2016年 05月 24日
「オマールの壁」
パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区に住む青年オマールは誠実なパン職人。目の前にそびえる巨大な壁をよじ登り、今日も幼なじみのアムジャドとタレクに会いに行く。3人はイスラエル政府軍に対抗するため射撃訓練を行っていた。そしてオマールはタレクの妹ナディアに恋心を抱いており、やがては結婚を申しこもうと考えていた…
オマールにアダム・バクリ。
ナディアにリーム・リューバニ。
アムジャドにサメール・ビシャラット。
タレクにエヤド・ホーラーニ。
ラミ捜査官に「ヤギと男と男と壁と/2009」のワリード・ズエイター。
監督、脚本、製作は「パラダイス・ナウ/2005」のハニ・アブ・アサド。
映画の軸となっているのはオマールとナディアの恋。アムジャドの嘘で悲恋に終わる二人の恋があまりにも哀しい。
映画のテーマは重くてシリアスながら、時折ユーモアを交えた台詞があってほっとする。
ある日、イスラエル兵に侮辱を受けたオマールは、憤りを覚え、同志であり、幼なじみのアムジャドとタレクと共にイスラエル兵に攻撃を仕掛ける。しかしオマールが捕まって拷問にかけられた後捕虜となる。
ラミ捜査官に90年以上の懲役刑を宣告され、ナディアさえも罪に問われると脅されたオマールは、ラミ捜査官が差しだす提案を受けるしか方法がなかった。
釈放されスパイとなったが、アムジャドとタレクに決して知られてはならない。一方でオマールはナディアのことが気がかりで彼女が通う女学校を覗いたり、帰宅途中に待ち伏せしたりする。そんなある時、アムジャドとナディアが深刻な表情で話している現場を目撃する。オマールはアムジャドとナディアの仲を疑うが、彼女は否定するばかり。
メールではなく手紙でやりとりする恋人たちの姿がとても新鮮で心に残る。ナディアがオマールに最後に渡そうとした手紙…オマールは受け取りを拒否..それには何が書いてあったのだろう?とかなり気になった。オマールがあの手紙を読んでいたら二人の未来は変わっていたかも知れない。
捕虜となり、釈放されてから2年の月日が経過したある日、アムジャドに会うため壁に向かう。何度も何度も登った壁なのに、登ることができなくて泣きそうになるオマールに一人の老人が手助けする。あのシーンはオマールの心を現しているようで胸を打たれた。
とても衝撃的なドラマのラストは最高に衝撃的。見終わった観客に考える時間を与えるかのようにエンドクレジットは無音だった。映画が終わり久しぶりに席を立つのがツラかった。それほど衝撃を受けたということかも知れない。
本作はなんとなく見に行こうかどうかスゴく迷っていて、でもシアターを変えていつまでも上映しているのではやり見なきゃ!と思いシアターへ!
見て良かった。今年のMY BESTに入れたい一作。
オマール役のアダム・バクリは来日したそう。オフシャルサイト見てないので知らなかった。彼はとてもハンサムで笑顔が最高にキュート。
シネマート新宿にて(5/26迄)
この作品、私も今年見た中で一番強烈に心に残りました。
なんとかシアターに見に行くことができてよかったです。
背景となるテーマは重いですが、スリリングな展開で、ラブストーリーとしても引き込まれました。
あの悲恋には、ちょっと夏目漱石の「こころ」も思い出したりして...
最後の結末、あの猿と角砂糖のエピソードは何を意味していたのか
映画を見終えたあとも、いろいろと考えさせられました。
この映画はホント強烈に心に残る作品となりました。
ミニシアター映画ながら上映が長かったのも、きっと評判が良かったからでしょうね。間にあって良かったです。
とにかく色々と考えさせられる映画でした。
公式サイトに何度も見て欲しいというような事が書いてあったように思えるのですが、今一度見てみたいと思わせる作品です。