2025年 06月 28日
「ガール・ウィズ・ニードル」
「The Girl with the Needle」2024 デンマーク、ポーランド/スウェーデン/フランス/ベルギー

1919年のデンマーク、コペンハーゲン。お針子として働くカロリーネはアパートの家賃を滞納し追い出されてしまう。夫ペーターが戦争に行ったまま行方知れずなのだ。カロリーネは勤め先の工場長に、遺族手当ももらえず困窮している話をし、優しい彼に恋をしてしまう。そして妊娠し結婚を望んだが、身分違いと工場長の母親に言い渡され職も失ってしまう。やがて子供が生まれるが育てることは不可能。カロリーネは浴場で知り合った女性ダウマの家を訪ねる。ダウマは表向きは菓子店を経営していたが、実際の姿はもぐりの養子斡旋所の経営だった…
オープニングから不気味で、お面のような顔が現れる。いつものように予備知識なしで鑑賞したのでホラー?なんて思ったりして…しかしドラマは20世紀前半に実際に起きたことをモチーフにしたミステリードラマ。モノクロで描いている。カラーにしたらとても見ていられないシーンばかり。退席しようか?とも思ったけど、なんとか最後まで鑑賞した。
タイトル「ガール・ウィズ・ニードル」はドラマを観れば納得する。
戦争で顔に大怪我を負ったカロリーネの夫ペーターが、サーカスで醜い顔を芸にする非人道的な時代が恐ろしい。ブラックなスクリーンに映し出されるオープニングのお面のような顔を思い出した。
オゾン映画の前に新宿ピカデリーで鑑賞(既に上映終了)。レビューを書くかどうか迷って今になった。
戦争により貧困にさらされる女性たち。裁判のシーンがあり、デンマークで物議を醸した連続殺人事件の裁判の結果は?
ヒロインを演じるヴィク・カルメン・ソンネと、養子斡旋所の経営者ダウマ役のトリーヌ・ディルホムが大熱演。トリーヌ・ディルホムは存在感あり。
ポーランドでロケされた暗くて古い町がドラマにマッチしている。
マグヌス・フォン・ホーンは長編3作目で、本作は今回初めて日本で公開された模様。
カロリーネに「ヘリコプター・ハイスト 舞い降りた略奪者/2024」のヴィク・カルメン・ソンネ。
ダウマに「罪と女王/2019」「Face to Face -尋問-/2019」のトリーヌ・ディルホム。
ペーターにベシーア・セシーリ。
工場長ヨルゲンに「コペンハーゲン・ラブストーリー/2025」のヨアキム・フィェルストロプ。
イレーネにアヴァ・ノックス・マルティン。
フリーダに「Rita リタ/シーズン4/2017」のテッサ・ホーダー。
監督、脚本はマグヌス・フォン・ホーン。
モノクロ映像が神秘的で鬼畜映画なのに絵画でも見る感覚でしたよ。
国家が疲弊しているときに「有料の赤ちゃんポスト」的な副業は生きる知恵なんでしょうね。
にしても、後を付けていった先で見た衝撃は凄かったです。
北欧映画はこうでなくっちゃ!(笑)←いや、失礼
ちなみに、gooブログでの映画レビューは6月末で個人的に終了しました。
新記事は引っ越し先になってます。よろしくです。
https://ituka100mile.hatenablog.com/
新しいブログ「一輪車に乗れない」拝見しましたよ。
>神秘的で鬼畜映画なのに絵画でも見る感覚
わかりますね。ほんとモノクロでよかった。
「有料の赤ちゃんポスト」そうでした。
貧困に陥っている女性を助けるはずが鬼畜でしたが、
あれは時代的に致し方なかったのかも?
後をつけて行った後のシーンはさすが見せませんでしたね。
とてつもなくダークな、まさに北欧映画でした。

