2019年 02月 04日
「ナチス第三の男」
「HHhH」…aka「The Man with the Iron Heart」2017 フランス/UK/ベルギー

ローラン・ビネのベストセラー小説「HHhH プラハ、1942年」の映画化。
同じく“エンスラポイド作戦”を描いた「ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦/2016」では暗殺のシーンにしか登場しなかったラインハルト・ハイドリヒが本作では主人公。そしてもちろんチェコスロバキアのレジスタンスのヨゼフとヤンも登場する。
本作ではラインハルト・ハイドリヒの家族を描いていて興味深い。ラインハルトの妻となるリナはナチ党員で、彼に入党を進める。ヒムラーの面接を受けたラインハルトは自分を売り込み入党後大出世を果たす。
ドラマは前半、後半に分け、前半でラインハルト・ハイドリヒと家族の姿を、後半ではヤンとヨゼフたちの“エンスラポイド作戦”を描く手法をとっている。
ハイドリヒはヨーロッパ諸国のユダヤ人の数をリストアップし、容赦なく次々とユダヤ人を殺害して行く。その様は、World Wide タイトルの「The Man with the Iron Heart/鉄の心臓を持つ男」を表していて恐ろしい。
リナと結婚する前、軍人の娘との交際のもつれから軍法会議にかけられ不名誉除隊を経験したラインハルト。結婚後も浮気を繰り返した金髪碧眼の男は女好きだったに違いない。
そういえばスクリーンにアドルフ・ヒトラー役の俳優がほとんど映らなかったが、ヒトラー本人のポスターは登場する。
「ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦」よりこちらの方が見応えがあったように思える。描き方のスケールも大きいし。製作費も多そう。ラインハルト・ハイドリヒの壮大なる葬儀のシーンも圧巻。
レジスタンスのヨゼフとヤンの教会でのシーン…水攻めもあるが、こちらは意外にもさらっと描かれている。
オーストラリア人俳優ジェイソン・クラークの存在感は大きく”金髪の野獣”と呼ばれたラインハルト・ハイドリヒを怪演している。
オコンネル&レイナーのダブルジャック…それほど顔が似ているわけでもないのだけどなぜか?時折二人の区別がつかない。
ヨゼフを匿うモラヴェク夫妻。妻役のセリーヌ・サレットはわかったのだけど、夫役のジル・ルルーシュが別人状態で、彼の出演はエンドクレジットで知った。
ヤンとアンナの短い恋もさらっと描いている。
ラインハルト・ハイドリヒに「かごの中の瞳/2016」のジェイソン・クラーク。
リナ・フォン・オステンに「海賊じいちゃんの贈りもの/2014」のロザムンド・パイク。
ヤン・クビシュに「チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛/2017」のジャック・オコンネル。
ヨゼフ・ガブチークに「ローズの秘密の頁/2016」のジャック・レイナー。
アンナ・ノヴァークに「クリムゾン・ピーク/2015」のミア・ワシコウスカ。
ヨゼフ・ヴァルチークにトーマス・M・ライト。
ハインリッヒ・ヒムラーに「裏切りのサーカス/2011」「パレーズ・エンド/2012」のスティーヴン・グレアム。
マリー・モラヴェクに「めぐりあう日/2015」のセリーヌ・サレット。
ヴァーツラフ・モラヴェクに「 セラヴィ!/2017」「欲望に溺れて/2017」のジル・ルルーシュ。
監督、脚本は「フレンチ・コネクション -史上最強の麻薬戦争-/2014」のセドリック・ヒメネス。
TOHOシネマズシャンテにて

