「ブラック・ブレッド」

「Pa negre」…aka「Pain noir」「Black Bread」 2010 スペイン/フランス
a0051234_20535390.jpg

少年アンドレウにフランセスク・クルメ。
父親ファリオルにルジェ・カザマジョ。
母親フロレンシアにノラ・ナバス。
従姉妹ヌリアにマリナ・コマス。
町長に「歌え!ジャニス・ジョプリンのように/2003」「Ricky リッキー/2009」「しあわせの雨傘/2010」のセルジ・ロペス。
監督、脚本はアウグスティ・ビリャロンガ。
a0051234_20545753.jpg
a0051234_20544390.jpg
a0051234_20543040.jpg

監督はスペインのデヴィッド・フィンチャーと称されるように映画はダークでホラーっぽい。
舞台は1940年代のスペイン・カタルーニャ地方。オープニング…フード付きマントをまとった男が崖から馬車を突き落とす。中にはアンドレウの友達クレットとその父親ディオニスがいた。やがて二人は亡くなるが、クレットは絶命する前に事故を見て駆けつけたアンドレウに謎の言葉を残す...“ピトルリウア…”と。“ピトルリウア”とは森の洞窟に潜むと言われる羽を持った怪物の名前だった。そしてこの後とても、とてもダークな世界に誘われる。

異常に大人びたアンドレウの従姉妹ヌリアは戦争で左手首を失っていた。焼けただれた手を宝箱の中に忍ばせ、森でアンドレウに見せるのだ。一方である時、アンドレウは裸で森を駆け抜ける美青年と出会う。修道院で療養生活を送る彼はアンドレウに“背中から翼がはえて、僕は舞い上がれるんだ。”と話す。その後、母親フロレンシアが秘密にしている戸棚をこじ開けた所、森で出会った青年に良く似た天使の羽を持った若い男の写真が隠してあった。

撮影されたカタルーニャ地方の深い森が神秘的でダーク・ファンタジーの雰囲気。
物語の舞台である内戦後のカタルーニャ地方に生きる人々はとても貧しい。タイトルの“黒パン”とは貧しい人々の食べ物。リッチな人間は“白パン”を食べるわけ…。母親と一緒に町の資産家であるマヌベンス夫人を訪ねたアンドレウは、美味しそうなお菓子を山ほどふるまわれ舌なめずりしていた。富裕者と貧困者の隔たりはあまりにも深い。そして子供のいないマヌベンス夫人はアンドレウを引き取って育てたいと願っていた。

フロレンシアは事件の容疑者として逮捕された夫ファリオルを救おうと町長に直訴に行く。しかし彼の誘惑に屈してしまう。町長はかつてフロレンシアを愛していたが彼女はファリオルを選んだのだった。
大人たちの嘘や裏切りに翻弄される主人公アンドレウが哀れだ。ラスト、母親からことの真実を聞いた息子アンドレウの怒りと悲しみは如何ばかりだっただろう?

本作に出演する俳優はセルジ・ロペス以外日本では知られていないと思う。少ない出番ながら相変わらず存在感あり。先週観たフランス映画「プレイー獲物/2010」では数シーンの出演だったが彼は異彩を放つ素晴らしい俳優だ。
ルジェ・カザマジョは何となく見た顔だと思っていたら「バンズ・ラビリンス/2006」に出演している。

映画を観るのはほぼ90%最終回。観る前に食事をすませることもあるが、時間がない時は食べ物を持ってシアターに入る。この夜も時間がなくてコンビニで買った食べ物を持参した。上映ぎりぎりに入って映画が始まるなり食べようとしたのだが、周りの人々があまりにも静かに映画を観ている…それもかなり熱心に…で、なんとなく食べるチャンスがなくなり空腹状態でシアターを後にした。このようなことは滅多にない。それほど本作は観ているものをスクリーンにクギ付けしたに違いない。物語はかなり重かったけど…。

銀座テアトルシネマにて
[PR]
by margot2005 | 2012-07-10 22:36 | スペイン | Comments(0)
<< 「ワン・デイ 23年のラブスト... 「プレイヤー」 >>