2019年 12月 30日
「ある女優の不在」
「Se rokh」…aka「3 Faces」2019 イラン


ある日、イランの人気女優ベーナズ・ジャファリのもとに見知らぬ少女から動画が届く。それはマルズィエという少女の遺言動画だった。動画は映画監督ジャファル・パナヒにも送られていた。
女優になりたかったのに、芸人など役に立たないと家族に言われ、その道を断たれたマルズィエは絶望して自殺を図る。少女は自殺のシーンを自らのスマートフォンで撮影し憧れの女優ベーナズ・ジャファリと監督であるジャファル・パナヒに送りつけたのだ。
ベーナズはショックを隠しきれない様子でジャファルに相談。やがて二人はマルズィエの実家のあるイラン北西部のサラン村に向かう…
最初これってドキュメンタリー?なんて思いながら見ていた。実在の女優と監督が主人公で、村の人々はイランの国民的女優ベーナズ・ジャファリにサインをねだっている。
映画のオフィシャルに”3世代の女優の人生を交錯させたヒューマン・ミステリー”とある。
イラン革命前後、時代に翻弄された3人の女性。人気女優ベーナズと女優を目指すマルズィエ、そしてかつて女優だった人。その人は革命前に映画に出演した大女優で、かつて脚光を浴びたが今では村で惨めな暮らしをしている。
イスラム国イランにおける気の毒な女性の境遇。”芸人など役に立たない”と発したのはマルズィエの弟。マルズィエは聡明な少女で芸術大学に合格したにも関わらず家族の反対に合い絶望する。
ベーナズ・ジャファリを追いかけるマルズィエ…あのラストには希望が見え、素晴らしいエンディングだった。
女優に「ブラックボード 背負う人/2000」のベーナズ・ジャファリ。
監督、脚本、製作に「チャドルと生きる/2000」「人生タクシー/2015」のジャファル・パナヒ。
マルズィエにマルズィエ・レザエイ。
ヒューマントラストシネマ渋谷にて

