2019年 07月 23日
「ペトラは静かに対峙する」
「Petra」2018 スペイン/フランス/デンマーク
スペインのカタルーニャ地方ジローナ。ある日、彫刻家であり資産家ジャウメのアトリエにペトラと名のる女性がやって来る。彼女はジャウメの妻マリサに”しばらくの間ジャウメとここで作品制作をする”と告げるが、ペトラの本当の目的はジャウメが実の父親かどうか確かめることだった…
ペトラはマリサやジャウメの息子ルカス、そして一家の家政婦テレサたちと親交を深めていく。
映画解説に”逃れられない悲劇の連鎖”とあるように、まるで”死”がテーマかと思えるくらい次々と人が亡くなっていく。でもラストで未来が見えてほっとした。
”人間の闇や業をえぐる怪作”とも書かれているが、そのものズバリの一作。
ジャウメを演じるジョアン・ボテイは本作が初演技ながらジャウメを怪演していてスゴい。バルバラ・レニーもヨーロッパ映画賞最優秀女優賞にノミネートされただけあってペトラを好演している。
ドラマは時系列に描かれていなくて少々ややこしかった。時を経ても俳優たちの容姿が変化しないからかも知れない。
ダークなスペイン映画は結構強烈なものがある。本作は心に潜むダークな世界を描いていて、見ていて少々気持ちが重くなった。
邦題につけられた”対峙する”って言葉は普段あまり使わない気がする。普通”直面する”が多く使われると思うが、本作を語るにあたっては”対峙する”がマッチしている。ヒドい邦題が多い中これはイケてる。
ペトラに「誰もがそれを知っている/2018」のバルバラ・レニー。
ルカスに「愛を綴る女/2016」のアレックス・ブレンデミュール。
ジャウメにジョアン・ボテイ。
マリサに「皇帝と公爵/2012」のマリサ・パレデス。
テレサにカルメ・プラ。
ペトラの母フリアにペトラ・マルティネス。
監督、脚本はハイメ・ロサレス。
新宿武蔵野館にて(7/26迄)