2022年 04月 14日
「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」
「Deux」…aka「Two of Us」2019 フランス/ルクセンブルグ/ベルギー

南フランス、モンペリエのアパルトマン。ニナとマドレーヌは最上階の向かい合う部屋に暮らす年金生活者。独り身のニナは仕事を引退し、マドレーヌの夫は亡くなっていた。20年間愛し合ってきた二人の夢はアパルトマンを売却してローマに移り住むこと。ローマはふたりの思い出の場所だった。しかし家族のいるマドレーヌは娘アンヌと息子フレデリクに、ニナとの関係もローマ行きも打ち明けることができない。ニナはそんなマドレーヌを責め立てる。そんな折、マドレーヌが脳卒中で倒れ、話すこともできなくなってしまう…
フィリッポ・メネゲッティの長編デビュー作は狂気じみた深い愛情物語。
tomatometerは98%!
シネスイッチでの映画鑑賞は久しぶりで、本作のシアターでの予告編は観ていない。いつものように全く前知識なしで鑑賞したので、ドラマが始まってこの二人の今後は?と思っていたら予想もしない展開になってドラマに引き込まれた。そしてラストにほっと一息だった。
高齢者&介護のテーマは多々あるが、それにゲイ(レズビアン)がプラスになるドラマは普通でない。
ドアの覗き穴からマドレーヌの部屋を見張るニナの行動が異常極まる。介護人がいるマドレーヌの家に夜中に侵入したり(ニナは当然鍵を持っている)、アンヌの車を壊したり、家の窓まで破壊する。鬼気迫るバルバラ・スコヴァの形相が強烈。相反して話すことができなくなったマドレーヌ。無言の演技のマルティーヌ・シュヴァリエが上手い。二人の女優が絶妙のキャスティング。
バルバラ・スコヴァは「生きうつしのプリマ/2016」とは違ったイメージで最初誰だかわからなかったくらい。
テーマソング♪Sul Mio Carro♪が印象的。歌っているのはイタリアン人のBetty Curtis。何だか聞き覚えのある曲なので調べたら英語のタイトルは♪ I Will Follow Him♪。60年代にリトル・ペギー・マーチが歌ったヒットソング。
ニナに「ハンナ・アーレント/2012」のバルバラ・スコヴァ。
マドレーヌに「ぜんぶ、フィデルのせい/2006」「マリー・アントワネットに別れをつげて/2012」のマルティーヌ・シュヴァリエ。
アンヌに「ジュリアン/2017」「12か月の未来図/2017」のレア・ドリュッケール。
フレデリクにジェローム・ヴァランフラン。
ミュリエルにミュリエル・ベナゼラフ。
監督、脚本はフィリッポ・メネゲッティ。
シネスイッチ銀座


