2021年 10月 30日
「モーリタニアン 黒塗りの記録」
「The Mauritanian」2021 UK/USA


モーリタニア人のモハメドゥ・ウルド・スラヒはアメリカ同時多発テロの容疑者として、キューバにあるアメリカ軍のグアンタナモ基地に収容されていた。2005年、弁護士のナンシー・ホランダーはモハメドゥの弁護人となる。9,11の首謀者として拘束されているが一度も裁判が開かれていない。ナンシーは”不当な拘禁”とアメリカ合衆国を訴える…
ドラマのオープニングはビーチにいるモハメドゥ。やがて宴が始まり延々と続く。そんな中、現れた男たちに連行されるモハメドゥ。車に乗り込む前”すぐに帰るから食事を取って置いて。”と最愛の母に耳打ちしたモハメドゥ。だが彼は二度と母に会うことはなかった。
実話なのでとても重い。しかし差し入れで持ってきたモハメドゥの好物の甘い菓子と温かいお茶。ナンシーと彼女のアシスタント、テリーに微笑む優しい眼差しのモハメドゥ。あのシーンにひと時ホッとする。
Internationalに活躍するお気に入りフランス人俳優タハール・ラヒム。モーリタニアン、モハメドゥ・ウルド・スラヒを大熱演!タハール素晴らしかった。ドラマもとても見応えがあり129分はあっという間だった。
ベネディクト・カンバーバッチは製作にも参加し、英国人の彼は意外にもアメリカ軍のユニフォーム似合っている。
ジョディ・フォスターをシアターで観るのは久しぶり(映画に出演していない)。wowowで観たジョディ主演の少々変わったサイエンス・フィクション・クライム「ホテル・アルテミス 犯罪者専門闇病院/2018」は全く面白くなくて途中で挫折。
でも本作のナンシー・ホランダー役のジョディはクール!
エンディングで本人が登場する。アメリカ合衆国から14年もの間不当に拘禁され拷問を受けたにも関わらずアメリカ人女性と結婚したモハメドゥ・ウルド・スラヒ。”アラビア語で自由と許しは同じ単語”と語った彼の言葉を思い出す。
グアンタナモ湾収容キャンプはキューバが返還を求めアメリカ合衆国がそれに応じる予定になっている(TVニュースで知った)。
下、第74回カンヌ国際映画祭で審査員を務めた時の白いスーツ姿のタハール。
モハメドゥ・ウルド・スラヒに「ニューヨーク 親切なロシア料理店/2019」「ジ・エディ/2020」「ザ・サーペント/2021」のタハール・ラヒム。
ナンシー・ホランダーに「おとなのけんか/2011」「エリジウム/2013」「マネーモンスター/2016:監督」のジョディ・フォスター。
スチュアート・カウチに「クーリエ:最高機密の運び屋/2020」のベネディクト・カンバーバッチ。
テリー・ダンカンに「愛しい人からの最後の手紙/2021」のシャイリーン・ウッドリー。
ニール・バックランドに「シャザム!/2019」のザッカリー・リーヴァイ。
監督は「ブラック・シー/2014」のケヴィン・マクドナルド。
原作はモハメドゥ・ウルド・スラヒの "Guantánamo Diary" 。
TOHOシネマズ日比谷にて

本作、テーマは重いですが見応えのあるすばらしいドラマでした。
演じる俳優たちも演技派揃いで、キャスティングがよかったですね。
ジョディ・フォスター、スクリーンで見たのは久しぶりでしたが
クールで信念をもった弁護士はぴったりと思いました。
カンバーバッチがアメリカ人を演じるなんて、とちょっと驚きましたが
意外にもはまっていましたね。
スラヒの強さと寛大さに心を打たれました。
とても重いテーマでしたがドラマは素晴らしかったですね。
正にキャスティングがナイスです。
カンバーバッチがアメリカ人って意外に似合うのです。
ジョディ・フォスターってアメリカンの割には小柄ですが
存在感ありでクールです!彼女は弁護士役ぴったりなのです。
アメリカ合衆国から不当な扱いを受けたにも関わらず
寛容な心を見せたスラヒ(エンディングの語り)の姿に胸が熱くなりました。

