2020年 07月 10日
「SKIN/スキン」
「Skin」2018 USA/カナダ/ブラジル/中国

10代の時に実の親に捨てられたブライオンは白人至上主義者のグループを主宰するフレッド・クレーガーとシャリーンに拾われ実の息子のように育てられる。そしてグループの幹部となった今では筋金入りの差別主義者になっていた。そんなある日、3人の娘を育てるシングルマザーのジュリーと出会う…
”生まれて初めて愛を知った差別主義者は組織からの脱会を決意した。
だがその肌に刻まれた憎しみの象徴(タトゥー)を、社会は決して許そうとしなかった。”
反ヘイト団体を運営するダリル・ジェンキンスは“ヘイトを止める方法は3つ…
殺すか終身刑にするか、転向させるかだ”とブライオンに語る。
白人至上主義者たちはムスリムの外国人労働者が寝泊まりするモスクを襲撃し火を放つ。
ブライオンはジュリーや少女たちと生きて行くことに希望を見出し、何の罪もない労働者襲撃をきっかけに脱会を決意したに違いない。
タトゥーショップで働くブライオンの体には差別的なメッセージを込めた鉤十字などが無数に刻まれている。ジュリーや彼女の娘たちと新しい生活を始めようとするブライオンだが、前科と体中のタトゥーがネックとなり仕事に就くことができない。やがてグループを抜けたブライオンの裏切りをを許すことができないスレイヤーたち仲間の脅迫が凄みを増し、そしてとうとうフレッドとシャリーンが現れる。
米国では昨年の5月に、ヨーロッパでは6月以降にそれぞれの映画祭で上映された。今米国では人種差別根絶が問題となっている。
白人至上主義者のグループから抜け出そうともがく青年ブライオンをジェイミー・ベルが大胆に演じている。
全編を通して寒いシーズンを中心に描いているので、ブライオンの辛さがよりいっそう伝わってくる。
計25回、16か月に及ぶタトゥー除去のシーン...スーパー痛そう!
何ともはや衝撃的で強烈なるドラマだった。
エンディングで実際のブライオンとダリルの姿がスクリーンに映し出された。
白人至上主義者は米国のKu Klux Klanやヨーロッパのネオナチが代表とされる。本作を作ったのがテルアビブ生まれのイスラエル人と言うのも興味深い。
髪を振り乱して凄みを利かせるすっぴんのヴェラ・ファーミガ存在感あり。
「フライド・グリーン・トマト/1991」や「妹の恋人/1993」で、とてもチャーミングだったメアリー・スチュアート・マスターソンがFBIエージェント役で出演している。彼女の映画を最後に見たのは「レオポルド・ブルームへの手紙/2002」。メアリー懐かしい。
ブライオン・ワイドナーに「ロケットマン/2019」のジェイミー・ベル。
ジュリー・プライスに「ザ・イースト/2013」のダニエル・マクドナルド。
スレイヤーに「ゴースト・イン・ザ・シェル/2017」のダニエル・ヘンシュオール。
フレッド・クレーガーに「モリーズ・ゲーム/2017」のビル・キャンプ。
ダリル・ジェンキンスに「メン・イン・ブラック3 /2012」のマイク・コルター。
シャリーンに「トレイン・ミッション/2018」のヴェラ・ファーミガ。
監督、脚本、製作は「SKIN/2018(Short)」のガイ・ナティーヴ。
新宿シネマカリテにて




