「ぼくたちのムッシュ・ラザール」

「Monsieur Lazhar」カナダ 2011
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バシール・ラザールに「いのちの戦場 ーアルジェリア1959ー/2007」のモハメッド・フェラグ。
アリスにソフィー・ネリッセ。
シモンにエミリアン・ネロン。
ラザールの同僚クレールにブリジット・プパール。
ヴィアンクール校長にダニエル・プルール。
監督、脚本はフィリップ・ファラルドー。
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カナダ、モントリオール。ある冬の朝、シモンは牛乳当番のため早めに学校へやって来る。そしてシモンたちの教室で首を吊っている担任の女性教師マルティーヌを発見する。やがてシモンを探しに来たアリスもその衝撃的な現場を見ることになる。
マルティーヌが担当していた生徒たちは衝撃を受ける。学校側は彼らの心のケアと共に後任の教師を探し始める。ある日、ヴィアンクール校長の元へ一人の中年男性が訪ねて来る。ラザールと名乗る彼はアルジェリア系移民。校長は教えた経験があると言うラザールを代理教師として採用する...

子供たちには難解なバルザックの古典小説を教材に使ったり、古い文法用語を使い、教えるラザール。最初は不信感を抱く子供たちだったが、アルジェリアから来た温和で、優しい彼に惹かれるのに時間はかからなかった。特に聡明なアリスはラザールに出会いアルジェリアという国に興味を抱くようになる。
ラスト、ラザールが学校を去る時にアリスを抱きしめるシーンは素晴らしく素敵でジーンときた。
とても聡明なアリスを演じた時まだ10歳だったというソフィー・ネリッセが本当に素晴らしい。この少女大人になったらスゴく魅力的な女性になるんじゃないかと想像出来る。
心にわだかまりと、悲しみを抱えたシモン役のエミリアン・ネロンも名演技である。ソフィー・ネリッセとエミリアン・ネロンがカナダ・アカデミー賞に輝いたというのも頷ける。

悲惨なマルティーヌの姿を一番に発見したシモンは彼女の死に対して知らんぷりを決め込んでいる。一方でアリスは大好きだったマルティーヌの死を受け入れることが出来ず、彼女の最後の姿が頭から離れない。だからシモンの気持ちが理解出来ないのだ。しかしそうではない。シモンはマルティーヌの死が自分に関係あるのでは?と悩み動揺を隠せなくて、逆に彼女の死に対して気にしていないフリをしていたのだ。

マルティーヌはアリスやシモンたちを教えていた教室で自殺をしている。その後、その部屋は壁を塗り替えただけ。ラザールがヴィアンクール校長に“なぜ同じ部屋を使っている?”と質問するが、返って来た言葉は“他に部屋がないから…”の一言。これは少々キツいのではないか?同じ部屋では生徒たちの記憶が消えるはずもない。特にシモンとアリスにとっては…。
ラザールはアルジェリア内戦で“愛する人の死”を体験していた。彼も又それを乗り越えられないでいたのだ。でもラザールはシモンやアリスとの出会いにより“愛する人の死”を乗り越えたに違いない。
移民のラザールは免許もないのに教師に成りすまし、学校では教えないことを子供たちに教え、諭し、彼らに慕われたのはナイスな展開だった。

主演のバシール・ラザールを演じるアルジェリア出身のモハメッド・フェラグがほのぼのとした雰囲気で心暖まる。

シネスイッチ銀座にて
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by margot2005 | 2012-08-13 00:09 | MINI THEATER | Comments(2)
Commented by sannkeneko at 2012-10-23 12:43 x
子役のふたりの演技は秀逸でしたね。

>返って来た言葉は“他に部屋がないから…”の一言。
教室で死ぬ教師の行為も子どもたちへの暴力と同じようなものですよね。
こういう無神経さに敏感に反応するラザールに会えて子どもたちは救われたように思います。
地味な作品ですが温かい思いにさせられました。
Commented by margot2005 at 2012-11-03 20:02
sannkenekoさん、書き込みありがとうございます。レスが遅くて申し訳ありません。

子役の二人は演技賞に輝いただけあって素晴らしかったです。
ラザールは彼なりのやり方で子供を癒していたように思えます。
>地味な作品ですが温かい思いにさせられました...
同感です!
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