2021年 11月 15日
「PASSINGー白い黒人ー」
「Passing」2021 UK/USA

1920年代のニューヨーク。ある日、ホテルでお茶を飲むアイリーンの前に一人の白人女性が話しかけてくる。ブロンドヘアーの女性はクレアと名のるがアイリーンは彼女を思い出せない。それほど彼女は変化していた。そして誘われるまま部屋に案内される。クレアは裕福な白人の夫と結婚しホテルに滞在していた…
レベッカ・ホールの監督デビュー作品はモノクロで描いている。
ハーレムに住む色白の黒人女性アイリーンは、白人のフリをして生きる女性クレアと再会する。アイリーンの夫ブライアンは黒人の医師で、二人の息子の肌も黒い。
ブライアンは長男に黒人が白人に虐げられている事実を話すがアイリーンはそれを許さない。
'20年代のニューヨーク。クラブでジャズとダンスに興じるアイリーンとブライアンの友人で白人男のヒュー。文筆家のヒューは黒人差別はしない。しかしクレアの夫ジョンは妻の本当の姿を知らずに黒人を軽蔑し嫌悪している。演じるアレクサンダー・スカルスガルドは出番は少ないが存在感あり。
ブライアン役のアンドレ・ホランドはアフリカン・アメリカンが主人公の映画に多々出演している。しかし常に脇役で、彼の存在を確認したのは「ジ・エディ」。このTVシリーズを観てアンドレ・ホランドって中々味のある俳優だと思った。
テッサ・トンプソンは過去の作品とは全く違った凛とした女性を演じている。幼なじみのクレアと再会したことによって心揺れるアイリーンを好演。自由奔放に生きる魅力的なクレア役のルース・ネッガもナイスキャスティング。
優しい夫ブライアンは”私は肌の濃い女性が好きだ。”という。あのシーンは素敵だった。アイリーンはブライアンが白人に見える美しいクレアが好きなのでは?と嫉妬したのだ。
物語の内容は少々残酷だけどモノクロで描いているので逆に映像は美しく写る。ラストは悲しいが素晴らしいヒューマンドラマだった。
tomato meterは90%とやはり高い。
クレアは白人の養女となり、黒人の家族とは決別して生きてきた女性。
差別を恐れてユダヤ人と偽り過去を封印して生きた白い肌の黒人を描いたヒューマンドラマ「白いカラス:The Human Stain/2003」を思い起こす。
アイリーンに「クリード チャンプを継ぐ男/2015」「メン・イン・ブラック インターナショナル/2019」のテッサ・トンプソン
クレアに「アド・アストラ/2019」「ラビング 愛という名前のふたり/2016」のルース・ネッガ。
ブライアンに「ジ・エディ/2020」のアンドレ・ホランド。
ヒューに「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア/2017」「クイーンズ・ギャンビット/2020」のビル・キャンプ。
ジョンに「モーガン夫人の秘密/2019」のアレクサンダー・スカルスガルド。
監督、脚本は「レイニーデイ・イン・ニューヨーク/2019」「ティーンスピリット/2018」のレベッカ・ホール。
原作はネラ・ラーセンの「Passing/通過」。
Netflix

