2019年 06月 01日
「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」
「The White Crow」2018 UK/フランス

”東西冷戦下の1961年。23歳のルドルフ・ヌレエフは将来を嘱望された才能あふれるソ連のバレエ・ダンサー。その一方で、好奇心旺盛で傲慢な振る舞いは、当時のソ連では異端視され、当局からも警戒されていた。そんな中、海外公演を行うキーロフ・バレエ団の一員として、初めて祖国の地を離れたルドルフ。滞在先のパリでは、KGBの監視もお構いなしに、積極的に西側の文化・芸術に触れ、人々との交流を重ねていくが…。”
偉大なるバレエ・ダンサー、ルドルフ・ヌレエフがエイズによる合併症で亡くなったということを初めて知った。
かつてのバレエは基本的に女性ダンサーがきらびやかに踊る世界。男性のダンサーはアシストって感じの世界でヌレエフは自らが大胆に踊ることを成し遂げた人なのかも知れない。今ではセルゲイ・ポルーニンが第一人者的な男性ダンサーの驚くべく跳躍!
世界一優雅な野獣と呼ばれるバレエ・ダンサー、セルゲイ・ポルーニンがダンサーの一人で出演している。でもこの方演技は不得意なのか?残念なことに台詞が少ない。主演のルドルフ・ヌレエフを演じるオレグ・イヴェンコは演技ができるということで監督に選ばれたそうだが、かなりイケてる。俳優でもOK!
ルドルフ・ヌレエフは父親の赴任地に向かう途中のシベリア鉄道の車内で生まれた。だからかどうか分からないが彼は列車が大好き。パリで精巧なおもちゃの列車を買い求めユーリと遊ぶ様子が実に可愛い。
映画のメイキングで、監督のレイフが”そうだ君はヌレエフだ!”とオレグ・イヴェンコを奮い立たせる映像がナイス。本編でオレグはスゴい跳躍のシーンをセルゲイ・ポルーニンと共に見せる。オレグを激しく鼓舞し、褒め称え踊らす監督が上手いのだ。
レイフ・ファインズはかつてお気に入り俳優だった。過去形になるのは今の彼はもはやかつての彼とは別人だから仕方がない。
「英雄の証明/2011」のレビューに”初監督作だけあって、レイフのレイフによるレイフのための映画といった趣。”と書いている。しかし本作はルドルフ・ヌレエフを力強く描いて素晴らしい。
””レイフ・ファインズは「嵐が丘/1992」以来のファンで、“ハリー・ポッター、シリーズ”をのぞいてほぼ全て見ていると記憶する。とか”「イングリッシュ・ペイシェント/1996」の頃とちっとも変わっていない。”とも書いている。
しかし上作品は今からかれこれ20年前。今ではすっかり禿げあがってしまって見る影もない。「胸騒ぎのシチリア/2015」のレイフにはちょっと引いてしまった。
レイフの映画はオススメがいっぱいあるが「ナイロビの蜂/2005」も良いな。
本作も監督と出演のレイフ。彼の台詞はすべてロシア語。
ラファエル・ペルソナについても書きたい。彼はアランド・ロンの再来と言われた。でもなぜか?精彩に欠けるのだ。とにかくぱっとしない。
アデル・エグザルコプロスは「アデル、ブルーは熱い色」が強烈に印象に残っていて、それ以来の作品はどれもこれもラファエルと同じく精彩に欠ける。
ルドルフ・ヌレエフにオレグ・イヴェンコ。
クララ・サンに「アデル、ブルーは熱い色/2013」「アナーキスト 愛と革命の時代/2015」「ラスト・フェイス/2016」のアデル・エグザルコプロス。
ピエール・ラコットに「黒いスーツを着た男/2012」「彼は秘密の女ともだち/2014」のラファエル・ペルソナ。
ユーリ・ソロヴィヨフに「オリエント急行殺人事件/2017」のセルゲイ・ポルーニン。
クレアにカリプソ・ヴァロワ。
監督、製作、出演(プーシキン)に「007 スペクター/2015」「ヘイル、シーザー/2016」のレイフ・ファインズ。
TOHOシネマズシャンテにて

