「ル・アーヴルの靴みがき」

「Le Havre」 2011フィンランド/フランス/ドイツ
a0051234_22563411.jpg

マルセル・マルクスに「仕立て屋の恋/1989」「Ricky リッキー/2009」のアンドレ・ウィレム。
アルレッティに「街のあかり」のカティ・オウティネン。
モネ警視に「ダニエラという女/2005」「サン・ジャックへの道/2005」「画家と庭師とカンパーニュ/2007」「バレッツ/2010」のジャン・ピエール・ダルッサン。
イドリッサにブロンダン・ミゲル。
監督、脚本は「過去のない男/2002」「街のあかり/2006」のアキ・カウリスマキ。
a0051234_22571557.jpg
a0051234_2257533.jpg
a0051234_22565624.jpg

北フランス、ノルマンディー地方の港町ル・アーヴル。かつてパリでボヘミアン生活を送っていたマルセル。今では靴みがきをしながら妻のアルレッティと愛犬ライカと共にル・アーヴルの町でひっそりと暮らしている。ある日、愛する妻アルレッティが病に倒れ入院する。そして医者から不治の病に冒されていて長くは生きられないと宣告される。マルセルには自身の死が耐えられないと感じたアルレッティは病気を隠すことにする。
一方で、マルセルはアフリカから密航して来た少年イドリッサと出会い、警察に追われる彼を匿まってやる...

「街のあかり」しか見てないが、アキ・カウリスマキの描く世界は一種独特。でも本作はまるで大人のファンタジーのようで、ハッピー・エンディングな洒落たドラマだった。
観ていて映画の時代設定はいつなのか?と過去に迷いこんだ様子…それはマルセルの家であったり、彼の通うバーとか、街中の電話であったり、マルセルが乗るタクシーetc.それらがなんとなく古そうなのだ。しかしドラマは間違いなく21世紀が舞台。貨幣は€だし、モネ警視がバーで注文するワインは2005年ものとか言っていた。多くの移民問題も21世紀に入ってからのことだし…しかしながら映画の背景&グッズはとてもレトロな雰囲気。Musicも同じくレトロで、それはきっと監督の意図なのだろう。

密航者をかくまうことは罪だが、マルセルを筆頭に、近所の人々までがイドリッサを隠し続ける。ラスト、モネ警視が取った行動はあり得ないが、上にも書いたように大人のファンタジーとして観れば素敵なドラマである。

密航して来たイドリッサはフランスに留まるのではなく母親がいるロンドンに行きたいという。「君を想って海をゆく/2009」のビラルもフランス、カレから英国、ロンドンに渡ることを望んでいた。しかしフランスと英国の間に横たわる英国海峡(一番狭い部分がドーヴァー海峡/カレ~ドーヴァー)に阻まれてしまう。
ちょっとネタバレするがイドリッサはマルセルの善意で、船で海峡を渡ることが叶う。

映画の中で“モン・サン・ミッシェルはノルマンディーではなくてブルターニュだ。”という会話があり、かれこれ10年くらい前にモン・サン・ミッシェルに行ったことを思い出した。ル・アーヴルとシェルヴールにも行けるか?なんて簡単に考えたが、時間がなくてたどり着けず、フランスの国土は広いことを再納得した。
第二次世界大戦で連合軍のノルマンディー上陸作戦の舞台となった海岸も今では不法移民たちのキャンプ地になっている。

主演のアンドレ・ウィレムはもちろんのこと、ジャン・ピエール・ダルッサンも良かったな。
ライカ(Laïka)もしっかりエンドクレジットに記されている。

渋谷 ユーロスペースにて
[PR]
by margot2005 | 2012-05-23 23:28 | スペイン | Comments(0)
<< 「さあ帰ろう、ペダルをこいで」 「孤島の王」 >>