2020年 01月 15日
「ダゲール街の人々」
「Daguerréotypes」1975 西ドイツ/フランス
監督は「アニエスの浜辺/2008」のアニエス・ヴァルダ。
アニエス・ヴァルダのドキュメンタリー作家としての代表作で日本の劇場で初公開された。
”パリ14区 半径500メートルの小宇宙”
ダゲール街はパリ14 区、モンパルナスにある。ダゲレオタイプを発明した19世紀の発明家ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールの名を冠した通り。辺りには肉屋、雑貨屋、香水屋、美容室、パン屋などの商店が立ち並んでいる。マジシャンがマジックを披露する店はいつも人でいっぱい。そしてそこはヴァルダ自身が事務所兼住居を構える場所でもある。
70年代ってなんかスゴい昔の雰囲気がある。肉屋は大きな塊をその場で切って量にかけ、肉はもちろん紙で包む。香水屋は現在の化粧品店(薬を販売しないドラッグストア)で、香水はやはり量り売りされ、容器を持参する人もいる。雑貨屋(現在のドラッグストア)での買い物客はマイバッグ持参。ドキュメンタリーを見て、環境に配慮したこの時代に戻るべきだとしみじみ思った。
ダゲレオタイプ(銀板写真)と呼ばれる技巧を使う写真家のアシスタントと、写真家の娘の怪しくも切なくて哀しいラヴストーリー「ダゲレオタイプの女/2016」を思いだす。
本作を鑑賞することに決めたのは「アニエスの浜辺」がとても素敵な映画だったから。しかし本作は「アニエスの浜辺」とは全く違った趣で、70年代のパリの市民生活が興味深い。
アニエス・ヴァルダは2019年3月に90歳で他界している。
渋谷 シアターイメージフォーラムにて
宮益坂のイルミネーション/1月中旬迄