2014年 03月 11日
「家族の灯り」

ジェボに「そして、デブノーの森へ/2004」「ミュンヘン/2005」「宮廷画家ゴヤは見た/2006」「神々と男たち/2010」「楽園からの旅人/2011」のミシェル・ロンズデール。
ドロテイアに「鞄を持った女/1961」「山猫/1963」「ブーベの恋人/1963」のクラウディア・カルディナーレ。
ソフィアにレオノール・シルヴェイラ。
ジョアンにリカルド・トレパ。
カンディアに「死刑台のエレベーター/1957」「黒衣の花嫁/1968」「ぼくを葬る/2005」「クロワッサンで朝食を/2012」のジャンヌ・モロー。
シャミーソにルイス・ミゲル・シントラ。
監督、脚本は「コロンブス 永遠の海/2007・ノン、あるいは支配の空しい栄光/1990」「ブロンド少女は過激に美しく/2009」のマノエル・ド・オリヴェイラ。
レオノール・シルヴェイラ/リカルド・トレパ/ルイス・ミゲル・シントラの三人はオリヴェイラ監督の常連俳優。



老人ジェボは帳簿係として細々と生活している。その帳簿係も会社のお情けから続けられている有様。ジェボは妻ドロテイアと息子の妻ソフィアの三人暮らし。愛する息子ジョアンは8年前に疾走以来戻って来ない。しかしある夜ジョアンがいきなり帰ってくる。ジョアンの出現で穏やかな生活が乱れ始め3人は動揺し始める...
原タイトルは“ジェボと影”。邦題の“家族の灯り”はスーパー級に家族思いのジェボからきているのかも知れないが、かなり短絡的につけた模様。
マノエル・ド・オリヴェイラ映画を鑑賞したのは「クレーヴの奥方/1999」「夜顔/2006」以来6作目。
昨年の9月に渋谷で上映されたオムニバス作品の「ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区/2012」は見損なってしまった。wowowでの放送を期待したい。
主人公のミッシェル・ロンズデールは「楽園からの旅人」では神父を演じていた。本作では貧しいが、穏やかで心優しいジェボ役が似合っている。
懐かしのクラウディア・カルディナーレはwowowで放送されたジャン・デュジャルダン主演の「海の上のバルコニー/2010」で母親を演じていて、あまりにもおばあさんで驚いた。それというのもメイクが濃かったから余計に顔年齢が強調されていて…本作では濃いメイクではないのと、全編暗いシーン(ランプの時代)であるため、ジャンヌ・モロー同様顔年齢が強調されることはない。年を重ねた女優は照明を落とした映画に出演すべし!かも知れない。ジュンヌ・モローがキュートなのだ。
カルディナーレ映画は昨年11月に渋谷のル・シネマで公開されていた「ふたりのアトリエ 〜ある彫刻家とモデル/2012」を見逃してしまっている。
オリヴェイラ映画はどれもこれも舞台劇を見ているような雰囲気がある。本作はそれの最たるもので、クラシックなMusic(シベリウス)が流れる中、シーンはジェボの家のリヴィングルームが90%以上。ジェボとドロテイア、ジェボとソフィアの語らい。そしてジェボとドロテイアとソフィアの元へ隣人のカンディアやシャミーソが訪れ語らいが始まる。原作が戯曲であることを知り、道理でであった。
しかしながらあの唐突なるエンディングには驚き。
神保町 岩波ホールにて

