2023年 09月 03日
「シャーク・ド・フランス」
「L'année du requin」…aka「Year of the Shark」2022 フランス

フランス南西部にあるリゾート地ラ・ポワントの美しい海。海上警察官のマジャには早期退職が迫ってた。残りの人生は夫のティエリーとのんびり老後を楽しむ予定。ところがある日、その美しい海で正体不明の怪物に襲われた男性が発見され、観光客で賑わうビーチはパニックに陥り閉鎖になってしまう。”男性はサメにやられた!”と宣言するマジャ。しかし”フランスにはサメはいない!”と誰もがマジャを信用しない。そうこうするうちビーチで食いちぎられた人の手や鼻が発見される。マジャは同僚のブレイスとウジェニーを連れてサメ捕獲に向かう…
フランス初サメ映画はパニック少なめのホラー・コメディ。コメディながら海上警察官マジャは真剣そのもので、それが逆に可笑しい。
ロケ地はスペイン国境に近いランド県(Landes)。
<カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2023>のシークレット作品で上映された。日にちと時間が合わなくて見送ったが、今回見ることができて良かった。
ハリウッドのサメ映画のようにフランスは製作費をかけていない様子なのでサメがしょぼい。作られたサメは1回しかアップ(日本版ポスターの絵)になっていないような気が…。
しかし檻に入っての対処や、背ビレを見せてズンズンと迫る様はスピルバーグの「ジョーズ/1975」へのオマージュかと...。
マジャが最初に捕まえたサメを殺さないで眠らせ、後に海に戻すと言う。これは動物や魚の絶滅危機から救う考え。動物愛護って何だかフランスらしい。
サメにやられた父親の息子たちがマジャの車にペンキで「Assassin/暗殺者」と描き、脅されたりもした。しかしながら、全くめげないマジャはサメの捕獲に再挑戦する。元仲間のブレイスとウジェニーも一緒だった。
何気ない日常に起こった不条理の世界や、サメを絶滅の危機から守ることも描くフランス版。反して檻に入って周りを泳ぐサメを鑑賞する娯楽アドヴェンチャーのハリウッド版。時代と価値観によって描き方が異なり、興味深くて面白いサメ映画だった。
”昨年はコロナで今年はサメか?”と世相を反映し嘆くセリフもあり。
”サメの噂でパリから大勢の人が押し寄せるかも?”なんて心配する地元民。でもパリのリッチな人は南のコートダジュール。そうでない人は北のノルマンディでヴァカンスを過ごすらしい。で、スペイン国境に近いビーチにはやって来ない可能性が高いと思う。
海では泳がず、ビーチでノルディックならぬ、ストックを持ってウォーキングするエンディングがトレビアン!
マジャ・ボルデヌフに「私は確信する/2019」のマリナ・フォイス。
ティエリー・ボルデヌフに「アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台/2020」のカド・メラッド。
ブレイスに「俺はマンデラになる/2021:監督、出演」「その日がやって来る /2023:脚本、出演」のジャン=パスカル・ザディ。
ウジェニーにクリスティーヌ・ゴーティエ。
セバスチャンにルドヴィック・トレント。
監督、脚本は「テディ/2021」のリュドヴィック・ブケルマ&ゾラン・ブケルマ。
新宿シネマカリテ(9/7まで)全国展開あり



