2023年 10月 23日
「私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?」
「La syndicaliste 」…aka「The Sitting Duck」2022 フランス/ドイツ

フランス綜合原子力企業アレバ社(現オラノ)で労働組合の代表として活動していたモーリーン・カーニーを襲った衝撃の実話を通して原発産業の深い闇に迫る実録社会派スリラー。
2012年、フランス。英語教師でもあるモーリーン・カーニーは世界最大の原子力企業アレバ社で労働組合代表として従業員の雇用と権利を守るために尽力している。ある日、中国企業との間で問題ある取引が秘密裏に進められている事実を掴む。やがて内部告発しアレバ社や政府を相手に実力阻止に動き出す。そんな中、モーリーンが自宅で何者かにレイプされる事件が起こる…
従業員5万人の雇用を守るために行動を取ったモーリーンが自宅でレイプされた。悲惨な現場を発見したのは家政婦だった。警察が動き捜査が始まる。やがてブレモン曹長は、証拠もDNAも何もつかめず、”レイプ事件は自作自演では?”とモーリーンに疑いを投げかける。耐え難い肉体的暴力を受けた後、権力者から言葉で精神的な暴力を受けた彼女は耐えられなくなり”自作自演した。”と認めるしか無かった。加害者から容疑者(嘘の供述)と真逆の立場になったモーリーン。しかし彼女は権力に屈することなく無罪を訴え続ける。
原タイトルは「労働組合員」。誰が、目的は?事件は現在も解決していない。
イザベル・ユペールが大熱演。とても見応えのあるスリラードラマだった。実際に起こったことなので観ていて恐怖心を感じた。
今年70歳になったイザベルって歳とらない?17歳年下のマリナ・フォイスより顔のシワが少ない。
フランスで大ヒットした本作。でも土曜日の最終回のシアターはガラガラ。反対に渋谷の街は人だらけだった。
モーリーン・カーニーに「ミセス・ハリス、パリへ行く/2022」のイザベル・ユペール。
ジル・ユーゴに「デリシュ!/2021」のグレゴリー・ガドゥボワ。
ジャン・ピエールに「プチ・ニコラ/2009」のフランソワ=グザヴィエ・ドゥメゾン。
ニコラ・ブレモン曹長に「ヴォルテール高校へようこそ/2021」のピエール・ドゥラドンシャン。
アンヌ・ロヴェルジョンに「シャーク・ド・フランス/2022」のマリナ・フォイス。
リュック・ウルセルに「ふたりのマエストロ/2022」のイヴァン・アタル。
エルヴェ・テミーム弁護士に「92歳のパリジェンヌ/2015」のジル・コーエン。
ジュリーに「コリーニ事件/2019」のアレクサンドラ・マリア・ララ。
監督、脚本は「ルーヴルの怪人/2001」「ルパン/2004」「ゴッドマザー/2019」のジャン=ポール・サロメ。
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下


