2022年 08月 30日
「彼女のいない部屋」
「Serre moi fort」…aka「Hold Me Tight」2021 フランス

ある日、クラリスはガレージから、古い車を取り出し、それに乗って家から出て行く…
”家出した女の物語?”と思ってしまうようなオープニング。
ドラマを観ていて最初何が何だかわからなかった。クラリスの妄想なのか?なぜ家族の中に彼女はいないのだろう?とても不思議だった。しかし途中で真実が分かり始める。
才能溢れるマチュー・アマルリックの素晴らしい物語だった。でも少々難を言えば、ドラマの中で流れるピアノ曲は、ピアニストを目指すリュシーのピアノ演奏。それがちょっと耳障りでキツかった。
映画の解説に”夫と2人の子どもを残して家出をしたらしいヒロインの彷徨の行方と残された家族の姿が、いくつもの謎を残したまま断片的に紡がれ、やがて衝撃的な真実が浮かび上がる意欲的な構成で描かれていく。”と書かれている。
”いくつもの謎を残したまま断片的に紡がれ….”これがとても重要。
ドラマが神秘的なので舞台となった場所も古い雰囲気のある場所。スペイン国境に近いフランス南西部オート-ガロンヌ県のガンティー という町で撮影された。スペイン国境というのも謎の一つ。
映画はサスペンスではなくヒューマンドラマ。
予告編の最後に”彼女に何が起きたのか、映画を観る前の方々には明らかにしないでください。”というマチュー・アマルリック(監督)の言葉あり。
このドラマはネタばれしてしまったら観る意味がなくなってしまうかも知れない。マチューの言葉は意味深い。
「強く抱きしめて」が「彼女のいない部屋」になってしまった邦題。これは日本人的発想のような気がしてならない。
「マルクス・エンゲルス/2017」ではドイツ語を「ファントム・スレッド/2017」や「オールド/2021」では英語を、そして本作ではフランス語を操る今旬の俳優ヴィッキー・クリープス。フランス映画「Les trois mousquetaires: D'Artagnan」ではフランス王妃役で、お気に入りのフランソワ・シヴィルがダルタニアンを演じる。出演俳優が豪華なので日本での公開に期待したい。
ルクセンブルグ出身のヴィッキーはドイツ人俳優のパートナーがいる二人の子供の母でベルリンに住んでいるらしい。
マチュー・アマルリックが監督した日本公開の3本「さすらいの女神(ディーバ)たち/2010」「青の寝室/2014」「バルバラ セーヌの黒いバラ/2017」では出演もしているが、本作は監督に専念している。
渋谷は夏休みもそろそろ終わりってこともありですごい人。でも映画を観たル・シネマはガラガラだった(月曜日、最終回)。
クラリスに「ベルイマン島にて/2021」のヴィッキー・クリープス。
マルクに「Girl/ガール/2018」のアリエ・ワルトアルテ。
リュシーにアンヌ=ソフィ・ボーエン=シャテ。
ポールにサシャ・アルディリ。
監督、脚本は「オフィサー・アンド・スパイ/2018」「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊/2021」のマチュー・アマルリック。
Bunkamura ル・シネマ

東急百貨店本店の所在地の再開発によってBunkamuraは来年の4月から大規模修繕のため長期休暇する。東急百貨店本店とBunkamuraが一体化するらしい。
「ロード・オブ・ザ・リング/2001~2003」は3部作を鑑賞して感動した覚えがある。JR渋谷駅で大々的に宣伝しているPrime videoのTVシリーズ「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」が9/2に始まる。ちょっと観てみたい。


