2014年 06月 15日
「カニバル』




カルロスに「ボルベール<帰郷>/2008」のアントニオ・デ・ラ・トレ。
アレクサンドラ/ニーナに「七つの慈しみ/2011」のオリンピア・メリンテ。
監督、製作、脚本はマヌエル・マルティン・クエンカ。
有能な仕立て屋のカルロスは真面目で孤独を愛する紳士。しかし一方では美しい女性を見つけ殺害し、切り刻んで肉片を冷蔵庫に保存し、調理して食すという“カニバリズム”愛好家でもあった。東欧からやって来た隣人ニーナに目を付けたカルロスはいつものように山荘で彼女を殺害する。しかしニーナが行方不明になったことを知った姉アレクサンドラがカルロスに救いを求めてくる...
IMDbのジャンルはスリラーで、allcinemaではホラー/ロマンスとなっている。血も飛び散らないし、全く残忍なシーンが登場しないホラー映画なんて初めて観た気がする。ポスターにも“LOVE STORY”とある。
舞台はスペイン、グラナダ。ラスト近くでキリスト教徒たちが聖母マリアの像を担ぎ練り歩く姿が映る。それを窓から眺めるカルロスは罪を悔い改めようとしていたのだろうか?連続殺人は完全犯罪だし...。
ニーナとアレクサンドラは双子姉妹ながら正確が全く違う。派手で強引なニーナに比べ、アレクサンドラはおとなしく誠実な女性。やがて次第にカルロスはアレクサンドラに惹かれて行く。そして愛してしまったと知ったカルロスは、自身の欲求(殺して切り刻む)を満たす事ができず苦悩するのだ。
ラストはどうなるのだろう?とスゴく興味深かった。やはりあの形で神はカルロスに罰をくだしたのだろう。きっと…。
“スペインのアカデミー賞にあたるゴヤ賞では作品・監督・主演男優賞を含む8部門にノミネートされ た。”とあるが、その通りカルロス役のアントニオ・デ・ラ・トレが素晴らしい。
イタリア映画祭2012で観た「七つの慈しみ」では少女のイメージだったオリンピア・メリンテが美しい女性に変身している。
ほぼ全シーン寒い季節が舞台。たった一人の仕事部屋や、雪の山荘が静寂かつ平穏で、カルロスが連続殺人鬼であることなど忘れてしまう。背景もとても美しく、やはり本作はラヴ・ストーリーなのだろう。
ヒューマントラストシネマ有楽町にて

