「愛、アムール」

「Amour」 2012 フランス/ドイツ/オーストリア

パリのアパルトマンに暮す音楽家夫婦のジョルジュとアンヌ。ある日、アンヌが病に倒れ、やがて寝たきりになってしまう。ジョルジュは献身的にアンヌを介護するが、アンヌの病状はどんどん悪化していく…
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ジョルジュに「素直な悪女/1956」「男と女/1966」「スエーデンの城/1962」「トリコロール/赤の愛/1994」「歌え!ジャニス・ジョプリンのように/2003」のジャン・ルイ・トラティニャン。
アンヌに「トリコロール/青の愛/1993」「華麗なるアリバイ/2007」のエマニュエル・リヴァ。
エヴァに「沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇/1995・甘い罠/2000」「ピアニスト/2001」「8人の女たち/2002」のイザベル・ユペール。
アレキサンドルにアレキサンドル・タロー。
監督、脚本は「ピアニスト」「隠された記憶/2005」「白いリボン/2009」のミヒャエル・ハネケ。


老老介護がテーマの本作はなんか身につまされそうで観るのを躊躇していたが結局観に行ってしまった。
ドラマのなりゆきは想像どおり「グッド・ハーブ/2010」と一緒。「グッド・ハーブ」は老老介護ではなく、娘が母親の介護をしていたが…。
映画を見終わり“尊厳死”という言葉が頭から離れなかった。

“愛、アムール”のタイトルが示すように本作は、長年連れ添った老夫婦の愛の物語。80歳を超えたの妻に“今日も綺麗だ!”なんていう日本人はいるだろうか?“愛、アムール”の国フランスならではのドラマである。
キッチンで、買って来た花(ひな菊だったか?)の枝を揃えるジョルジュの姿が忘れられない。何かに取り憑かれたように枝を切っているのだ。あれはきっとアンヌの好きな花だったに違いない。

この夫婦には娘がいる。娘エヴァは母親アンヌの病状が気になり定期的に両親の家を訪れる。しかしアンヌの病気が悪化し、ワケのわからないことを話すようになった時ジョルジュは娘を母親にあわせようとしなかったのだ。この気持ちはとても良くわかる。母親を心配する娘に、ヒドくなった姿を見せるに忍びないという気持ちがあったからだろう。

ラスト、オープニングのシーンと合わさって、観ているものはドラマの全貌を知ることになる。
ミヒャエル・ハネケの描く世界は複雑(一筋縄でいかない)だが、本作はとてもあっさりとしていて心に訴える。今迄観たハネケ映画の中では私的に一番好きな作品となった。

オスカー主演女優賞にノミネートされたエマニュエル・リヴァの演技はやはり素晴らしかった。老老介護に苦しむジョルジュ役のトラティニャンもナイス・キャスティング。
ジャン・ルイ・トランティニャンは1930年生まれなので80歳過ぎている。もうそのようなお年なのかと思っていたけど、ブリジット・バルドーやアヌーク・エーメ、モニカ・ヴィッティと共演しているのだから当然かと納得。トランティニャンといえばやはり「男と女」。「歌え!ジャニス・ジョプリンのように」以来かれこれ10年ぶりのトランティニャンの姿に歳月を感じる。
アンヌの教え子のアレキサンドルを演じるアレキサンドル・タローは実際にピアニストだそう。

銀座テアトルシネマにて(既に上映終了)
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by margot2005 | 2013-04-24 23:57 | フランス | Trackback(13) | Comments(0)
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