2008年 03月 12日
「4ヶ月、3週と2日」
「4 luni, 3 saptamâni si 2 zile」...aka「4 Months, 3 Weeks & 2 Days」 2007 ルーマニア2007年カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した違法中絶がテーマの人間ドラマ。
主演のオティリアにアナマリア・マリンカ。望まない妊娠をしたルームメイト、ガビツァにローラ・ヴァシリウ。堕胎を行う怪しげな男ベベにヴラド・イヴァノフ。
監督、脚本はクリスティアン・ムンジウ。

1989年に妻エレナと共に処刑されたルーマニアの独裁者ニコラエ・チャウシェスク。彼の独裁政権もやがて終わりを告げようとする1987年、2月、雪が残るルーマニア、ブカレスト。
ある日、大学生のオティリア(マリンカ)は、ルームメイト、ガビツァ(ヴァシリウ)が中絶を受けるため手配したホテルを訪ねる。しかし部屋の予約はなされていないと告げられる。途方に暮れるオティリアだったが、別のホテルに飛び込み部屋を3日間確保するのだった。
その後、闇の中絶人ベベ(イヴァノフ)を訪ね、ホテルに連れ帰る。
彼女たちが借金してかき集めたお金は3000レウ。しかしホテル代に300レウあまり取られ、残ったお金ではベベは満足しなかった...
公開されたら一番に観に行こうと思いながら、時間が合わずで、やっと観る事が出来た。
とても、とてもリアルに描いてあり、重い...滅茶へヴィーな映画である。
観る前に「ヴェラ・ドレイク/2004」を想像していたが、ちょっと描き方が違う。
映画を観る際、いつも詳しいストーリーを知らないで観たいので、これも観てからタイトルの意味を納得した。
ルームメイト、オティリアにおんぶに抱っこ状態で堕胎に望むガビツァが信じられないくらい子供なのである。
心配に、心配するオティリアをよそに、ホテルのレストランで“お腹が減ったの”と言うガビツァに唖然とし、そしてあのラスト...多分ここで終わるな?と思ったら、あっけなく終わってしまったあのラストはニクい。
冷戦時代のせいなのか?季節が真冬のせいなのか?全体的に暗い雰囲気がこの作品にマッチしている。
どうしようもなく、辛くってやるせない様を全身で表すオティリア役のアナマリア・マリンカが素晴らしい!
1989年12月、ルーマニアの独裁者ニコラエ・チャウシェスクが妻エレナと共に、革命軍によって公開銃殺刑となった映像はニュースで見て覚えている。“王朝”と呼ばれた彼らの大宮殿。銃弾に倒れる妻は高そうな毛皮(セーブルかミンクか?)のコートを纏っていたように記憶する。
独裁者チャウシェスクがエレナと私腹を肥やす中、あの時代に生きたオティリアたちが実に哀れである。
ルーマニアの通貨って、てっきりユーロだと思っていたのだが(ユーロも使える)...今現在のレートで行くと3000レウって日本円で約12万8000。20年前とは為替レートが違うだろうから単純に計算する訳には行かないが、恐らく法外な値段で闇中絶は行われていたことであろう。
同性にとっては余りにも哀しく辛い作品。
銀座テアトルシネマにて...

まあとりあえず民主主義国家に生まれ育っただけでもありがたいです。けど今では「民主主義」というのが大義名分で利用されている傾向にありますね。
89年に日本の民放が、革命軍によって破壊された宮殿にTVカメラを入れて延々放映されたのを見ました。公開処刑のシーンも放映されましたね。
ホント独裁政権て何れの国も似てますね。ルーマニアの前はフィリピンのマルコス政権崩壊でした。マルコス夫妻の私腹を肥やした宮殿もTVでたっぷりと放映されました。
この映画ですが、ラストで“この事はコレからは話さない!”と言う彼女たち...これからしっかりと生きて行かなければならないという彼女たちの姿勢を熱く感じましたね。
もうあれから20年なんですねえ・・・。 当時は公開処刑の映像ばかりが流れていて、その裏側の民衆の実態というものはほとんどわかりませんでしたが。
そんな中でも若者たちはそれぞれの人生を生きていたということなんでしょうか。
いずれにせよ、女性の立場が一段と低く見られているのはどこでも同じなのかな。哀しいことです。
そうですね20年の歳月が経過したようです。
日本の民放は何度も映像を流していましたね。
そんなルーマニアに、このような悲劇が起きていたなんて知る由もなかったです。
この時代のルーマニアの女性ってとてつもなく悲惨な思いをしたのかと思うと哀しい気持ちでいっぱいになります。
さすがmargotさん! ご覧になってたのですね。
私などちっとも知らなかった作品でしたが、ガツンとやられました(笑)
ホントにヘヴィーでしたね。
飾らないというより、余計なものを削ぎ落として落とし切ったような撮り方も
そして女優マリンカも素晴らしかったですよね。
あの独裁夫妻の映像は私もよく覚えてましたので
この作品もよりリアルに伝わりました。
そうです!観てました!
かなりへヴィーそう?と思いつつ観に行きましたが、やはりへヴィーでしたね。
まるで素人のようにも見える二人の女優でしたが、アナマリア・マリンカの表情は素晴らしかったです。あのようなどうしようもない気持ちを表現するってやはり女優ですね。
独裁夫妻のTV特番で処刑のシーンも映されましたが、日本の放送局ってやるなぁと思いました。
この作品もリアリズムを追求し観る者に訴えてましたね。
ずい分遅れて、DVDでやっと見ることが出来ました。
暗いけど、見ごたえがありました。つい最近までの東独といい、ルーマニアといい、そして今も北朝鮮では、体制のために苦しむ民衆がいるのですね。
TB&コメントありがとうございます!
ちょっと迷ったのですが観に行きました。
確かに見応えはありましたね。
東ドイツやルーマニア、そしてフィリピンもでしたよね?
独裁政権て必ず崩壊しちゃうのですが、成せば成ると思うのでしょうか?不思議な世界です。

