「さよなら、アドルフ」

「Lore」 2012 ドイツ/オーストラリア/UK
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ローレにザスキア・ローゼンダール。
トーマスに「白いリボン/2009」のカイ・マリーナ。
ローレの妹リーゼルにネーレ・トゥレプス。
ローレの母に「白いリボン」のウルシーナ・ラルディ
ローレの父にハンス・ヨヘン・ヴァークナー。
監督、脚本は「15歳のダイアリー/2004」のケイト・ショートランド。
原作はレイチェル・シーファーの“暗闇のなかで”。

ナチス親衛隊の高官を父に持つローレは14歳。1945年の春、ヒトラー総統が亡くなったという母親の言葉にショックを受ける。両親は連合軍に拘束され、ローレは妹と双子の弟、そしてまだ乳飲み子の末の弟を連れ900キロ離れたハンブルグの祖母の家を目指す旅に出る…

旅の途中ローレは自身や弟妹のために食べ物を調達しなければならなかった。何不自由なく育ったローレにとって非常に過酷なことだったろう。ナチ党員の子供と白い目で見られ、食べ物も分けてもらえない有様。そんな折、ユダヤ人青年トーマスと出会う。彼は優しく手を差し伸べるがローレは露骨に不快感を示す。トーマスは両親や周りの大人がさんざん蔑んだユダヤ人なのだからローレが嫌悪するのは当然のこと。しかし妹や双子の弟はトーマスを頼り始め、ローレも次第に心を開き始める。

戦争が終わり偶然に出会ってしまったナチ党員の少女ローレとユダヤ人のトーマス。ローレが生きるためトーマスに頼らねばならない辛さは想像を絶するものだったに違いない。
シアターで予告を何度か見て少々気になっていた一作。重いドラマだろうな?と想像していたが、14歳の一人の少女の運命があまりにも過酷で想像以上に惨くて重いドラマに圧倒された。
14歳のローレを演じ、絶賛されたザスキア・ローゼンダールは1993年生まれ。

トーマスはアドルフ・ヒトラーが嫌悪したユダヤ人。そしてローレは邦題に付いている“アドルフ”の子。
映画のラストで邦題の意味が語られる。ある日、食事の席に着いたローレの弟妹。スープもサービスされないテーブルでいきなりパンをつかんだ弟は厳格な祖母に叱責される。600キロの道中空腹と闘ってきた彼らにとって目の前に並んだ食べ物にすぐに手が出ても不思議ではない。叱られしょんぼりした弟をかばうかのように、ローレはテーブルにわざと水をこぼし手ですくって飲んでみせたのだ。祖母は今でもヒトラー総統を褒めそやしている。そんな祖母に、貴女は何もわかっていない!と歯向かうローレの行動がとても素晴らしいラストだった。

シネスイッチ銀座にて
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by margot2005 | 2014-01-26 01:46 | ドイツ | Trackback(4) | Comments(0)
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