2020年 12月 14日
「ホモ・サピエンスの涙」
「Om det oändliga」…aka「About Endlessness」2019 スウェーデン/ドイツ/ノルウェー/フランス


監督は「さよなら、人類/2014」のロイ・アンダーソン。
ナレーションの女性がどのような人物を見たのか短く語り、様々な人生が描かれる。
それは33のシーンから...
荒廃した街を上空から眺めるカップル(シャガールの絵画のよう)
神を信じられなくなった牧師(信者の陰でワインをがぶ飲みする牧師が笑えるが彼は絶望している)
爆撃により廃墟と化した街を眺める2人(夫婦のような彼らは決して悲惨ではなくその姿は美しい)
老齢のウェイターが客にワインを注ぐ(歳のせいか目が良く見えていないのかグラスからワインが溢れている)
泥だらけの道をひたすら歩く親子(父が娘を気遣う)などなど…
映画案内に”悲嬉こもごもの人生絵巻”とあるがその通りだった。
”人類は、悲しみに負けずに生きていける...”これが監督のメッセージ。
性別も年齢も生きる場所も異なる者たちの人生の断片を切り取ったドラマはとてもユニーク。
「さよなら、人類」は確か鑑賞したはずだけれど、なぜかレビューを書いていない。
この監督には素人には分からない凄さがあるのだろう。本作もやはりわたし的にはちょっと変な(かなり変わった)?映画だった。
ロイ・アンダーソンはアリ・アスター、アレハンドロ・G・イニャリトゥ、ダーレン・アロノフスキーなど、世界の名だたる映画監督たちに敬愛され、“映像の魔術師”と言われている。”万華鏡のような映像詩”という表現は当たっている。でも名だたる映画監督たちの作品はちょっと変わった映画ばかりなのがニクい。
新宿武蔵野館にて

