「未来を生きる君たちへ」

「Hævnen」…aka「In a Better World」2010 デンマーク/スウェーデン
a0051234_23162778.jpg

監督、原案に「しあわせな孤独/2002」「ある愛の風景/2004」「アフター・ウエディング/2006」「悲しみが乾くまで/2008」のスザンネ・ビア。
アントンにミカエル・パーシュブラント。
妻マリアンにトリーヌ・ディルホム。
息子エリアスにマルクス・リゴード。
クラウスに「ある愛の風景/2004」「ザ・バンク 堕ちた巨像/2009」のウルリク・トムセン。
息子クリスチャンにウイリアム・ヨンク・ユエルス・ニルセン。
a0051234_231618100.jpg

デンマークに暮す少年エリアスはアフリカの難民キャンプで医師としてボランティア活動をしている父親が誇りだった。しかし残念な事に両親は不仲で別居中。そして学校では執拗なイジメに合っていた。そんな折、転校して来たクリスチャンと出会う...

“殴られた。だから殴った。”
“戦争はそうやって始まるんだ。”とチラシにあるが…
徹底して非暴力を貫く父親…自身の怒りを完璧にコントロール出来る姿に感動を覚える。

スザンネ・ビア映画はどれもこれも“家族の愛”を描いた世界が素晴らしい!デンマーク/スエーデンではなくアメリカを舞台に描いた「悲しみが乾くまで」は今一だったが、こちらは是が非でもマイベストに入れたい作品。

クリスチャンは母の死後父親と共に祖母の家に移り住むが、仕事一筋の父親は家を空ける事が多く、言いようのない寂しさを抱えていた。そしてある日とうとう、ガンで亡くなった母の死は父のせいだと罵倒する。
クリスチャンは転校した学校で執拗なイジメに合うエリアスを助ける。やがて彼はエリアスをいじめる同級生にナイフをもって制裁する。
エリアスの家族と出かけたある日、エリアスの弟がイジメに合う。それを見た父親アントンは、いじめた子供の父親に注意をするが、その父親は子供の否を認めるどころかアントンを殴ってしまう。殴られてもただ耐え、殴り返さないエリアスの父親を見て呆然となったクリスチャンは“なぜ殴り返さないのか?”とアントンに詰め寄るが返って来たのは“バカな男は相手にしない方が良い。”と言う言葉だった。
アントンは“殴られた。だから殴った。”という制裁は決してしない。

やがてクリスチャンの溜まりに溜まっていた“怒り”が爆発する。エリアスの父親を殴った男に制裁を下すのだ。しかしそのため事故が起き、エリアスが怪我をしてしまう。

一方でエリアスは不仲の両親が気がかりだった。父親はアフリカより一時帰国の際エリアスが母親や弟と住む家には戻らず、湖に近い家を借りていた。そしてエリアスは弟と父を訪ね男だけで一時を過ごすのだった。

クリスチャンもエリアスも心に深い寂しさを抱えている。クリスチャンは攻撃的な性格だが、エリアスは穏やか。エリアスの父親は非暴力者で、クリスチャンの父親も、息子にののしられても冷静で穏やかな性格を崩さない。

医師のアントンが活動するアフリカ、ケニアでの暴力も描かれている。ある日、ビッグマンが負傷しアントンの難民キャンプに運ばれて来る。“ビッグマン”とは妊婦の腹を切り裂く極悪人のこと。医者の立場からビッグマンの手当をするが、キャンプに詰めかけ、口々に訴える難民たちの声を聞いたアントンはビッグマンをキャンプから追い出してしまう。

ぴったりではないが、邦題になっている“未来を生きる君たちへ”は非暴力を貫き、怒りをコントロールする医師アントンの祈りのようだ。Internationalタイトルの“In a Better World/より良い世界で”は中々良いなと感じる。原題のデンマーク語はそのものズバリ“復讐”。

TOHOシネマズシャンテにて
[PR]
by margot2005 | 2011-09-04 23:32 | ヨーロッパ | Comments(0)
<< 「ゴーストライター」 「ミラル」 >>