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「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」

「Sacro GRA」 2013 イタリア/フランス
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監督、撮影にジャンフランコ・ロージ。

全長約70キロ、イタリア最長の環状高速道路GRAはローマを土星の輪のように取り囲んでいる。
その周辺に住む人々...
ヤシの幹の中の音を聞き害虫から守る研究をする植物学者。
上空を飛行機が飛び交う高層アパートに住む父親と大学生の娘がとりとめもない会話を交わす。
お城のような大邸宅に住み、それを映画撮影やセレモニー、B&Bに貸し出している自称没落貴族。
環状線の救急隊員は年老いた母親を気使う心優しい男性。
テヴェレ川でうなぎ漁をする老漁師は後継者がいないことを嘆いている。
両性具有の車上生活者は子守唄を口ずさむ。
そして道路沿いの屋台には女装のゲイ、大道芸人、外国人売春婦など様々な人々が集まってくる。

主人公たちはローマ環状線周辺に暮す市井の人々。主に6組の家族が織りなす日常生活。世界的観光地ローマが舞台ながら、映画には観光客が訪れるスポットは全く映しだされない。淡々と進むドラマの中に、自称没落貴族と植物学者を除きイタリアの底辺に住む人々のほのぼのとした生活を覗き見た気分になる。

没落貴族がきんきらきんの部屋で風呂に入り葉巻をくゆらす姿や、部屋の壁中に偽物の著名な絵画…フィレンツェ、パラティーナ美術館にあるラファエロの”聖母子像”の模造画があって笑える。
ヘッドフォンで樹から発する音を分析する植物学者のエピソードも面白かったし、高層アパートに住む親子の会話がナイス。母親を気遣い、深い愛を注ぐ救急隊員のおじさんの姿にはジーンとくる。

初日(8/16)に観に行ったところ満員で断られた。土曜日でお盆ってこともあるし…以前から都内のシアターはお盆には人が入る。帰省する人を除いて仕事が休みの人が多いせいだろう。上映はヒューマントラストの小さい方のシアター。で、気を取り直して9月に入ってから観に行ったところかなり空いていたな(平日最終回)。
イタリア映画祭2014で上映され少々気になっていたドキュメンタリー映画。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて(現在レイトショーのみ上映中)
by margot2005 | 2014-09-22 23:26 | Comments(0)