2020年 03月 08日
「レ・ミゼラブル」
「Les misérables」2019 フランス

警官のステファンはシェルブールからパリ郊外のモンフェルメイユに転勤して来る。犯罪防止班に加わることになり、リーダーのクリスとグワダと共に地域のパトロールを開始する。移民や低所得者が暮らすこの地域は犯罪が多発し、複数のギャングが激しく対立している。そんな中、サーカス団のライオンの子どもが盗まれる事件が発生する…
イル=ド=フランスのモンフェルメイユはヴィクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』の舞台となった街。そこには団地が建ち並び多くの住民はアフリカからの移民や低所得者。
もちろんフィクションだが、まるでドキュメンタリーのようで、まさに”移民大国フランスが抱える現代の深刻な社会問題”を描いた物語である。
映画は2018年にロシアで開かれたサッカーW杯で優勝したフランス、パリの興奮から始まる。エッフェルが目の前にそびえるトロカデロ広場に集まった多くの少年たちは、優勝に貢献しアフリカにルーツのある選手の名を叫んでいる。”エムバテ!エムバテ!”と…。
やがてシーンはモンフェルメイユの街に移る。
大都会パリに近いモンフェルメイユ。クリスはステファンに”シェルブールは田舎だろう?”と言う。ステファンは初日のパトロールで、複数のギャングが激しく対立し、一触即発の緊張状態にあることを知る。イスラム教徒が多く、市長もアフリカ系の人物だった。
モンフェルメイユで育った監督ラジ・リの長編デビュー作品。警察署長を演じるジャンヌ・バリバールはワンシーンのみの出演ながら貫禄たっぷりで存在感あり。
”カンヌ国際映画祭審査員賞授賞をはじめ数々の映画賞に輝いた衝撃のサスペンス・アクション”は警官と移民少年たちの壮絶なる闘い。
衝撃的なラストシーンは延々と続き、スクリーンが暗くなりエンドロールが始まった途端大きく息をついた。
ステファンに「告白小説、その結末/2017」のダミアン・ボナール。
クリスにアレクシ・マナンティ。
グワダにジブリル・ゾンガ。
警察署長に「バルバラ セーヌの黒いバラ/2017」「COLD WAR あの歌、2つの心/2018」のジャンヌ・バリバール。
市長にスティーヴ・ティアンチュー。
イッサにイッサ・ペリカ。
監督、脚本はラジ・リ。
新宿武蔵野館にて

