2021年 12月 06日
「悪なき殺人」
「Seules les bêtes」…aka「Only the Animals」2019 フランス/ドイツ

灼熱の太陽が照りつけるアフリカ。ヤギを背負った青年が祈祷師を尋ねる。雪深い南フランスの寒村ではパリからやってきた女性が行方不明になる。警察のヴィジエは一人暮らしで無口な農夫ジョゼフと、酪農家のファランジュ夫婦に疑いを抱く…
アリスは農夫ジョゼフと浮気をしているが、夫のミシェルは何も知らずでInternetの出会い系サイトに夢中の日々。
行方不明の女性はパリに住む富豪夫人のエヴリーヌ。夫とは別居中でレストランで働く若い女性マリオンを愛人にしている。
進むストーリーの中、オープニングでヤギを背負った青年はコートジボワールに住むアルマンということがわかる。彼は友人達とNet詐欺で大儲けしていた。
ある夜、アルマンは彼の娘の母親で元恋人のブリジットに再会する。詐欺で儲けた金でブリジットにプレゼントをしヨリを戻そうと迫るが、彼女にはリッチなフランス人の愛人がいた。
ドラマは複数の人間の視点で描かれ、彼らは複雑に絡み合う。ラストにもつながりを見せる監督の技はスゴい!と思った。
邦題の「悪なき殺人」はドラマに合っている。悪意があって殺したわけではないのだから...。
監督がタイトル「Seules les bêtes/Only the Animals」について、吹雪の中で起きたことの真相を知っているのはあの動物達だけ...”そして”解釈は観客に委ねる...”と書いている。
私的にはジョゼフの犬は主人の行いをいつも見ていたし、エヴリーヌの犬も然り。
雪深いフランスの寒村と太陽が照りつけるコートジボワールが結びついた時”おお!”と声が出そうだった。
クライム・サスペンスではあるが何だかブラックコメディっぽい感じもあってニクい。
ドゥニ・メノーシェは最初ジョゼフ役にオファーされていたそう。でも出会い系サイトに夢中のミシェル役がトレビアン。
死体となったエヴリーヌに執着する寂しい男ジョゼフ。演じるダミアン・ボナールもぴったり。アリス役のロール・カラミー面白い。
tomato meter も92%と高い評価。
上映館の新宿武蔵野館は7週間ぶり。久々に実に面白い、とっても見応えのあるフランス映画をシアターで観ることができて良かった。
ミシェル・ファランジュに「ジュリアン/2017」「グレース・オブ・ゴッド 告発の時/2018」「モーリタニアン 黒塗りの記録/2021」のドゥニ・メノーシェ。
アリス・ファランジュに「クイーンズ・オブ・フィールド/2019」のロール・カラミー。
ジョゼフ・ボンフィーユに「レ・ミゼラブル/2019」のダミアン・ボナール。
マリオンにナディア・テレスキウィッツ。
エヴリーヌ・デュカに「ゴッホとヘレーネの森 クレラー・ミュラー美術館の至宝/2018」「Summer of 85/2020」のヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。
セドリック・ヴィジエに「メニルモンタン 2つの秋と3つの冬/2013」のバスティアン・ブイヨン。
アルマンにギイ・ロジェ・ンドリン。
ブリジットにマリー・ヴィクトワール・アミエ。
アリスの父に「ヴィドック/2001」のフレッド・ユリス。
監督、脚本は「ハリー、見知らぬ友人/2000」「マンク 破戒僧/2011」のドミニク・モル。
新宿武蔵野館

