2012年 03月 11日
「英雄の証明」

ケイアス・マーシアス・コリオレイナス(監督、製作も)に「ナイロビの蜂/2005」のレイフ・ファインズ。
ヴォルサイの将軍タラス・オーフィディアスに「マシンガン・プリーチャー/2011」のジェラルド・バトラー。
コリオレイナスの母ヴォルムニアに「いつか眠りにつく前に/2007」「つぐない/2007」「ジュリエットからの手紙/2010」「ミラル/2010」のヴァネッサ・レッドグレーヴ。
コリオレイナスの妻ヴァージリアに「ツリー・オブ・ライフ/2011」のジェシカ・チャステイン。
コリオレイナスの友人で貴族のメニーニアスに「マッチポイント/2005」「ゾディアック/2006」のブライアン・コックス。
市民タモラに「愛より強い旅/2004」「パラダイス・ナウ/2005」「灼熱の魂/2010」のルブナ・アザバル。
同じく市民カシアスに「シリアの花嫁/2004」のアシュラフ・バルフム。

コリオレイナスは数々の武勲により圧倒的なパワーを手に入れるが、彼の独裁に政治家たちは危機感を募らせる。そして政治家たちの策略により市民が暴徒化し、ついに独裁者コリオレイナスは国を追われてしまう。
国外追放となったコリオレイナスが身を寄せたのは適地ヴォルサイだった...
ウイリアム・シェクスピアの悲劇“コリオレイナス”は知らない。映画の予告を観て…古典っぽい台詞なのにミリタリー風の衣装って??おまけに舞台はローマ??“コリオレイナス”を知らないため最初は戸惑ってしまった。そしてようやく映画はローマ時代を現代に置き換えていることが分かった。仰々しい台詞が飛び交い、妻が夫のことを“My Lord!”と、君主に向かって呼ぶような台詞も時代めいていて面白い。
撮影地はセルビアとモンテネグロ。
初監督作だけあって、レイフのレイフによるレイフのための映画といった趣。
“母なる都市ローマを滅ぼさないで!”と息子コリオレイナスに嘆願する場面の母ヴォルムニア…演じるヴァネッサ・レッドグレーヴが舞台に立っているような錯覚を覚え、とても迫力のあるシーンで印象に残る。
コリオレイナスはローマの独裁者ながらローマの英雄でもある。原タイトル”コリオレイナス”のままじゃますます観客集められなかっただろう。「英雄の証明」というタイトルは捨てたものじゃない。
レイフ・ファインズは「嵐が丘/1992」以来のファンで、“ハリー・ポッター、シリーズ”をのぞいてほぼ全て見ていると記憶する。独裁者役は「シンドラーのリスト/1993」「レッド・ドラゴン/2002」以来のモンスターではないだろうか?
レイフもジェラルドも大好きなUK俳優で、二人が出演するってことで観に行ってしまった。最近ジェラルドには裏切られてばかりだが、気骨のある闘士を演じると素晴らしい。彼にロマコメは似合わない。しかしレイフ・ファインズはどちらかというと「オネーギンの恋文/1999」や「ことの終わり/1999」といった、ヤワな男が繰り広げる不倫ものが実に似合う俳優。骨太人間はどうもレイフにそぐわない気がするのだが…それは彼の顔の優しさから来るのかも知れない。
母ヴォルムニアを演じるヴァネッサ・レッドグレーヴが圧巻だ。妻ヴァージリア役のジェシカ・チャステインは「ツリー・オブ・ライフ」同様、穏やかな妻(母)役がハマっている。
次作「ヘルプ/〜心がつなぐストーリー〜2011」は予告を観る限り全く違った雰囲気で楽しみだ。
確かに観る人限られる映画ではある。期間限定のように上映はたった2週間。鑑賞した週始めの最終回のシアターはガラガラだった。都内は現在シネマート六本木で上映中。
丸の内ルーブルにて(既に上映終了)

