2020年 06月 07日
「罪と女王」
「Dronningen」…aka「Queen of Hearts」2019 デンマーク/スウェーデン

アンネは未成年の被害者を擁護する弁護士事務所の共同経営者で、モダンで美しい家に医師である夫のペーターと共に双子の娘と暮らしている。ある時、問題を抱える17歳のグスタフを引き取ることになる。グスタフはペーターの前妻との間に生まれた一人息子で、心を開かないグスタフの存在をアンネは疎ましく思っている。そんなある日、家に泥棒が入るが、それはグスタフの仕業だったことがわかる。父ペーターに内緒にしておく代わりに家族と打ち解けるようグスタフに諭すアンネ。次第に双子のフリーダとファニーはグスタフに懐き、彼も双子を愛おしく思うようになる。やがてアンネはグスタフと距離を縮める中、欲望を抑えきれず誘惑してしまう…
アンネは仕事も家庭も完璧。しかし一時の欲望から夫の息子である17歳の未成年の少年グスタフを誘惑してしまう。アンネは単に欲望しかなかったがグスタフは年上の彼女にのめり込んでいく。そしてとうとう二人の関係はアンネの妹リナに知られてしまう。
”もうお終わりよ!”というアンネ。しかしグスタフは引き下がろうとしない。その後、全てを失いたくないアンネは自分を守るべく残酷な選択を決意する。
アンネはグスタフに”一番怖いことは何?”と聞かれて”全てを失うこと。”と答えている。アンネの”全てを失うこと。”の意味を解することができなかったのは、グスタフが若くて精神的に未熟だったからに違いない。
オープニングと全く同じシーンがラスト近くに再び登場し、エンディングへと向かう。ペーターが運転する車の助手席に座るアンネは良心の呵責に苦しむ表情でいっぱいだった。
International俳優トリーヌ・ディルホムの表情が素晴らしい。
マッツ・ミケルセンの「偽りなき者/2012」でデンマークの田園地帯がとても美しかったのを思い出す。本作もロケされたコペンハーゲンの森が神秘的で美しい。
アンネに「リンドグレーン/2018」「Face to Face -尋問-/2019」のトリーヌ・ディルホム。
グスタフにグスタフ・リン。
ペーターに「リンドグレーン」のマグヌス・クレッペル。
リナにスティーヌ・ジルデンケルニ。
監督、脚本はメイ・エル・トーキー。
休館していた映画館がオープンし、10週間ぶりの映画鑑賞。やはり映画はシアターでみたいとしみじみ思った。
ヒューマントラストシネマ有楽町にて

