「カット/オフ」

「Abgeschnitten」…aka「Cut Off」2018 ドイツ

ドイツ、ヘルゴラント島。ある夜、コミック作家のリンダは男たちに脅され海岸へと逃げる。そこには一つの死体が転がっていた。

一方で、妻と離婚した検死官のポールはベルリンで一人暮らし。ある日、娘ハンナと食事をし旅行に誘うがそっけない態度をとられて落ち込んでいる。そんな折、遺体解剖した女性の頭部に小さなカプセルが埋め込まれていた。顕微鏡で調べるとカプセルの中に入った紙幣に”ハンナ＝名前と数字＝電話番号”が記されていた。愛娘ハンナの文字を見て愕然とするポールは書かれた電話番号を打ち込んで通話を始める。すると”助けて！ パパが指示に従わないと殺される!！”とハンナの悲痛な声が返ってくる…

検死官が主人公なので、ドラマの展開において死体解剖のシーンがなくてはならない。それは検死官ポールの指示のもと、若い女性リンダまでメスを握るシーンがあって見せ場がたっぷり。

ハンナの名前を書いた紙幣の発見を皮切りに、次々と遺体から暗号のようなものが発見される手法はユニークでスリル満点。

検死官を目指すインゴルフが14歳の時にSNSを立ち上げ、その後それを売って1400万ドルをゲットしたリッチマンという話も面白い。

ダークなサイコ・スリラーながら時にブラック・ユーモアを織り込む辺りはナイス！

ロケされた雪に埋もれるヘルゴラント島（ドイツ連邦共和国領の北海の小さな島）が神秘的。

大好きなドイツ人俳優モーリッツ・ブライブトロイが主演なのでシアターに見に行くつもりが、こちらも特別上映ゆえ日にちと時間が合わずで見送った。久しぶりのモーリッツ映画は見ごたえあったけどかなりグロテスク。そして最近ちょっと気になるラース・アイディンガーが酷たらしいクズのレイプ魔を怪演している。

ポール・ハーツフェルトに「修道士は沈黙する／2016」のモーリッツ・ブライブトロイ。

リンダに「東ベルリンから来た女／2012」のヤスナ・フリッツィ・バウアー。

ヤン・エリック・サドラーに「マチルダ　禁断の恋／2017」のラース・アイディンガー。

エンダー・ミュラーに「おじいちゃんの里帰り／2011」のファーリ・ヤルディム。

インゴルフ・フォン・アッペンにエンノ・ヘッセ。

ハンナにバーバラ・プラコペンカ。

監督、脚本、製作、企画は「パンドラム／2009」のクリスティアン・アルヴァルト。

wowowにて（2019年11月＜のむコレ３＞／シネマート新宿にて上映）