「イニシェリン島の精霊」

「The Banshees of Inisherin」2022 アイルランド／UK／USA

1923年、アイルランドの孤島イニシェリン島。両親を亡くし妹シボーンと暮らす独身のパードリックは牛を育てて生計を立てている。ある日、親友コルムの家に行き声を掛ける。返事は返ってこなかったが村のバーで待っていると伝えるパードリック。やがてバーに現れたコルムはパードリックに絶交宣言する…

”全てがうまく行っていた。昨日までは。”

純朴なパードリックはコルムの心変わりが理解できない。なぜ口を聞いてくれないのか？コルムは”くだらない話に付き合うより曲を作って充実した人生を送りたい。”と答え、”これ以上話しかけないでくれ！”。と言い渡す。コルムはヴァイオリン弾き。パードリックはバーで飲みながら話すのが大好きだった。

内戦に揺れる本土とは違い、島民全員が知り合いの長閑な島を舞台に描くコメディドラマは少々ダーク。しかしながら島の風景が素晴らしく美しい。タイトルにあるイニシェリン島は実在しない島で、ロケーションはアラン諸島最大の島イニシュモア。

ほのぼのとした中に思いがけずブラックな雰囲気が入り込むストーリーは絶妙。「ヒットマンズ・レクイエム」以来のコリン＆ブレンダン、コンビが最高！

賢い妹シボーンと、ちょっと変な若い隣人ドミニクの存在がnice。演じる二人も素晴らしい。

友情、悲哀、孤独を描いた素晴らしいドラマだった。

コリンは「タイガーランド／2000」以来の大ファン。お気に入りは「フォーンブース／2002」「ダブリン上等！／2003」「ウディ・アレンの夢と犯罪／2007」「ヒットマンズ・レクイエム／2008」etc.

昨年だったか？Amazon Primeで「オンディーヌ　海辺の恋人／2009」を鑑賞。コリンのこういったラヴストーリーって珍しいな？と思ったけどちょっと素敵な映画だった。マクドナー監督の「セブン・サイコパス／2012」も面白かった。

「S.W.A.T.／2003」や「アレキサンダー／2004」のコリンはクールだけど、八の字眉のコリンは情けない男が似合う。

ちょっと調べてみたら「ヒットマンズ・レクイエム」でゴールデングローブ賞を受賞。本作でも受賞した。オスカーにノミネート！受賞なるか？

パードリックに「AVA／エヴァ／2020」「13人の命／2022」「THE BATMAN－ザ・バットマン－／2022」のコリン・ファレル。

コルムに「ポルトガル、夏の終わり／2019」「マクベス／2021」のブレンダン・グリーソン。

シボーンに「ドリームランド／2019」のケリー・コンドン。

ドミニクに「グリーン・ナイト／2021」のバリー・キオガン。

監督、脚本は「ヒットマンズ・レクイエム／2008」「スリー・ビルボード／2017」のマーティン・マクドナー。

グランドシネマサンシャイン池袋