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「マルタのことづけ」

「Los insólitos peces gato」…aka「The Amazing Catfish」メキシコ/フランス
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クラウディアにヒメナ・アヤラ。
マルタにリサ・オーウェン。
長女アレハンドラにソニア・フランコ。
次女ウェンディにウェンディ・ギジェン。
三女マリアナにアンドレア・バエサ。
長男アルマンドにアレハンドロ・ラミレス・ムニョス。
監督、脚本はクラウディア・セント・ルース。

メキシコ、グアダラハラ。スーパーマーケットで働くクラウディアは、ある日、強烈な腹痛を覚え病院へ向う。医師の診断によると虫垂炎だった。やがて手術も無事終わりベッドに横たわるクラウディアに隣のベッドにいる女性が声をかけてくる…

メキシコ映画は滅多に見る機会がなくて「グッド・ハーブ/2012」以来。シアターで何度も何度も予告を見て少々気になっていた一作。

エイズで死んで行く母親の死を見つめる子供たちのドラマだが決して暗くない。
シングル・マザーであるマルタの、父親が違う4人の子供たちと、ある日突然家族の一員になったクラウディア。クラウディアには母親がいない。もちろん父親も兄弟も。
母親マルタの死に絶えられない子供たちに戸惑いながらもクラウディは彼らを支えようとする。ずっと一人で生きてきたから、最初騒々しい子供たちと接するのにスゴく違和感があったはず。マルタの子供たちは実に騒々しい。おまけにそれぞれが自分勝手で好きに行動しがちだ。彼らに振り回されながら団体生活をするのは少々難しかった様子だが、クラウディアはやはりきっと一人では寂しかったのだろう。

クラウディアは余命いくばくもないマルタが必死に生きようとしているのを目の当たりにする。
母親には捨てられたが、マルタは自分の存在を認めてくれる。マルタに会うまで生きる目的も、希望も見いだせなかったが今は自分自身を見つめ直すことができる。常に暗い表情のクラウディアがだんだんと明るくなっていく姿が印象的で素敵だ。

ラスト、“マルタのことづけ”が紹介される。長女から末の息子全員に言い残した後、クラウディアにもことづけされる。
“マルタのことづけ”はきっとそれぞれが未来に向け一生懸命生きる気持ちになったに違いない。

「グッド・ハーブ」同様本作も女性監督。クラウディア・セント・ルースの初長編映画とのこと。またまた「グッド・ハーブ」同様登場人物はほぼ女性。マルタの子供たちの一番下が唯一男の子という設定。
自分の死を恐れながらも、その直前迄母親のポジションを全うするマルタが素晴らしい。

シネスイッチ銀座にて
by margot2005 | 2014-10-31 23:36 | 中・南米 | Comments(0)