「サンドラの週末」

「Deux jours, une nuit」…aka「Two Days, One Night」2014 ベルギー/フランス/イタリア
a0051234_0321241.jpg
a0051234_032476.jpg
a0051234_0315415.jpg
a0051234_0314757.jpg
a0051234_0314061.jpg

ベルギーのとある町。小さなソーラーパネル工場に勤めるサンドラは体調を崩し休職していたが職場復帰を望んでいる。しかしボスからいきなり解雇を言い渡される。業績不振の会社は16人の社員に1000€のボーナスを支払うためには彼女を解雇する必要があった...

サンドラに「エヴァの告白/2013」のマリオン・コティヤール。
夫マニュに「ある子供/2005」「ロルナの祈り/2008」「少年と自転車/2011」のファブリツィオ・ロンジョーネ。
同僚ジュリエットに「アデル、ブルーは熱い色/2013」のカトリーヌ・サレ。
同僚ジャン・マルクに「イゴールの約束/1996」「ロゼッタ/1999/息子のまなざし/2002/」「ゴー・ファースト 潜入捜査官/2008」「ジャック·メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック·エネミー)No.1と呼ばれた男 Part1/ Part2/2008」のオリヴィエ・グルメ。
同僚アンヌに「シスタースマイル ドミニクの歌/2009」のクリステル・コルニル。
監督、製作、脚本は「イゴールの約束」「ロゼッタ/息子のまなざし」「ある子供」「ロルナの祈り」「少年と自転車」のジャン・ピエール&リュック・ダルデンヌ。

サンドラは金曜日の夜と土、日の2日間にわたって同僚を訪ね歩き自分の復職のためボーナスをあきらめてくれないか?と説得して回る。
この説得は実に辛い。ボーナスを当てにする同僚が殆どなのだから。しかしサンドラは夫マニュに励まされ一軒一軒同僚の家を訪ね歩く。そして結果は…。
これってフランス人の感覚なのだろうか?解雇を言い渡された従業員が、他の従業員に助けを求めるなんて…。日本人の感覚ではこういった行動は決してしないと思う。自分も含めて…。
それにサンドラはウツで休職していたはず?ウツの人間ができる行動とは思えない。まぁ途中で挫折して薬を過剰摂取したりもするが、サンドラがここまでできたのは夫マニュの力添えが大きかったと思う。そしてラストは爽やかでダルデンヌ映画らしくないのだ。過去の彼らの作品は二度と見たくないと思わせるものが殆どだったから。

投票の結果を見て、サンドラはとても優しい心の持ち主だと感じた。
サンドラはノーメークで毎日同じジーンズに、代わり映えのしないTシャツやタンクトップと、ショルダー・バックを肩にかけ、髪はトップにゴムで結んでいる。マリオン・コティヤールはとても華やかで美しい女優ながら、住宅ローンの支払いを案じる生活感漂うサンドラ役がしっくりくるのだ。

ダルデンヌ兄弟映画は「イゴールの約束」~「少年と自転車」まで観ているが、本作はオスカー女優マリオン・コティヤールの出演が話題になり、2015年のオスカー主演女優賞にもノミネートされた。
オリヴィエ・グルメはダルデンヌ作品の常連で、ファブリツィオ・ロンジョーネもいくつかの作品に出演している。
この監督の作品は孤独がベースで、それに貧困も加わる。しかしセシル・ドゥ・フランスが主演の前作「少年と自転車」辺りからダルデンヌ独特の暗さから抜け出したように感じる。それ以前の作品はどれもこれも観ていて辛くなって困った。まぁ何れの作品も最後にはほのかな希望が見えるのだが…。

「サンドラの週末」という邦題だと何か楽しげなことを想像しがちで全くふさわしくない。サンドラはちっとも楽しいウイークエンドじゃないのだから。原タイトルの“Two Days, One Night”…サンドラに残された金曜日の夜と土、日の2日間...切羽詰まった感じがドラマにふさわしくて良い感じ。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
[PR]
by margot2005 | 2015-06-05 00:36 | フランス | Comments(2)
Commented by セレンディピティ at 2015-06-07 12:52 x
こんにちは。
ドキュメンタリーのような淡々としたタッチながら
雇用問題の解決方法にお国柄が感じられ、興味深く見ました。
ラストの取引に応じなかったサンドラの潔さがよかったですね。
この2日間で彼女もだいぶ心が強くなったのかな?と思いました。

ダルテンヌ監督の作品、初めて見ましたが、
これまでは後味の悪いものが多かったのですね?
「少年と自転車」は気になりながら見逃してしまった作品なので
近いうちに是非見てみようと思います。
Commented by margot2005 at 2015-06-09 19:33
セレンディピティさん、こんばんは。
いつも見に来てくださってありがとう。

ダルテンヌの世界はいつも人々の孤独を描いてます。そうドキュメンタリー・タッチに描かれているように思えますね。他の作品も...。
本当に雇用問題についてのお国柄を実に感じます。
ラストのサンドラの決断に優しい彼女の人柄が反映されていました。
そう、ウツに打ち勝った彼女は、この問題で強くなったのかも知れません。
「少年と自転車」も良い作品です。やはりラストが素敵ですね。
<< 「リピーテッド」 「ラン・オールナイト」 >>