2021年 08月 22日
「モロッコ、彼女たちの朝」
「Adam」2019 モロッコ/フランス/ベルギー/カタール


モロッコ、カサブランカ。大きなお腹を抱えて旧市街をさまようサミアは美容師の職と住む場所をなくしていた。職を求めて一軒一軒訪ねて回るが誰にも相手にされない。やがて路上で一夜を明かそうとするサミアに小さなパン屋を営むアブラが声をかけてくる。家に入れてもらい一晩暖かい部屋で過ごすことが許された。アブラは夫を亡くして以来、パン屋を一人できりもりし幼い娘のワルダを育ててきた。母と二人きりだったワルダはサミアの存在が嬉しくてならない。しかしある事をきっかけにアブラはサミアを追い出してしまう…
サミアを追い出した母を責める娘。ほどなくアブラはワルダを連れて夜の街にサミアを探し始める。そしてアブラ、サミア、ワルダ3人の日常が始まる。美容師の資格を持つサミアは手先が器用でかつて祖母に教わったという菓子を作る。それは店で評判になり、アブラとサミアの間にも信頼関係が芽生え始める。
サミアに想いを寄せる食料品屋スリマニの存在が素敵だ。
”自分らしく生きると決めた彼女たちが迎える朝の景色とは…”。
ストーリーは監督が過去に家族で世話をした未婚の妊婦との思い出をもとに作り上げたという。
モロッコの伝統的なパンや焼き菓子がとても美味しそう。そして国際的俳優のルブナ・アザバルが貫禄たっぷり。コメディ「テルアビブ・オン・ファイア」では今までにないキャラを演じていたルブナ・アザバル。やはり彼女にはヒューマンな役がとても似合う。
原タイトルの「Adam/アダム」とはサミアが産んだ男の赤ちゃんの名前。ラスト、生まれたばかりのアダムを抱えてアブラの家をそっと出るサミアの姿に胸が熱くなった。エンディングに”母に捧げる”と記される。
アブラに「テルアビブ・オン・ファイア/2018」のルブナ・アザバル。
サミアにニスリン・エラディ。
ワルダにドゥア・ベルハウダ。
スリマニにアジズ・ハッタブ。
監督、脚本はマリヤム・トゥザニ。
TOHOシネマズ・シャンテにて

