2016年 12月 02日
「灼熱」
「Zvizdan」…aka「The High Sun」2015 クロアチア/セルビア/スロベニア
1991年:セルビア人のイェレナとクロアチア人のイヴァンは深く愛し合う恋人同士。クロアチア国内で民族の対立が激化する中二人はザグレブへの移住を決断するがイェレナの兄サーシャに猛反対され仲を引き裂かれてしまう。
2001年:紛争終結後ナタシャは母親と共に故郷へ戻るが、激戦により家は荒れ果てていた。母親は家の修繕のため修理人アンテを雇い入れる。紛争で兄を殺されたナタシャは、クロアチア人であるアンテを拒絶する。
2011年:紛争の面影も消えたザグレブで大学に通うルカは久しぶりに故郷へ帰って来る。そしてかつて母親の反対に合い結ばれなかったセルビア人の恋人マリアの住む家を訪ねる。
イェレナ/ナタシャ/マリヤにティハナ・ラゾヴィッチ。
イヴァン/アンテ/ルカにゴーラン・マルコヴィッチ。
イェレナ/ナタシャの母親にニベス・イバンコビッチ。
イェレナの兄サーシャにダド・チョーシッチ。
監督、脚本はダリボル・マタニッチ。
“クロアチア版ロミオとジュリエット”….これに惹かれて見に行くことにした。
一番最初の1991年の物語があっと言う間に終わってしまって、この後どうなるの?とかなり心配した。いつもどうり詳しい情報を得ないで見たので…。
しかし第二話が始まり、なるほど!こうなって行くのか!とドラマにぐいぐいと引き込めれて行った。
拒絶しながらもクロアチア人に惹かれて行くセルビア人女性。2001年の物語が一番緊張感があって見応えがあった。そしてセルビア人の母親の寛大さに胸打たれる。
セルビア人とクロアチア人の若者を主人公に3つの時代の物語が展開され、3つの物語の主人公を同じ俳優が演じている。このような手法は初めて見たかも知れなくてとても斬新。
3つの物語は全く別人を描いているものの、大ラスにつながる様が見事。
兄や母親によって引き裂かれたセルビア人女性とクロアチア人男性が最後に歩み寄るラストは感動を呼び素晴らしかった。
旧ユーゴ映画ではボスニア・ヘルツェゴビナ製作のサラエボを舞台にした「サラエボの花/2006」「サラエボ、希望の街角/2010」を見たことを思い出した。“サラエボのロミオとジュリエット”もたくさんいたと言う。
旧ユーゴの人って名前に皆“何とかっチ”て付くのが面白い。
シアター・イメージフォーラムにて