回転職した娘。時代が違うのはどうしようもないが、このように価値観の違う父親と娘。父親に“自分と息子のことしか頭にないのか?”と責められながらも、ラストでは息子との生活を守るためアンジーの取る行動は凄まじい。 あのラスト、安いお金で雇える移民を求めウクライナ、キエフに向かったアンジー。そのキエフで自らの職業斡旋所を宣伝後、面接した女性との対話でラストを迎える。あのエンディングは”絶句”だった。シアター、一瞬シーンとしたような気配が漂った。きっと皆唖然としたであろういきなり唐突に迎えたあのラストに... 立場は逆だが、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争によりサラエボから英国に移民して来た母子の姿を描く「こわれゆく世界の中で/2006」を思い出し、今一度見てしまった。 渋谷シネ・アミューズ イースト/ウエストにて... ![]() ![]() ■
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by margot2005
| 2008-08-22 22:35
| UK
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こんにちは。
ケン・ローチ作品は好きなので、 これも気になってたところです。 まだ未見なのですが、衝撃なんですねぇ…。 なんとも観終わったあとに色々考えさせられてしまいそうです。 また観たらお邪魔させてください。
あすかさん、こんばんは!
ケン・ローチ作品はみな見応えがあって良いですね。 人間ドラマが好きなので、この監督が掘り下げる人々の姿はどれも素晴らしいものがあると思います。 衝撃的なラストでした。 母と息子という設定には感情移入してしまうのでなおさらかも知れませんが... 機会があれば是非ご覧くださいまし。
こんばんは。DVDでやっと見ました。これケン・ローチの作品の中で一番好きかもしれません。私もアンジーの姿にぐいぐい引き込まれていきました。ケンローチは人物の描き方がいつも丁寧ですね。
でもこのイギリス社会の姿、ホント現実です。まあ今はクレジットクランチの為に建設業も減ってポーランド人が少なくなってきたとニュースでは言ってますけど。政治的移民/亡命も多いイギリスです。最近よくTVで移民関係のドキュメンタリーしてますよ。とはいいつつ私もマイノリティーですが。
CCさん、おお!!ご覧になりましたのね。
同感です!この作品ケン・ローチの中で一番かもですね。 「Sweet Sixteen」も好きな作品ですわ。 観に行ったシアターは満席で、映画のwebでもコレの評判が良いと言う記事読みました。全国展開されるようなので、たくさんの人に観てもらいたい映画です。 英国社会の現実を改めて知りました。 イタリアも移民が多いという話ですが、ヨーロッパ諸国も、3K(キツい、汚い、危険)と言われる仕事は外国人労働者に頼らざるを得ないのでしょうね? 随分前ですが、横浜のベイブリッジ建設の際にはイスラムの人々が建設に関わり、彼らは橋作りに参加した事に誇りを持っているという記事を思い出しました。
こんばんは~TBさせていただきました。
この映画のラストは、私もびっくりしました。ケン・ローチらしいというかなんと言うか・・・ 明るい話ではないですが、全国展開されてもっと沢山の人々に見て欲しいですね。東京でも1館だけと言うのはもったいないお話です。
カオリさん、こんばんは!
コメント&TBありがとうございました! ラストはほんと衝撃的でしたね。 ケン・ローチ作品てそうかもですね? この後全国展開はあるようです。 都内では渋谷だけの上映って...もったいないですね。 私が観た日は割引ディってこともありましたが、最終回補助椅子まで満席でしたわ。
margot2005さま、こんにちは。
この映画、東京では8月公開だったのですね。大阪では11月でした。遅い~。 ケン・ローチ、ここ10年ほどの作品しか観れてないのですが、厳父というイメージの監督です。 昔の作品、DVDで再販して欲しいと願っています。。 この作品も、ケン・ローチらしい素晴らしい作品だったと私も思いました。 ではでは、また来ます~。
真紅さん、こんばんは!
お越しいただいて嬉しいです! 関西では3ヶ月遅れの公開だったのですね。最初は東京、渋谷のみのスーパー単館公開だったようですが、やはり評判が、評判を生んだのでしょう。 ケン・ローチ映画はwowowで特集をしていた時に何本か見ました。どれもこれも素晴らしい!の一言!です。 私も「SWEET SIXTEEN 」以前の作品は未見なので見たいと思っているのですが、中々叶いません。 ではではまたお出でくださいまし。
margotさん、こんにちは~♪ いつもTBではお世話になっておりますm(__)m
今回はなにやらTBでご迷惑をおかけしてるようで、申し訳ありません。 時々なぜか上手くいかないことがあるようで・・。 その上コメントも書いていただいて、本当にありがとうございました♪ で、この映画ですが、劇場でもラスト、しーんとなったんですね~・・。 その雰囲気、わかります~。 マザーテレサか?って友達に言われちゃうくらいだった彼女が かくも簡単に(?)自分が変わってしまうというのを、目の当たりにした 私たち観客は、ショックという一言では表せない、とても複雑な 重~~~~い気持ちになりましたよね~。 でも、そこがケン・ローチ監督のなせる技で、本当に凄いな、と思いました。 「麦の穂・・」も良かったですが、どちらかというと私はこちらの映画の方が好きでした。衝撃度がもっとあったように思ったし、もっと自分たちの今の生活に密着してるような問題でもあったので。 彼の作品で見てないのも多いので、以前の作品ももっと見てみたいなぁと思いました。
メルさん、こんばんは!
以前はそちらにTB届いていたのですが、最近のエキサイトは届かないブログが多くて困っております。 さてさてラストは正にシーンでしたね。この映画水曜割り引きの日に観たのでシアター満席で、補助席に座って観たわけです。で、あのエンディングには真っ暗ながら、皆唖然としているのが雰囲気で分りましたね。 重くて複雑な題材を上手く描くケン・ローチは類いまれなる監督だと思います。 私も「麦の穂〜」よりコレが好きです。 ケン・ローチ映画はどの作品も素晴らしくて大好きですわ。
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