2021年 08月 21日
「ザ・サーペント」 TVミニシリーズ 全8話
「The Serpent」2021 UK


1970年、タイ、バンコクのカニットハウスではシャルル・ソブラジが主催するパーティが始まっていた。過去に戻り、ある時、シャルルはカナダのケベックからやって来たマリー・アンドレ・ルクレールと出会う。マリーを自分のものにしたシャルルは、自分の名前はアランでマリーにはモニクと名乗るよう要求する。
一方でヘルマン・クニッペンバーグはタイ、バンコクのオランダ大使館の書記官。日々、退屈な事務処理の合間にオランダ人カップルが行方不明になったことを知り、外交官ポール・シーモンズの協力を得て調査を始める。
フランスのシリアルキラー、シャルル・ソブラジはインドとベトナムの家系をひく男。彼がターゲットにしたのは全て白人。シャルルは白人コンプレックスだったに違いない。
70年代のアジアにはヨーロッパやアメリカからやって来たバックパッカーの若者たちが大勢いて、シャルルにとって好都合だった。英国からタイ、バンコクまでを結んだヒッピー・トレイルと呼ばれるルートがあった。
シャルルの行為にマリーとしては許せないがモニクとしては許してしまう。マリーはシャルル(アラン)に完璧に洗脳されていた。
宝石商のシャルルはタイだけではなくインドやネパールでも若いバックパッカーを獲物にしている。ソフトな口調で獲物に近づくシャルル。彼はアランと名乗り、側にはいつも恋人のモニクと秘書のアジェイがいる。
目をつけた若者に甘い言葉で近づき宝石の投資を持ちかける。しかしそれを拒否する者は容赦なく殺害しパスポートとキャッシュ、トラベラーズチェック(現在は存在しない)を奪う。得たパスポートを偽造し、トラベラーズチェックを換金。アランとモニクは別人になるのだ。
演じるタハール・ラヒムはお気に入りのフランス人俳優。大嘘つきで狡猾な男を熱演している。
ドラマは現在と過去を頻繁に行ったり来たりして少々ややこしいが次から次へと事件が起こり目が離せない。そしてシャルル・ソブラジの逮捕を願い大使館の仕事をないがしろにしてまで調査に没頭する外交官クニッペンバーグ。オランダ人カップルが行方不明後殺されたことを知った後のクニッペンバーグの行動は半端じゃない。彼の妻アンジェラも夫に協力を惜しまなかった。オランダ大使に”本来の仕事をしないなら寒いハーグに送るぞ!”と脅されてもめげないクニッペンバーグの熱意がスゴい。
ベルギー人カップルのレミとナディーン。特にナディーンの勇気ある行動は事件解決の手立てとなった。
実話でシャルル・ソブラジはネパール、カトマンズの刑務所で服役中(2021年、4月現在/77歳)。
被害にあった人々の名前は変えられ、彼らが交わした会話は想像上のもの。
ドラマのエンディングでシャルル・ソブラジ、マリー・アンドレ・ルクレールを筆頭に実際の写真が映し出され、彼らの現在の姿も紹介される。その中にシャルル・ソブラジの毒牙にかかった中で生き延びたフランス人のドミニク・ルネローの姿もあった。
ロケーションは2020年の3月から5ヶ月にわたってコロナ下のタイで行われた。
シャルル・ソブラジに「ニューヨーク 親切なロシア料理店/2019」のタハール・ラヒム。
ヘルマン・クニッペンバーグに「ベロニカとの記憶/2016」「かもめ/2018」のビリー・ハウル。
マリー・アンドレ・ルクレールに「女王ヴィクトリア 愛に生きる/2016」「世界一キライなあなたに/2016」のジェナ・コールマン。
アンジェラ・クニッペンバーグに「ノクターナル・アニマルズ/2016」「くるみ割り人形と秘密の王国/2018」のエリー・バンバー。
アジェイ・チョウドゥリーにアメシュ・エディレウィーラ。
ポール・シーモンズに「ノッティングヒルの恋人/1999」「キラーズ・セッション/2019」「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり/2019」のティム・マッキナリー。
ナディーン・ジレにマチルド・ワーニエ。
レミ・ジレにグレゴワール・イスヴァリン。
オランダ大使ヴァンドンゲンにウイリアム・ブランド。
ドミニク・ルネローにファビアン・フランケル。
ジュリエット・ヴォクレンに「アマンダと僕/2018」「ポップスター/2018」のステイシー・マーティン。


