2023年 07月 24日
「サントメール ある被告」
「Saint Omer」2022 フランス
ラマはパリに住む若き女流作家。ある裁判を傍聴するためフランス北部の町サントメールにやって来る。ラマは妊娠4ヶ月だった。
サントメールでの裁判が始まる。セネガルからフランスに留学した女性ロランス。叔母との同居に疲れ、年の離れた男性リュック・デュモンテと付き合い始め同居に至る。彼には別居した妻子がいた。
ドラマのほとんどが裁判のシーン。
裁判の被告はセネガル、ダカール出身のロランス。ロランスは娘殺害の罪に問われている。ロランスはなぜ15ヶ月の幼い娘リリを海岸に置き去りにしてしまったのか?
この裁判(事件)を新作の題材にしようと考えた、セネガル系フランス人の作家ラマ。そして裁判を傍聴し自らの価値観が揺れ動くのを感じ始める。
エンドロールが始まり、アフリカからフランスへ移民した女性の心情など理解できるわけもなく、ただ圧倒されつつ呆然とスクリーンを見つめていた。
ドラマは実際に起こった事件を基にしている(実際の裁判記録をそのままセリフに)。ポスターのように二人の女性が重なり合う様が見事だった。
今年(現在までに)鑑賞した中で一番の秀作。
セネガル系フランス人の女性監督アリス・ディオップによる記念すべき長編デビュー作で、第79回ヴェネチア映画祭銀獅子賞(審査員大賞)に輝いた。
ラマにカイジ・カガメ。
ロランス・コリーにグスラジ・マランダ。
裁判官にヴァレリー・ドレヴィル。
弁護人ヴォードネに「ハッピーエンド/2017」のオレリア・プティ。
リュック・デュモンテに「神々と男たち/2010」のグザヴィエ・マリー。
監督、脚本はアリス・ディオップ。
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下


